No.007
四月二十日。
午前零時前。
僕の部屋。
「とりあえずこんなとこか……」
アリスの技を一通り記憶した後、僕は今の自分に合う服を買いに行った。
ファッションセンターすぃまむら、いやはや、良心的なお値段なのに、これ程品質の良いジャージを買う事が出来るのだから、すぃまむら、侮り難し。
靴だって、踵部分にエアーが入った有名ブランドのエディダスをお買い上げ。
「しかも安いっ!」
ファッションの時代は今、すぃまむらだよ、うん。
ネイビーカラーのジャージを着て、靴を履き、邪魔になりそうな長い髪はヘアゴムでテールを作り一つに纏めてっと、よし、準備は万端。
髪は切ろうと思ったんだけど、床屋派の僕は美容室なんてこじゃれた世界に踏み入る事ができなかった…………。
「べ、別に入れなくったって、死ぬわけじゃないしさっ!」
それはそれとして。
リリカノさんが言うには、たぶん同じような時間でアナザーに引き摺りこまれるって事だから、そろそろ気を引き締めておく。
脱出方法も問題無い。
昨日、僕が片っ端からドアや窓を開けて回った方法でオーケーとの事。
文献に増えた記載に記された事だから、間違いないだろう、とリリカノさんから説明を受けた。
ただ、こっち側……。
「うおうっ!」
世界が一遍した。
「……突然過ぎだっての」
僕が瞬きした瞬間、あっと言う間の出来事により、自分の部屋からアナザーの中へと世界が変化する。
「ここは……えっと…………職員室があるって事は、あっちが生徒玄関か」
リリカノさんとのかくかくしかじかの中で話し合った計画を思い返し、まずは生徒玄関、僕の内履きが入っている下駄箱へ。
『物が置いてあったり、位置がリアルと同じであれば、きっとこっち側で用意した物もアナザー側に影響を及ぼすはず。引き摺り込まれた後、まずは自分の下駄箱を目指しなさい。そこへ、必要になりそうは物を入れておくから』
もし、これが上手く行かないのであれば、また違う計画をリリカノさんから聞いている。
とにかく、まずは生徒玄関だな。
暗いアナザー世界の校舎を慎重に、音をなるべく立てないように生徒玄関へと向かう。
アリスと高瀬の気配はしないけれど、油断は出来無い。
ここはすでに呪術式の影響下にある世界。
突然引き摺り込まれたように、突然アリス達も姿を現すかもしれない……だから、一切の油断は禁物。
身を低くしながら、柱の陰に隠れたり、角を曲がる時は一度様子を伺い安全だと感じたら先へ進む……。
「ダンボール箱、欲しいよな……」
困ったときに頼れるヤツだしさ。
幸い生徒玄関は結構近い距離だった為、段ボールは必要無くすんなりと到着出来た。
後は……この中に、リリカノさんが用意してくれた物が入っていれば…………。
自分の下駄箱の前に立って、ゆっくりと取っ手を掴み手前に開く。
「…………あった、ホントにあったっ」
見た事無い物がいくつも入っている事から、これは間違い無くリリカノさんが用意してくれたモノだ。
「さて……ここから、リアルと通信が出来るかどうか、だな」
リリカノさんから今朝渡されたのと同じスマートフォンを探し出して、小型のヘッドセットを装着しリリカノさんへコールを試みる。
プルルルル、プルルルル、ブツ。
繋がったっ?!
「もしもし、リリカノさん。初音ですけど、聞こえていますか?」
『えっと、どちら様?』
「どちら様って……初音ですよ。これ、独自回線なんだから、僕以外考えられないじゃないですか…………」
『あぁ、そうだったわね。今夜の夕食は何にしようか考えていたら、あなたの声をすっかり忘れてしまっていたわ』
「今夜の夕食より大事な事でしょっ!」
『静かに。迂闊に大きな声を出してはダメよ。相手に居場所を教えてしまうでしょう?』
「……僕が突っ込みを入れなくてもいいような会話をしてください」
今のは絶対僕だけのせいじゃないと思う。
『手短に話すからよく聞いて。まず、あなたに頼まれていた物、装具を装着しなさい』
「えぇっと、これかな? 想像よりも随分短い、ですね……ちょっと長さが足り無い」
腕、脚共に、随分丈が短く、防具として扱う時に少し注意が必要になりそう。
『大丈夫よ。装着すれば、あなたの身長に応じて長さが自動で変化するから』
「……なるほど、まさかそんなギミックがあるなんて、凄いですね」
『それ、音声認識で装着する事になっているから、台詞が必要なの』
「そんなのは頼んでいないんですけど……」
『いいから、言う通りになさい。変身、と言えばいいだけだから』
「じゃ、じゃぁ…………変身」
何も起きない。
『ダメよ。魂が全くこもっていないわ。ちゃんと、熱い心で魂を込めて言いなさい』
「あんまり頑張ると気付かれちゃうじゃないですかっ?!」
さっきリリカノさんが言ったばかりだ。
『問題は無いわ。変身中は誰も手を出さないのが、二次元のお約束だもの』
「ここはリアルですっ! あ、いや、アナザーですけど……」
『いいから、さっさとやりなさい。時間が惜しいでしょう?』
「時間が惜しいならこんな機能付けないでくださいっ!」
なんて的確なツッコミだろう、自分で褒めてあげたい。
でも、ちゃんと言わないとダメっぽいし……仕方無い、ここは頑張るか……。
「う、ううんっ! コホンッ! いきます」
『ええ、どうぞ』
「変んんんーっ身っっ!」
『…………』
「…………」
『…………』
「何も起きないですよっ!」
とんだ赤っ恥物である。
『足り無いもの』
「何がっ?!」
『変身の後に跳躍するでしょう?、あの時の掛け声、とう、が』
「嘘だっ! そんなの必要無いでしょっ!」
『とても大切な事よ』
「あぁっ、もう、ホント余計な機能! これ、後で取ってくださいよっ!」
気を取り直して。
「変っー身っ! とぉうっ!」
念の為ジャンプもしておく……がしかし。
『……』
「相変わらず何も起こらねぇしっ!」
『馬鹿ね』
「あんたがさせているんでしょうがっ!」
メッチャ恥ずい!
闇の中、一人で変身ポーズまで取っているってのにっ!
『とう、の言い方が悪いのよ。Toの発音。おわかり?』
「本当にその言い方なんでしょうね?」
『ええ。ほら、尺が勿体無いから早くなさい』
勿体無いって思うなら、真面目にこんな機能付けないで欲しいっ!
「これで決めますからねっ!」
半分ヤケを起こし、魂の叫び……ソウルシャウト。
「変っ身ーーーーっ! とぅっ!」
決まった、ちょー決まったよ。
僕がもしイケメンだったならば、ヒーロー者の俳優に抜擢されるくらい決まった。
自画自賛モノ。
『止めてくれるかしら? こっちが恥ずかしくなるでしょう?』
「だぁあああっ! もおっ、僕でもいい加減怒りますよっ!」
『悪かったわ、リアル側はとても退屈だからつい、可愛い冗談が飛び出してしまったの。装具は何もせず、腕と脚にあてがいなさい。後は勝手に装具がしてくれるから』
くぅぅぅ、鬼だっ!
このワガママボディ、鬼の子だよっ!
ぶつぶつと内心で悪態を付き、言われたように、両腕両足に装具を当てる。
カシャンカシャン。
「おおぉ、丈がちょうどいいくらいになった……」
そして自動で装着、すご。
『カーボンとダイヤの物質を合わせ、超圧縮を掛けた素材だから、銃弾を防いでも傷一つ入らない。けれど、あくまでもそれは護身用になさい。アリスを見付けても、見付からないようにする事、逃げる事を優先に動く事。これだけは守って。ゲームじゃないの。あなたの命は一つだけなのだから、ちゃんと心得なさい。いいわね?』
「了解です」
『あともう一つ、小さな紙袋があるでしょう? それがもし高瀬さんに捕まった場合の対処法に使う物だから。再度言うけれど、あなたが飲み込んではダメ。扱いには充分気を付ける事』
「分かりました」
紙袋の中身だけを取り出して、いつでも使用出来るようにジャージのポケットへと入れて置く。
キーンコーンカーンコーン。
「……チャイムだ」
アナザー世界に学校のチャイムが響き渡る。
『どうやら始まるみたいね。初音さん、干渉が可能な事も分かったから、打ち合わせ通りで行くけれど、ちゃんと覚えている?』
「え、えぇっと、アナザーだと一つだけ開くドアか窓があって、リアルでは一つだけ開かないドア、窓があるって文献にあったから、リリカノさんもそっち側から探す……で合ってます?」
『上出来よ。スタート地点は、私がC棟の三階から、あなたがA棟の一階から始めます。その場所から移動するのは大変かしら?』
「いえ、むしろその方が助かります。すぐそこがA棟の一階ですので」
そして、リアルとアナザー世界からの同時進行を……。
「それでは、状況を開始するっ!」
『何よ、突然』
「いえ、一度言ってみたかったので」
アナザー世界だけでは無く、リアルからでも出口を探せるとなれば大分楽になる。
「でも、なんでわざわざリアルにもそんな仕掛けをしたんでしょう? アナザーだけだったら、脱出出来無い可能性の方が高くなりますよね?」
「ただ単純にゲーム、なのかもしれないわ。人間が困ればそれでいいのでしょう。呪いなんて不特定な人間を狙っているものだから遊び半分、なんでしょうね」
「それにしたって、こんなおかしな呪い作らないで欲し…………?」
『初音さん?』
今、背後から何か音が聞こえたような。
ギギ、ギギギギギ。
……やっぱり、何か聞こえる。
硬い物質同士が摺りあって不快な音を出している、そんな音が僕の背後……すぐ後ろから聞こえて、来る……事にようやく気付いた僕は、躊躇う事無く、背後を振り向いた。
「なっ?!」
ギギギギギギッ。
「やばっ! うわあ!」
ブオンッ!
ゴドンッ!
『初音さん、今の音は何?』
「突然後ろに鎧がいて、でっかいランスを振り下ろして来ましたっ!」
動作はそれほど速く無かったのが幸いした。
振り向いたすぐ目の前の、動く鎧が振り下ろした大きな槍を横へ飛びのき避け、一目散にダッシュして逃げる。
『もしかしてそれもまたゲームのキャラクター?』
「はい、ファントムナイトって言う雑魚扱いのキャラですけど……直前まで全く気配も感じませんでしたよ……はぁ、ふぅ……さすがに驚いた……」
Magical Formulaのストーリーモードに出て来た雑兵キャラ。
中身が空っぽの騎士、だったっけ。
魔法騎士少女以外も出現させてくるなんて、思っても無かった。
幸い雑兵扱いだけあって、動きが鈍いから良かったけれど、これからはファントムナイトの事を警戒しなければいけない。
ゲームの中では無限とも思えるくらい出現してくるけど……まさか、ねぇ。
いくら何でも、それだけは無い……と願いたい。
数が多くないにしても、気に掛けなければいけない対象が増える事は、正直キツイ。
『初音さん、あなたは順番に回る事を考えずに、安全な場所を確保しつつ調べて行って問題無いわ。調べられなかった部分は私が調べるようにする』
「すいません、そうしてくれると助かります」
本当にこの提案は、僕にとってとても助かる事だ。
なんだかんだ言うけれど、リリカノさんはやっぱり頼りになる人。
たまにグッサリ来る発言は…………ちょっとくらいなら大目にみよう。
『思ったよりも余裕がありそうね』
「……正直、そんなに余裕があるってわけじゃないですよ。ただ、今回は一人じゃないし、リリカノさんがいるから、だいぶ気持ちの持ちようが違います」
『そう。だからと言って、アリスもそうだけれど、応戦するような事は極力避けなさい』
「ですね、そうします」
リアルとアナザー、双方の世界でリリカノさんと手分けをしながら、窓やドアを調べて行く。
アナザー世界には、結構ファントムナイトが存在している事もあり、僕の方がなかなか上手く調べられない状況だけれど、それを伝えるとリリカノさんは、後でそっち側も回るから楽な場所だけを調べなさい、と再度言ってくれた。
おかげで、そこそこ調べは出来たけれど、変わらず出口は見付からない。
文献に増えた記載だから信用に値する、とリリカノさんから言われているし、それを繰り返さないと行けないのだけれど、窓やドアの数は相当数あって、手応えのような事が感じられないとさすがに疑念も抱いてしまうのが素直な気持ち。
『ふぅ、初音さん、C棟は全て見たけれど、開かないドアは無かったわ。そっちは?』
「んー、ダメです。飛ばした所にあったとすると、A棟は半分くらい調べられていません……ファントムナイトが神出鬼没過ぎてで、思うように動けないのが少し大変です……」
ファントムナイトはその辺を徘徊していたり、突然、目の前や横、更には背後と出現して来るから、体力的な事よりも精神的に神経が磨り減っていく。
「リリカノさん、あのファントムナイトのヤツ等は、僕の気配を感じ…………っ?!」
『初音さん?』
「…………アリスが近くに、います」
微かだけれど、アリスが例の武器を引き摺っている耳障りな音が聞こえる。
間違いない……あの音は絶対アリスの武器だ。
『逃げた方が懸命ね。ファントムナイトよりも厄介でしょうから、今すぐ離れた方がいいわ。一度初音さんを逃してしまったのだから今度は躍起になって、あなたを殺しに掛かって来るはずよ』
本当はどの辺りにいるのか確認したい……でも、リリカノさんの言うように、ターゲットである僕を取り逃がしている……素直に言う事を聞くのが懸命だろう。
逃げよう、アリスは危険だ……僕は狙われる理由なんてないけれど、ここは呪術式の世界……正当な理由なんて必要無いのだろうから……。。
アイツは……僕を殺そうとする事を愉しんでいる事その事態が特にやばい。
あの大剣をいきなり投げて来たんだから……殺さない程度、では絶対に済ませてくるはずが無い。
ファントムナイト以上に気を付けなければ。
「今、B棟の三階へ入りました。たぶん、アリスから離れる事が出来たと思います」
『そう。そしたら、私はA棟へ向かって、もう一度全ての扉を調べて来るわね』
「……すいません、手間掛けさせちゃって」
『いいのよ。こっちは至って安全だから、すぐに終わるわ』
「こっち側からの干渉が出来れば簡単なんでしょうけど……」
それはリリカノさんとの計画の時にも質問した事だ。
リアルからアナザーの干渉が出来るのだから、その逆も可能で、そしたら調べた場所に目印を付けていけば効率が上がるのでは、と。
でも、リリカノさんはこう言った。
『あなたがアナザーで破壊した破片を持って来たのに、無くなった、と言う事であれば、アナザーからリアルへの干渉はほぼ不可能と考えられるわね』
こっちからの干渉が出来無いだなんて……都合が良過ぎて、ホント頭に来る。
そんな僕の思いを察したリリカノさんは。
『初音さん、とても不利な状況だけれど、冷静さだけは欠いてはダメよ。私の見立てでは、あなたは思ったよりも考えながら行動が出来る人だと思っているから、もし、私と通信不可能な事態だったとしても絶対にパニックにはならないように、それを心掛けていれば、絶対に大丈夫だから』
そのおかげで大分気持ちが楽になったのは確かだし、リリカノさんと通信が出来る事が可能だったわけだから、不利な状況だけれど、でも、光明は確かにある。
「頼むから出口、ここにあってくれ……」
B棟も無いとなると、僕が調べられなかった箇所と、後は移動教室や職員室、受け付けや事務室がある本棟を調べないといけない。
あの棟もあの棟で結構な数の部屋があるし……。
「あの、リリカノさん。ドアや窓って言いますけど、例えばトイレの個室のドアなんかはどうなるんでしょう?」
『そこまで詳しい事は記述されていなかったし、私にも判断出来かねるわね』
まぁ、そうだよねぇ…………。
『言い出したら切りが無いから、とにかく教室や外へつながる窓やドアにしましょう。それでもダメなようなら、トイレも可能性としてはあるって事になるでしょう』
「気が滅入りそうですけど……了解っす」
そして無言のままB棟の確認を始め、ようやく三階部分の全てを終えようとした時。
ドギンッ!
「ぎゃあああぁぁぁぁああああっ!」
「なっ?! 何だ今の声っ?!」
人っ?!
僕の他にも誰かいるのかっ?!
すぐ下の階、かなり近くからだっ!
『初音さん、どうかしたのかしら?』
「い、今……鈍い金属音がした後に……人間の叫び声が聞こえました……」
『呪術式に掛かった生徒、だと思う』
「え?! ちょ、ちょっと待ってくださいっ! 僕が呪いに掛かっていれば、他に掛かる人が出ないわけじゃないんですか?!」
『呪術は常に学校の地場で発動しているのよ? そう考えれば一人だけ、だなんて事は無いでしょう? それにあなたがターゲットになる前に、呪術式に掛かっていたとも考えらえるもの』
「っ!」
僕は咄嗟に走り出していた……声が聞こえた、すぐ下の階へと一目散に。
『初音さんっ! もう手遅れよっ! 無茶は止めなさいっ!』
リリカノさんの声は聞こえている……でも、それでも、すぐ近くなんだっ、今直ぐ行けばまだ軽症かもしれないっ!
ダンッダンッダンッ!
薄暗い階段を一段飛ばしでなんとか下り、声がした方向へ視線を向けると、そこには。
黒基調の服装……と、手にはあの巨大な武器。
「アリス……」
まさか、こんな近くにいたのか…………。
「あ、う……あ、が…………」
アリスのすぐ足元には、僕と同じ制服姿の……男子生徒が横たわったまま、呻き声を小さく上げている。
『初音さんっ! 今直ぐその場を離れなさいっ! もうあなたに出来る事は無いのっ! 残酷だけれど放っておきなさい、あなたまでアリスに危害を加えられたら元も子も無いわっ!』
分かってる、もう手遅れだってのは、あの状況を見れば……僕にだって理解出来る。
生徒の頭部辺りの床は、ぬらぬらとした黒い液体が少しずつ面積を大きくしながら、広がって行く。
「ふふ……くすくすくす」
足元で苦しそうに喘いでいる男子生徒を見下ろして……愉しそうに笑っている……口を利けたのか……。
「アリス……事情も知らないヤツを襲って、そんなに楽しいのか」
「ふふふふ」
『初音さんっ、お願いだから言う事を聞いてすぐに逃げなさいっ!』
「分かってます……分かってますけどっ、でも、あんなのあんまりじゃないですかっ!」
『あなたが何をしたって、現状はもう変わらないの。だから、無駄な事は止めなさい』
男子生徒を見下ろした状態のまま、ゆっくりと身体だけ僕の方へ向き直る。
「ようやく会えました。昨夜……逃がした……人ですね。私には、あなたが必要なのです、あなたじゃなければダメです……」
身体を向けた時と同じように、今度は見下ろしていた頭を僕へ向け……そして。
「あはぁ……今日は……逃がしませんから……今直ぐ………………コロスッ!」
ブオンッ!
大剣をノーモーションで投擲して来る。
「くあっっっ!」
間一髪、本当に間一髪……投げた事を理解するのがほんの少しでも遅れていたら、僕は自分の頭を確実に捉えられていただろう。
ドゴオッ!
床に身を屈め何とか避ける事が出来た大剣の行方を見ると……。
「まじか…………」
ずっとずっと向こう……廊下の突き当たりの壁に突き刺さっているのが、大剣の放つ鈍い光で確認する事が出来た。
あんなの食らったら……入院なんてする必要が無いだろ……即死する…………。
「次は……外しません…………当てます」
そう言ったアリスを見ると、手には……あの巨大な大剣が握られている。
「ゲームと同じ、自在に出現させるのも有りってわけね…………リリカノさん、すいません……逃げられそうにも無い状況になってしまいました」
僕は手、膝を床に着いてとても動き難い姿勢になっている。
きっと、僕の動作をきっちり見計らい、アリスはまた大剣を投擲して来るはず。
けど、このままジッとしていたって同じ事……あの大剣が僕を捕らえ…………命を絶つ時間が数分違うってだけだ。
『どうしようも無い、と言う事なの?』
「想像よりもずっと、アリスの動作が凄過ぎて……」
あの大剣を投げるモーションを取らないまま投げ付けた挙句、あれだけの威力だってのに、今、数メートル先にいるアリスは……大剣を握っている右手をゆっくりと振り被り始めているところだ。
「もし、この後……僕が無事だったらまた連絡をするので、ヘッドセット、切りますね」
人間が殴打される時の音なんて……誰だって聞きたいはずが無い。
『本当にどうしようも無いの?』
リリカノさんは至って冷静に聞いてくる。
「分かりません……ただ、やれるだけの事はやってみますから……」
僕はリリカノさんの返事を待たずに、ヘッドセットを耳から外し、ジャージのポケットへ突っ込んだ。
さて……投げてくるのが分かっているのだから、頭部だけは守ってみるとしよう。
リリカノさんに用意して貰った装具があるし、僕が力負けしなければ、生き残れる可能性だってある……衝撃で腕くらいは折れるかもしれない…………。
覚悟を決めて、前髪で隠れて見えないアリスの目が有る位置をジッと見ながら、ゆっくりと姿勢を起こす。
ほんの少しでもアリスが大剣を投げるタイミングが認識出来れば、避けられるだろうけど、振り下ろした動作が見えるかも分からない……それに、薄暗いせいもあり、見えていたとしても、見逃す可能性も考えられる。
どうする……装具で守るか?
それとも、横へ飛び退くか?
守るタイミングを間違えれば、もろに頭部へ食らうし、僕が防御動作に入ったのを確認して投擲する軌道を変えてくるとも限らない。
飛び退くにしてもそうだ……投げた事を確認出来なければ、たぶん……食らう。
飛び退くのが早過ぎれば、防御動作と同じように軌道を変えられてアウト。
くっそ……人外過ぎて反則だっての…………。
「あはぁ…………終わりです……私の寂しさもこれで終わります」
声だけを聞けば、小学校低学年くらいな感じだってのに……言ってる事は戦慄を与えてくる言葉。
「頭……潰します? それとも…………身体、真っ二つします?」
そんなの、どっちもゴメンだ。
軌道を変える事が可能な投げる前に行動してはいけない、軌道の修正が不可能な投げた後に行動を取らなければ。
集中しろっ、よく見るんだっ!
「決めたぁ……死ねぇぇぇっ、キャハハッ!」
とアリスの笑い声と被るようにして。
「あなたなんかにやらせないよっ!」
ヒュヒュヒュッ!
僕のすぐ横を何かが風切り音を発してアリスの方へと飛んで行った。
キキキキンッ!
アリスの目の前に見えない壁が存在し、その壁に跳ね返され、軽い金属の音を響かせて床に散らばる細長い物体。
「…………カッターナイフ?」
床の上に転がった物…………あれは、百円ショップなんかで簡単に変えるカッターナイフだ。
「初音くんっ、早くっこっちっ!」
「……高瀬?!」
「急いでっ!」
「お、おうっ!」
アリスがカッターナイフに気を取られているその隙に、僕は転がるようにして駆け出した。
「逃がさない…………逃がすものかぁぁぁああっ!」
「初音くんっ避けてっ!」
「うわああっ!」
ゴガンッ!
「…………あ、危な」
高瀬が声を掛けてくれなかったら、確実に食らってた……。
パラパラパラ。
投げ付けられた大剣は、落下せず壁にめり込んでいる。
「逃げるよっ!」
「何処へっ?!」
「いいからこっちっ!」
高瀬は渡り廊下を通りC棟の三階、一番奥の空き教室の前まで僕を誘導して来た。
「前の時も言ったけど教室には入れないんだって、ドアが開かな」
ガラッ。
「え?」
なんで、開くんだ……?
もしかして……ここが出口?!
「いいから入ってっ!」
「ちょっ、どう言う事か説明してくれってっ」
ガラガラピシャ。
「…………何だか知らないけど、帰って来れた、のか?」
教室の中を見ただけじゃ、今、どっちの世界にいるのか分からない…………。
「高瀬……いったい何がどうなっているのか説明して欲しいんだけど。ここ、どっちの世界? 僕がよく知っている世界に帰って来たって事、なのか?」
聞いて分かるのかは不明だけれど、教室のドアの前に立っている高瀬に質問をした。
「ふーん、そっかぁ…………やっぱり、あっちに帰りたいんだね」
「高、瀬?」
「結局、私と一緒にここで一生を過ごす考えは無いって事かぁ…………」
様子がおかしい……言っている事が、昨日、アナザーで会った高瀬の言葉と同じだ……リアルへ帰って来れていない…………ここはまだ、アナザー側だ!
「でも、良かったぁ……取られなくて、本当に、良かった…………初音くんもそう思うでしょ?」
「何が……?」
「決まってるじゃない……私に…………殺されたいって、ね。あははぁ」
アリスと同じだ……高瀬も、快楽、愉悦のような感情を抱いて……僕を殺したいと思っているのだろう。
「くっ!」
せっかくアリスから逃げる事が出来たんだ、こんな所で……しかも、クラスメイトに殺されてたまるかっ!
高瀬とは逆側のドアへ足を向ける。
「無駄だよ。私じゃないと、このドアは開かないから」
試しにドアを開いてみるが、ぴくりとも動かない。
「私には普通に開く事が出来るみたいなの。どうしてなのかは知らないけれど。外に出たいなら、無理矢理にでも私を使ってドアを開けなくちゃ。けど、初音くんはそんな事出来無いよね? だって、優しいもん。女の子に手を上げるような事、絶対に出来無い。くすくす、でもね、優し過ぎると損をするんだよ? だってそうでしょ? ついさっきだって襲われている知りもしない相手が気になって行動をした。そして、結局私に捕まった。もっともっと元を正せば、一学年の時、インフルエンザにかかった私になんて、会いに来なければ良かったんだよ。私を切り捨てるべきだった。そのせいで、今こうして……こんな世界に引き摺り込まれているんだから。ほらね、損しちゃってるでしょ?」
そのせいで引き摺り込まれた?
「意味が、分からないんだけど……? この世界と高瀬に何の関係があるわけ……?」
「そっかぁ、初音くんと私では知っている事が違うのかぁ。じゃあ、教えてあげるよ。この呪いに掛かったのはね、実は私の方が早いの。初音くんはその後」
「…………」
「私は初音くんの事が高校一年生の頃からずぅっと好き。それはもう気が狂いそうになる程に、自分で自分を慰めても慰めても慰めても……何回しても足り無い。くすくすくす、私ね、初音くんに犯される事を切に願っているんだよ? ねぇ、初音くん、今なら誰にも邪魔されない、だから私を犯して? どんなに乱暴にしてもいいよ? 初音くんの好きなように扱ってくれていい、初音くんの好きなように私をめちゃくちゃにして構わないから。どおかな? とても素敵な話でしょう?」
一瞬、惑わされそうになる、それはそれでいいかもしれない、そう思ってしまう。
けれど、この世界は正気の世界では無い……狂った現実の世界、どんな事を言われようとも僕が正気を保たなければならない、じゃないと……一気に世界が破城してしまう。
「……高瀬、話しを曲げるな。僕は、どうして高瀬のせいで引き摺り込まれたのか、その条件の事を聞いたんだ」
「あぁ、残念。誘惑されてくれなくて、でもね、今のは本気の思いだから。気が変わったらいつでも好きにして。えっと、どこまで話したのかな? あぁ、そうだ、私の方が先って事だったよね。そして私はオカシクなるくらい初音くんが好き。これが条件なの、解ったかな?」
「解からないって……」
「もぉ、こんな事はどうだったいいのに……けれど、初音くんが望む事だから、私は言う事を聞くよ? なんでも、なーんでも、ね」
「なら、僕を殺すのは止めろ」
「それだけは初音くんの望みでもダメ。他の子には絶対に渡したく無いモノ」
「だから、それは誤解だって……」
「口では何とでも言えるでしょ? それよりも、条件の続きはもういいのかな? それなら……死んで貰う事になるけれど? くすくすくす」
何でもすると言ってるくせに、何でもは聞かない。
好きだと言ってるくせに、殺す。
くっそ、勝手過ぎるだろっ!
「……条件の事、もっと具体的に話してくれないか? 理解出来ないって」
「なら、こっちに来て座ってくれる?」
「そんな危険な事、出来るわけないだろ?」
殺す宣言している張本人の目の前に座れって……自殺行為そのモノじゃないか。
「少し離れた所でもいいから。じゃなければ、続きは無しだよ?」
どっちが言う事を聞かされているのか、分からなくなって来る。
僕は大人しく、高瀬から二席離れた椅子に座る事にした。
そして高瀬は、僕の正面の机に腰を掛けて、そして……。
「目を逸らしたら、条件の話しはこれ以上しないから、いい?」
「……どう言う、意味だよ?」
「こう言う事」
「なっ?!」
反射的に横を向きそうになってしまった事を、何とか踏み止まれた。
「そうそう、それでいいの。くすくす、よく見えるでしょ? 私の下着」
高瀬は僕の正面に腰を掛けた後、目を逸らすなと言ってから、閉じていた足を横へ開いた。
それが何を意味しているのかは、高瀬が言った通りだ。
「はぁ、はぁ、あぁ……どうしよう、初音くんに見られてる。私の下着、見られちゃってる。あははぁ、おかしくなっちゃいそう」
アナザーの世界は真っ暗では無い。
目が慣れさえすれば、それなりに階段の上り下り、今入った教室の机や椅子の位置、そして……高瀬のスカートの中だって、視認する事は不可能では無い。
「はぁ、あはぁ、あはは、ねぇ、初音くん……もっと近くで見ていいよ? 触ったっていいんだからぁ?」
頑張れ自分……高瀬のペースに乗せられるな……それは、それは良く分かっているのに、高瀬のしている行為と言葉に、理性が崩れ落ちてしまいそう。
「高瀬……僕はちゃんと目を逸らしていないんだから、続きを教えろ」
「まだそんな事言っているの? 条件なんかよりも、興味ある事があるでしょう?」
…………耐えろ、ここは呪いの影響下にあるアナザーの世界なんだ、何度も何度も僕は自分へ暗示のように言い聞かせる。
「僕はお前の言う通りにしているのに、お前は約束を破るのか?」
「……解かったよ、話してあげる。でも、ちゃんと見ている事が条件だから忘れないで」
とにかく条件ってのを聞き出せば、この状況を終える事が出来る。
何としてもそれだけは聞いておかなければ。
「えっとね、詰まり。誰かに好意を寄せている人物が呪いに掛かっちゃうと、寄せられている人物もその後に呪いに掛かっちゃうの。今度は理解出来たかな?」
今の場合、高瀬が僕に好意があった。
そして、高瀬に好意を寄せられた相手である僕が、その後、呪いに掛かる。
高瀬はリリカノさんが来る以前に、呪いへ掛かっていた、と言うわけか。
これでリリカノさんが見せてくれた動画の、謎だった事も理解出来た。
好意を寄せるってだけであれば、人知れず出来る事……だから、あの動画の女子生徒と男子生徒の間に接点が無くても不自然な事では無い。
「よくそんな事が分かったな?」
あの文献にだって記載されていない事なのに。
「それは私にも分からないんだ。昨日、この世界へ来てから、気付いた時にはもう知っていた事だからね」
条件の具体的な事を知る事が出来た僕は、席を立ち高瀬から距離を取る。
これ以上は、さすがに僕の理性が保てない……姿が女になったからって、精神は男のままの僕だから……正直、よく耐えたと思う
「あぁ、もぉ……いいところだったのに」
人の気も知らず……こっちはある意味拷問だっての。
「私を切り捨てておくべきだった、って意味も分かったでしょ? そしたら私はあの時、初音くんにここまで好意を寄せる事無く、今に至らなかったと思うから」
「……それは結果論に過ぎないし、先生に頼まれて別に断る理由も無かったから、届けに行ったまでだよ」
「まぁ、私にはもう今更、どうでもいい事だけどね。初音くんが私に殺されてくれれば、それで充分だもん……あは、あはははっ」
座っていた机から下りて、高瀬は狂気染みた笑顔を僕へ向ける。
どうしたらいい……高瀬を殴って気絶させるって手もある、けど……さすがにそれはしたく無い……と、なると…………リリカノさんの計画の一つ、高瀬に捕まった場合の対処法を実行する以外に考えられない、か。
「高瀬、最後に一つだけ、僕の願いを聞いてくれないか?」
「今更こっちで一生過ごすから見逃せ、ってのは無しだから」
「…………これで最後ってんなら、高瀬……とキスしたい」
「え?」
「僕は高瀬とキスがしたい、と言っているんだ。そしたら、その後はどうにでもしろ」
「それ、本気で言っているの?」
「本気かどうかは試してみれば分かる…………」
頼む、上手く乗って来てくれ。
「んーーーー、分かった。そのお願い、叶えて上げる。でも、そう見せかけて私の事を殴るのは禁止だからね」
「高瀬がさっき言ったじゃないか。僕には手を上げるなんて事が出来無いって。それよりも、高瀬だっていきなりブスリってのは無しにしてくれよ? 血の味がするキス、なんて嫌だ」
「そんな事しないから安心して。あぁ、でも、キスの後は絶対に殺して上げるから」
「嬉しくも無いけど…………」
そして僕と高瀬はお互いに向き合い、僕は椅子の上に立ってから、高瀬が目を瞑って少しだけ顔を上げた瞬間を見計らい、リリカノさんが用意してくれた、対高瀬用アイテムをジャージのポケットからそっと取り出し、剥離シートを破って一錠自分の口の中に放り込んだ。
(飲み込まないように気を付けないと…………少量でも結構効果があるって話だったしな。それにしても……対高瀬用アイテムがちゃんと効くかって事もそうだけど、キスする事も含めて、物凄く緊張するっ!)
「んー、初音くん、まだぁ?」
くぅ、なんて甘ったるい声を出すんだよ。
心の準備が全く出来ていないけれど、待たせると怪しまれてしまう…………うわぁもぉっ、勇気が出てこねぇっ!
高瀬のやつ、自分で目立たないとかって事を言ってるけど、普通にしていれば可愛いからな……一年の頃からそう思っていたけど、あぁっもぉっ、緊張するっ!
高瀬の思いに漬け込んだ形になって悪いとは思うけど、たぶん……ノーカウント。
今、幼女姿だし…………きっと、これはキスの内に入らない……わけ無い、か……。
『初音さん、肝心なところで意気地無しな気がするから、キスなんて出来るのかしら?』
この計画を経てた時、リリカノさんに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
確かにその通りだ……と、いかに自分が意気地無しなのか、思い知らされた気分になった事は言うまでも無い。
A Preview
「あのさ、高瀬」
「何かな?」
「そのメガネなんだけどさ、こう、いいタイミングで反射とか出来ないわけ?」
「出来るよ」
「マジでっ?! 他人のギャグが寒かった時に反射させたり、何かこう犯人が誰か閃いた時に反射させたり、格好良くくいって上げる時に反射させたり?!」
「うん、出来るよ。凄いでしょ。あ、一つ予備があるから、貸してあげようか?」
「いいのっ?! 貸して貸してっ!」
「はい、どうぞ。瞼を三秒くらい閉じてから開くと、反射するから」
「ほほう、生体認証センサーってやつか? いやぁ、僕さ、一度でいいからやってみたかったんだよねぇ、こうやってさ、そうそうこれだよこれって、違うでしょっ! これじゃあ、どう見てもビームじゃんっ! 目からビームだよっ!」
「うわ、ちょっと、初音くん、眩しいからこっちにビーム当てないで」
「どこに需要があるわけっ! 止めてっ止めてっ!」
「止めるにはフレーム横にあるスイッチを押すんだよ」
「何故それは物理キー?! まぁ、いいやって、止まって無いじゃんっ! むしろ悪化してるっレインボービーム出しちゃってるよぉっ!」
「あ、だからね、私に向けないでくれるかな? 目がチカチカしちゃうから」
「ならこんなの貸さないでくれるかなぁっ?! あ、メガネ外したら光が収まった」
「ふふふ、完全に道化だね、初音くん」
「それっそれだよっ! 僕が言ってた反射効果はっ!」
「でもさ、この反射効果だって最初は変に見えていたと思うよ? 反射なのか曇ってるのか分からないもん。けれど、今はこの効果を表情として使っていたりするから、それだっていつかは受け入れられるんじゃないかな? うん、そうそう、そうして至って自然風に掛けている事が大切だと思うから」
「……ホントに? これ、正直アホの子に見えない? だって、目からレインボーだよ?」
「大丈夫大丈夫、近いうちにトレンドになっちゃう」
「……一抹の不安はあるけど、高瀬がそう言うなら、頑張って掛け続けるけど」
「あ、だからね、それ掛けて私を見ないでくれるかな? 目がチカチカしちゃうから。あと、少し離れて歩いてくれると、嬉しいなぁ」
「一生トレンド来ないわ、これ……けど、まんまとやらされた感が悔しいから…………食らえっ必殺のっレインボォォォォヴィィィームッ!」
「甘いなぁ、私にはこれがある」
「反射効果で防いだ、だとぉ?! うわっ、ビームの中を通って、反射したビームが目にっ! ぎゃああああ、目がぁっ! 目がぁぁあああっ!」
「その台詞、ホント好きだね、初音くん。もういっそうの事、毎回そのオチでいいんじゃないかな?」
「そんな事したら僕のお目めが持たないよっ!」
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