第2話

 耀司としばし別れ、中庭の掲示板を見上げる――

 自分の名前を探しているうちに、いくつかの友人の名前は見つけられたが、肝心の自分の名前が見つけられない。

「とうとう退学させられたか……」

 と、冗談混じりに考えていると見つかった。どうやら今年も耀司とは同じクラスらしい。

 腐れ縁ってやつかよ……

 とりあえず階段を登り、教室へと向かった……


 *


 教室に入ると、いた。


「腐れ縁ってやつか?これ」

 と耀司


「そうかもしれないな」

 と素っ気なく答える僕。本当にそうだよ……


 斜め前の席に耀司がいる。運が良いのか悪いのか……


「とりあえず今年も一年よろしく!」


「こちらこそ、迷惑かけることも多いと思うけどよろしく」


「そういう所がお前らしいや、でも俺はお前のこと面倒だとか迷惑だとかは思ってないからな」

 耀司のこういう所が漢らしく、好感が持てる。この関係が長続きしているのもひとえに耀司の人間性によるものだろう。


「俺はただの陰キャキモ=オタクだよ」


「オタクなのは自覚してるのか」


「うるさいな、当たり前だろ……」

 とか軽口を叩いていると、朝礼のチャイムが鳴った。騒がしかった教室が一斉に静かさに包まれる――

 程なくして新しい担任が現れ、僕たちを講堂へと連行していった。始業式の始まりだ……

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