喉笛

その喉笛に噛みついて

これは自分のモノなんだと

赤い烙印を捺していく


暴れる君に僕の犬歯

甘く、深く、沈み込んで

君はいともたやすく、おとなしくなる

そこから広がる五感の痺れが

君のすべてを奪うだろう


闇に溶ける吐息が

絡み合って宙をさまよう

互いの熱が混ざり合って


こんなにも近くにいるんだのに

君のココロも

僕のココロも

行き場を失ってしまっているのはなぜ?


何度も何度も噛みついて

滲んだ赤をすくい取る

その刺すような苦みの中に

君の命と甘美を知る


ただ抱き返してくれるだけで良かったんだ

僕が欲しいたったひとつは

こんな形になってしまっても

まだなお叶えられることはない


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