第5話 猫は知っている part5
それから二人は調査を再開した。まずは藤田がキャットフードを売っていた店から聞き取り調査だ。
「それじゃあ、仲上さん、お願いします」
「はいよ」
長谷川はさっきの猫を持ち上げて言った。猫の瞳は潤いがあり光り輝く。視点を変え長谷川の表情を確認するとさっきまでの感動を失う。長谷川から五十メールほど離れたペットショップ店に入って行った。店の外に安売りの餌が置いてある。扱いが雑なのか値札の部分がビラビラと風に沿って動いている。
「すいません」
「あ、いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」
なかにいた男性従業員が話しかけてくる。
「ああ、私、近くで私立探偵事務所を設けています。仲上と申します」
「はあ」
しっかりと名刺を渡してから話に入る。
「唐突ながらこの猫をご存じではありませんか?」
じっと写真を見つめ店員は首をかしげる。
「さぁ。うちで飼育している子では見覚えないですね」
「野良猫なのですが」
「どちらにせよわかりません」
猫についての情報なしかぁ。
「じゃあ話を変えます。この方に見覚えはありますか?」
仲上は秘密裏に撮っておいた藤田の写真を見せる」
「ああ、この方だったらいらしましたよ。」
「本当ですか?」
「はい、いい餌をくださいだとか。確か映像が残ってるはずです」
「見せていただけませんか?」
「構いませんよ」
店の奥に入れられた。
「確かこの日のやつに。あった。これですかね」
長谷川にも見せるため監視カメラの映像を一時拝借させてもらった。
一時的に事務所に戻り、映像を確認する。ちなみに猫も一緒に連れてきた。映像の中には確かに店に来る藤田を発見。
「話によると、藤田さんは少し焦った様子だったらしい」
「焦った、ですか」
藤田が店員に話しかけている。
「ここだ。この時に、いいキャットフードが欲しいと言っているそうだ」
「なるほど」
そこから店員は、藤田を案内するように去っていった。そこで映像が突然消えた。そして急に藤田は、その場からいなくなり、店員だけが映った。
「この間は、管理の不具合かなんかでデータが消えているらしい。まあ、この程度だがなんか収穫あるか」
「収穫どころじゃありませんよ。」
長谷川は眼鏡を正し、立ち上がる。
「新発見です!」
「どうした?マモル」
「わかりましたよ。あとは仲上さんこれについて調べてください。」
長谷川はすばやくペンをとり、メモをした。それを投げつけるように仲上に渡した。
「なんだよこれ。」
「それが今回のキーワードです。これによって猫の謎が解明できます」
「本当かマモル?」
「はい、調べ終えた後、藤田さんのところで全てを明かします。でもその前に、仲上さんにはお話しします。」
続く
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