第10話
駅前で別れた後、誰にも見つからないようにそそくさと帰る――もう面倒はごめんだ。
*
「はぁ〜……」
風呂に入りながら今日のことを整理する。風呂は良い。疲れを癒してくれる。
色々あったな、と自分でも思う。
とりとめのないことを少しずつ思い出したり考えたりしながら湯に浸かる。気持ち良い。
*
……寝ていたみたいだ。のぼせて体が重い。
「参ったな」口には出せないが、体が動かせないという焦りが思考を支配する。
なんとか湯船から抜け出し、蛇のように浴室から這い出した僕。
その姿はさながら水を求める蛇だった。
「水、みず……」
うわ言のように繰り返す。浴室からリビングまでまだ距離がある。全力で這う。
*
――死ぬかと思った。
実際、脱水症状が出ていて危険だったが、なんとか水分を補給できた。
「特典のドラマCDでも取り込むか……」
と言い、火照った体を冷ましながらPCへと向かう。
――布団に入るのはまだまだ先になりそうだ。
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