第47話

 ――夜。


 竜王城の庭園にて、結婚式後のパーティーが行われた。


「ハハハハハハハハッ!! それでは今日というめでたき日と、グレンとヴィオラちゃんにこれから訪れる幸福に、乾杯!」


『『『『乾杯!』』』』


 バジュラがグラスを掲げ、乾杯の合図で皆が乾杯した。

 その後、参加者たちは各々食事をしたり、談笑し合いパーティーを楽しんでいた。



「兄様! どのお料理もとっても美味しいですね!」

「そうだな、ほらレティ、あーん」

「あ、兄様!? こんな人が沢山いる場所で……」

「良いではないか、ほら」

「あ、あーん……」

「ロスト様……」

「あの人本当、羞恥心とか無いよな……」

「今更だけどねー」


 ロストがレティに料理を食べさせる隣で、ラピスはフォークに刺した料理を、男に戻ったゼノムに押し付けていた。


「はいゼノムちん、あーん♡」

「要りません」

「もー、照れ屋なんだからー……婚約者同士なんだから恥ずかしがらなくても良いんだよー?」

「……」

「あっちはあっちで相変わらずだな……」

「だねー」

「うふふふ、ラブラブやなぁ♪」

「ロスト、レティさん、楽しんでくれているか?」


 ロスト達の元にグレンとヴィオラがやって来る。


「グレンさん、ヴィオラさん、はい! とても楽しんでます」

「お義姉ちゃーん!」


 ラピスがゼノムから離れラピスの元に行き、ゼノムは安堵の息を吐いた。


「今日のお義姉ちゃんとっても綺麗だったよー! だよねレティちん」

「はい、思わず見惚れちゃいました……」

「そう言ってくれて嬉しいわぁ♪」

「確かに、今日のヴィオラは世界一美しかったからな……」

「グレン……」


 グレンとヴィオラは見つめ合い、しっぽを絡ませ合う。


「きゃーっ! お兄ちゃん達熱々だねーレティちん」

「で、ですね……あわわ……」


 その後、グレゴリアとガルド、バジュラ、ルピア、ヴァルディ達も来て、楽しく談笑するのであった。







 ――そして翌日、蟻人達は荷物やお土産を箱に運び入れており、その近くでロストとグレンが握手をしていた。


「ロスト、次に会った時は必ず勝つからな」

「いや、俺が勝ち越してやるさ」


 その隣で、グレゴリアがレティを強く抱きしめていた。


「レティちゃん、私はまだ少し用事があって一緒に帰れないんだ……すまない」

「……グレゴリア、レティはロストの家に帰るから、結局一緒には帰れないが?」

「お……お母さん、ちょっと苦しいです……」

「ああ! ごめんよレティちゃんつい……」

「ハハハハハ! 仲良きことは良い事だな!」


 グレン達と別れを済ませたロストとレティはクロに乗り、蟻人達も箱に入る。


「そう言えば、ゼノムはどうしたんだ? 姿が見当たらないが?」


 ロストがそう言うと、ロウズが苦笑いで答えた。


「ゼノム様なら、ラピス様から逃げているかと思われます……」

「成程、ラピスも居ないと思ったがそういう事だったか……別れの挨拶をしたかったが仕方ない、では行くぞクロ!」

「グルルゥ!」


 ロストの合図と共に、クロが翼を広げ、空を飛ぶ!

 そしてそのままロスト達の家の方角へと移動を始めた。


 レティは、徐々に遠くなっていく竜王城を見つめる。


「沢山楽しい事がありましたね、兄様」

「そうだな……また皆で来ような」

「はい、兄様!」


 ロストとレティは、お互いに微笑み合うのであった。

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