第11話
ジリリリリリリ……
ピピピピッピピピピッ……
ぴーひょろろろろろろろ……
我が家の朝は賑やかだ。
……という訳ではなく、朝に弱い僕は目覚まし一つだけでは起きられないのだ。
うるせぇ! と半ギレになりながら、けたたましく鳴る目覚ましを順番に止めて行く。
––最悪の目覚めだ。
*
制服に着替えた僕は朝御飯の用意をする。(といっても昨日の残りだったりするのだが)
冷蔵庫から取り出したご飯をチンしながら電気ケトルでお湯を沸かす。
フリーズドライの味噌汁の封を切り、椀に出す。さっきつけたテレビからは観光名所の桜の様子と共に気象予報士が天気予報を伝えていた。傘は要らないらしい。
「いただきます」誰もいない家の中、テレビの音だけが響き続ける。
実質一人暮らしは辛い。家事がめんどくさいというのもあるが、一人で生活するのは結構寂しいものだ。
さっさと食べ終わって食器洗おう……
「それじゃ、行ってきます。」誰もいない玄関につぶやきながら戸締りをする。
*
……ダルい。なんで坂の上の学校をわざわざ選んだんだ僕は。
昨日の朝をぼんやりと思い出しながら黙々と坂を登る。彼女を見てしまうと他の女の子なんか気にならない と言えるほど綺麗な彼女を下の名前で呼ぶなんて想像もつかなかった–– とか。
平穏だと思っていた学校生活が一瞬にして崩れ去るとはこの時はまだ思っていなかった。
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