非日常


今、ベッドの上にいる。時刻は朝の5時。

久しぶりに早く目が覚めたが、いつも以上に長く寝ていた気がした。

前の日に遊んだ思い出が夢となって出てきた。

どれだけ好きなんだ、と自分に聞いてみたが、答えは教えてもらえなかった。

気がつくと憂鬱になった。夢から急に現実の世界に引き戻さるとこんなに虚しいのか。

その世界から逃げ出そうと、楽しかった時間を反芻した。楽しかった時間というのはあっという間に過ぎる。

滅多に遊ぶことがない僕には余計に短く感じた。

多分もうそんなの分かってるっていう人もいるだろうけど、誰かと遊ぶと新しい発見がいくつも見つかる。

日常から一歩外に出ると人がまるで違って見えた。普段見せないでいるのか、無意識に出ているのか、自分がそう見えてしまっているだけなのかは分からないが、それを見ているだけで嬉しくなる。

初めて見る景色、匂い、色、音。

居心地が良い。

普段味わえない刺激を五感でフルに感じた。

そのせいなのか、料理を食べた時、こんな美味しいものあったのかと驚いた。

何気ない会話が何気ある会話に変わった。

ただただ歩き回って笑って、気付いたら足が痛くなっていた。

幸せそうな姿を見てこっちまで幸せになったり、笑ってる顔につられたり、急に歌い出したり、声をあげて笑ったり。

どこまで行っても飽きなかった。新鮮が幾度となく僕の前にやって来た。

目の前の景色が明るい色で埋め尽くされた。

久しぶりにこんなに明るい世界に来た気がした。

背中から羽が生えて飛べる気がした。

大げさかもしれないけど、本当にそんな気がした。

こんな体験をしているのは自分だけなんじゃないかと見栄を張れる気がした。

暗くなってからも僕の視界は明るかった。

帰りの電車から覗く風景がキラキラ光っていた。

それぞれと別れて、家に着いた後も高揚感は収まらなかった。

気付いたら夢の中にいた。楽しい思い出が繰り返し僕の目の前に映し出されていた。



気付いたら、もう朝の6時。やっぱり楽しい時間は過ぎるのが速いみたい。

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