世界変異まであと1日

6月11日。

いい天気。快晴だ。雲量は多分0だ。鼻からすうと息を吸い、二秒ほど止めてから

息を吐き出す。


そう。焼肉屋の前で。


くっそ~!俺も食べたい食べたい!路上で子供みたいにごねてもいいんだぞ!

焼肉・醍醐味という看板が張り付いている二階建ての店の壁に張り付いている俺。

この店がある場所は、商店街になっている。しかし、近くにショッピングモール

などができたせいで人の数は少ない。そうはいっても個々のお店ではネットで有名なもの

もあるらしい。あ、言ってなかったけど、実家は二個隣の町にあります。すぐに

でも帰れるけど親が許さなくて怖いから帰らないのです。通信機器は全部おいてきちゃった

し、今の家にある所持品は服と少しのお金と余った履歴書だ。あとはコンビニで買ったおにぎり

のごみとかかな。今の俺はとりあえず給料をもらわないといけない。だから小張建設で

せっせと働いているのだ。毎日汗だくだくなのだ。

俺はあきらめて商店街の大きな道に出る。とりあえず今持ってる150円でおにぎりでも買って帰ろう。

俺は商店街を出た。


2時間後


俺は今家にいる。通信機器がないためやることがないので発狂しそうだ。ただこの前適当にぶらついていると

市営の図書館があった。小張製品図書館。俺が見るに広さは・・・。難しいな。どれくらいだろう。

東京ドーム一個分?見たことないからわからないし。学校?は横に細いから無理。どうすれば・・・。

あ!思いついた!カルビを・・・。何個分だろ?やっぱり表し方がよくわからない。ごめんね。わからんわ。

まあそれはいいとして、俺はそこで暇をつぶすことにした。思っていたよりも楽しかったので、一巻、また一巻

と読んでいたら、図書館の真ん中くらいの高さにつるしてある時計が、7を刺した。午前じゃなくて午後だよ。

閉まるのが7時5分。あぁ、どうしよう。「歴代怪物戦記」がいいところなのに!と思った俺はひらめいた。

借りればいいじゃん!と。会員になり、二週間までと書かれた紙を渡され、借りた。合計10冊だ。そのうち7巻は

「歴代怪物戦記」だ。この本の内容がゲームっぽくて俺の心をいやしてくれたのだ。内容は、世界の

嫌われ者の怪物たちが、人に媚を打っている本当の悪と戦争する話、って言ったらわかりやすいかな?

俺の紹介文じゃどうも読む気になれないのはわかる。でも読んでほしい。面白いから。

それで今はその十巻のうちの「歴代怪物戦記 6巻」を読んでいる。あと一巻で最終巻だ。なかなかいい話に

なってきやがった。本題からかなりずれてしまったがそういうことである。インターネットもゲームもできない

俺の欲求処理事情はというと、図書館の小説だ。俺も賢くなったものだ。小説を読んでいると、新しく知る

こともあってなかなか飽きない。こうやって俺は更生されていくのか・・・。

それでこの本・・・。の話はもういいや。もう寝よう。

わが母親は布団ですらくれなかったので、床で寝る。まあ俺の場合単なる引っ越しとは違うのだ。体をふくタオル

は俺がいる会社のもの。洗濯機はもちろんないので水洗い。冷蔵庫がないため長期保存もできない。こんなに不便

なのだ。それに最近会社慣れして、上司に失敗して怒られるし。もうやだな~。

昔読んだ本に、ゲームの世界に入って出られないお話が合った。そんなことに今はなりたい。仕事とかせずに、

ゆっくりと未知の世界で冒険していたい。まあ、そんな妄想かなわないと知っているが。明日からまた仕事だ。

早く寝よう。今何時だろ。時計もないからわからん。

今一番買いたいものはーーーーーーーーーーーーーーー







次の日。時計がないために何時に起きたかわからない俺は無駄に焦って着替える。作業服を入れたカバンを持って外にーーー

「あ・・・れ?」

驚きのあまり声が出なかった。なんだここは。ドアの前には隆起した地層が広がっていた。広がっていたというより

地面から突き出していた。大規模地震かと思ったが、それで目が覚めないわけがない。俺はアパートの二階に住んでいるため、

階段で降りる必要がある。俺は状況確認のために階段の中間地点で見晴らしのいいところに駆け寄った。

俺はまたも驚いた。

「お、わぁぁ。」

驚きで胸が埋められた。また、好奇心もあったのかもしれない。それはまるで初めてやるゲームの最初のステージのような。


土地が隆起したり沈降したり。また、洞窟のような洞穴。隆起によってできた斜塔。沈降によってできた巨大クレーター。

商店街やビルがあった通りには無数の巨大な木が生えている。動物もわんさかだ。なんでこんなことが起きたんだ。そんな光景だった。

気づけば足元の階段にツタが張っている。少し驚いてふくらはぎの筋肉に力が入った。

「なんだこれ。」

思わずかばんを落とし、階段の柵の部分から身を乗り出す。

ぶぁ!と風が吹いてくる。俺の頭上を大きな影が覆い尽くす。俺はまたも驚愕した。

赤いうろこを身にまとい。鋭い牙を光らせるドラゴン。ゲームで言ったらドラグーンって名前っぽいドラゴン。俺は目を丸くした。

夢かとも思った。体中を作業服のベルトでたたきまくる。痛すぎる。夢じゃない。

確認が終わったところで近隣住民は無事かを確認した。しかし、周りを見渡すと、隆起してとがった大地に穿たれた人。

沈降によって落下し、ぺちゃんこになった人。

「うあ。」

さっきまでのワクワクとは真逆の感情を込めた声を出し、その場に膝をついて嘔吐する。口の名から少しの苦みが広がる。

透明な胃液が階段に垂れる。俺は目だけを上にあげて立ち上がろうとするが力が入らない。

すると、足音が近づいてくるのが聞こえた。

ーーーーーー人・・・?

違う。こんなに大きい足音ではない。近づいてくる足音がすぐ横で止まると同時に、俺の意識はフェードアウトした。


3年後。俺は目覚める。

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