第7話
「それでだ、総会に遅れたことに何か言うことはないか?」
生徒会長は優しくも厳しい口調で問い詰める。まあ、当然だろう。
「この度はご迷惑をおかけしました」
……もちろん生徒会室が分からなくて遅れたなどと口が裂けても言えない。少なくとも今は。
「よろしい……、その罰と言ってはなんだが生徒会会計の仕事を引き受けてはくれないか?」
「ファッ!? なんでまた僕に……」
取り柄のないこんな人間に役職など彼女は何を考えているのだろうか。というかさっきから貧乏くじ引きすぎじゃないか?
「いや、みんなやりたがらなくて余ったんだ。役職は見掛け倒しなんだけどな……」
と言うがこの生徒会長の沖田茜、デキる女というやつで二年連続で生徒会長という異例を成し遂げた凄腕である。そして美人だ。
「もし君がこの仕事引き受けてくれたら春香くんと同じ部屋で仕事できるぞ……もしかしたりもしかしなくても急展開があるかもしれないぞ」
と小声で囁く。美人の息は少しくすぐったい。というかえろぃ。
「やります」
気がつけば即答していた。
が、数分後に後悔することになる……
*
ドドドッと山のように置かれたファイル。会計として与えられた机は、すぐに面が見えなくなってしまった。
「とりあえず今日中に目通しておいて〜。去年の分とマニュアル見て、ある程度の仕事内容は頭に叩き込んでおいてね」
ただの重労働でしかない……キツイ。
「これ今日中って本気ですか?」
「私、嘘はつかないよ〜」
と会長。
「幾ら何でも物理的に無理です。」
と僕。この量はヒトには無理だ……しかし、
「じゃあとりあえずマニュアルだけ覚えて。もう私帰るから鍵よろしく〜」
と言い残しそそくさと帰ってしまった。嵐のような人だ。
ん?……また彼女と二人きりになってしまった。
これからどうすればよいのやら……。
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