第四話 思い出 part4

「僕の記憶?」

「そう記憶ぅ」

さっきから出た色々な話はなんとか理解できていた。だから何が起こるのか少しは理解できた。

「僕の記憶を犠牲にしたらマイは生きていけるんですか?」

「おぉ、呑み込みが早い」

「答えてください。」

「うーん、半分そうとも言えるし、半分違うともいえる」

「ん?」

「死の運命は変えられないって言ったでしょう。それに記憶には濃い部分と薄い部分がある。記念日も何事もない日もある。それぞれによって補填できる日々は変わる。だからマイちゃんが生きていくのは期限付きかなぁ」

「わかりました。じゃあ僕の記憶全部使ってください」

「焦るんじゃない。寿命は一日更新。その都度記憶を貰いに行くよ。もちろん、更新破棄もできるよぉ」

「そんなのいりません」

「わかってるのかい?毎日マイちゃんとの記憶をなくしていくんだよ」

また冷たい風だ。寒い。さっきよりも。言葉の重さが冷たく心に刺さる。それでも。

「それでも構わない。だから頼みます」

「りょーかい、じゃあまあ最初はそういうことにしとくよ。最初はこっちのミスだし。あと更新破棄は受け付けるから」

「ああ」

「じゃあ、まあ一旦おさらばだ。戻ったらさっきも言った通り事故があるちょっと前に戻るよ」

「わかった」

そう言ったときまた目の前が真っ黒になってしまった。その寸前死神の背中が見えた。

続く

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