第3話

「これだから始業式は嫌なんだ……」

 小声で悪態をつく。


 自分に関係の無い部活の功績の表彰をするからか無駄に長く、怠く感じる。

 それは僕だけではなく大体の生徒が感じているようで、講堂では既に寝ている生徒も目立つ。


 ――僕も寝るか。


 陽気に当てられた僕は、最後の抵抗も虚しく気持ちの良さへと意識を沈ませた……


 *


「起きろ、涼太」

 誰かの声がする。

 しかし、一旦夢の世界へと誘われるとなかなか抜け出せない。


「起きろって!、美少女がいるぞ!」


「!?」

 すぐさま飛び起きる。


 そして辺りを眠たい目を擦りながら見回すが、眼鏡をかけていないので何も見えない。


「バカかお前。眼鏡かけろよ……」


「あぁ……すっかり忘れてたわ」

 と言いつつ、眼鏡をかけ、その声の主を見上げると、案の定耀司だった。


「やっぱり耀司か、ありがとうな」


「なあに、感謝されるような事は何にもしてないよ」


「ところで美少女はどこだ?」

 と僕。

 いくらキモ=オタクだからといって現実の女の子に興味が無いわけではない。一般の男子高校生並みには興味がある。


「あそこだ」

 耀司の指差す方向を見ると――




 確かに美少女がいた。


 驚きすぎて声も出ない。

 艶やかで長い黒髪、雪のように白い肌、それでいて華奢な体、整った顔立ち。

 アニメや漫画から出てきたのではないか?と錯覚するレベルの美少女だった。


「な?今年の新入生に一人すごい美少女が居るって言ったろ?」


「あぁ……でもあんなレベルとは聞いてないぞ」

 見惚れた状態から我に返る。


「俺もだよ。初めて見たよあんなかわいい女の子」

 耀司も僕もぼうっとその美少女を眺めていたが、残念ながら時間切れらしく、惜しみつつも教室へと向かった――

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