第3話 猫は知っている part3

長谷川は歩き続けた。途中でなんどか急に止まり、周りをキョロキョロ見ていたが、また急に歩き出し止めるタイミングを掴めなかった。そしてまた急に止まった。

「待てこの野郎。」

長谷川の肩を鷲掴み、歩きを止める。

「痛いですよ。仲上さん。」

なんの悪びれる素振りを見せない。

「マモル。勘弁してくれよぉ。探偵にとって依頼人との信頼関係が大事なんだ。そうじゃないと次の仕事に繋がらん。」

「仲上さん、猫、見つけました。」

「へ?」

「この公園にいます。」

見渡すとそこは小さめの公園であった。尚且つ木々が生い茂り、野良猫がいるのにピッタリな環境であった。長谷川はその茂みに向かいバックからミルクを取り出し特定の場所に設置した。すると中から猫たちが数匹出てくる。その中から一匹を取り上げ仲上に見せる。白黒で目の周りが黒くてハートの形。しかし目元に少し傷があった。

「発見しました。」

言葉が見つからなかった。見つかったことを素直に喜ぶべきか。見当をつけていることを報告していないのを怒るべきか。先に口を開いたのは長谷川だった。

「あとはこの猫の傷の秘密が解れば解決ですね。」

「待て、秘密も何も猫見つかったんだから藤田さんのとこに持って行きゃそれで解決じゃないか。」

「仲上さん。」

何か言いたそうな様子だ。

「なんだよ。」

「探偵なんですからもっと観察眼鍛えてください。そんなのだから探偵じゃなくて何でも屋になっちゃうんですよ。」

寒―い風が吹く。因みにだが仲上は長谷川より年上である。それを加味した上でもう一度考えてみよう。単なる説教だ。

「マモル。さよなら。」

そう言って仲上はとぼとぼ歩き出す。

「あ。」

やってしまった。意外とこの人はハートが弱いのであった。

「あの、仲上さん言いすぎました。すいません。」

追いかけながら話しかけるが一向に返事が来ない。そして早い。あっという間に事務所に戻り着き、締め出された。

「仲上さん。開けてください。」

ドアを叩くが全く反応が返ってこない。しかたない。

「仲上さん。仕方がないのでこの状態でネタばらしというか僕の推理発表します。」

続く

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