第31話

庭園での会話を終えたレティ達は、ロストの部屋に向かい、扉を開けた。





「兄様、ただいま戻りました」





「おおレティ、ラピスと一緒に何をしていたんだ?」





「はい、庭園で少しお話を……」





「ロスト、久しぶりだな」





「お久しぶりやなぁロストはん、元気にしとった?」





レティの後ろからグレンとヴィオラが現れ、ロストに挨拶する。





「グレン! それにヴィオラも久しぶりだな!」





ソファに座っていたロストは立ち上がり、グレンとヴィオラの元に行き、握手を交わした。





「ふふふ♪ ロストはん何か少しだけ雰囲気変わったんやないの?」





「そうか? 俺はいつも通りにしているだけだが……」





「レティはんが傍にいる事で、ロストはんも変わったってことやね、うふふふふ♪」





「ところでロスト、暇なら今から一勝負どうだ?」





「それは良いな、今日こそ決着を着けてやる、それで何で勝負する?」





「そうだな……魔相撲はどうだ?」





魔相撲とは、円形の土俵の中で二人の男がふんどし一丁でぶつかり合う競技の事だ。





太古の昔、鬼人族と言う種族が神事として行った事が始まり、その後世界中に広まったとされている。





そしてこの竜王国ザークでは、魔相撲は年に一度大会が行われている程人気のある競技なのだ。





「俺が稽古に使っている場所がある、そこでやるぞ」





「望むところだ」





ロストとグレンは楽しそうに笑いながら部屋から出ていった。





「お兄ちゃん達また勝負しに行っちゃったねー……まぁいいか、ねぇねぇレティちん、一緒に城下を行かないー?」





「城下……確か竜泉饅頭というのがあると蟻人さん達から聞きました」





「ああ、あれすっごく美味しいんだよー! ヴィオラちゃん家で作ってるんだよねー?」





「ええ! そうなんですか?」





「そうなんよぉ、うちのおとうはんが温泉街一帯を仕切っててなぁ、竜泉饅頭の生産と流通をグレンのおとうはんから任されとるんよぉ……そうや、もしよかったら今から家に来る? ご馳走してあげるわぁ」





「良いんですか?」





「ええよええよ、ほなラピスちゃん、行こかぁ」





「うん♪ それじゃあ出発進行ー♪」





レティ達は城を出て城下にあるヴィオラの家に向かった。

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