第30話

「うぅー……叩かれた所がまだヒリヒリするよー……」


「自業自得だろうが」


「うふふふ、ラピスちゃんも懲りへんなぁ」


自らの頭に手を置いて擦るラピスを見て笑うヴィオラ。


ラピスとレティが覗き見していたのを見つかった後、そのままグレン達と雑談をしていた。


「でも残念やったわぁ……もう少しでグレンがうちにキスしてくれるところやったのに……なぁ?」


「ひ、人前でキスなんて、出来るわけないだろ!」


「そぉなん? うちは見られても構わんけどなぁ……♪」


ヴィオラは妖絶な笑みを浮かべ、グレンに身体を密着させ、グレンの尻尾に自分の尻尾を絡ませた。


「ヴ、ヴィオラ……!」


「うふふふ……♪」


急に密着され、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているグレンの姿を見て、ヴィオラはとても楽しそうに笑った。


「それでラピスちゃん、その子が噂のロストはんの妹さん?」


「そうだよー、レティちんって言って、とっても可愛い子なんだよー♪」


「は、初めまして……レティと言います」


「ふーん……なるほどなぁ……」


ヴィオラはレティに近づき、レティの顔をまじまじと見る。


「え、えっと、あの……私の顔、何か変なんですか……?」


「ん? いや別に変とかそう言うんやないんよ? ロストはんこういう子が好みやったんやなぁと思うてなぁ」


「えっ?」


「ロストはん昔から女の子にあまり興味無いから好みとか分からんかったけど……なるほど、こういう妹タイプの子が好みやったんやなぁ……」


「だよねー、まぁロストちんがそう言う風に育ったのは半分くらいゼノムちんのせいだけどねー……」


「うふふふ、そうやったなぁ……」


「あの、ヴィオラ……そろそろ尻尾を絡ませるのを止めて欲しいんだが……」


「ええ、何で?」


「何でって恥ずかしいからに決まっているじゃないか……ラピスだけならまだしもレティさんもいるんだぞ……」


「ええやないのぉ……うちらのラブラブっぷりを見てもらおうやぁ♪」


「う、うぅ……」


グレンは顔を真っ赤にして俯いた。


「ラピス様、人前で尻尾を絡ませ合うと言うのはそんなに恥ずかしい事なんですか?」


「あー、レティちんは私達の事あまり知らないだよねー……んっとねー、レティちんは人前でロストちんに抱き着ける?」


「ええっ!? そ、そんな事で来ませんよぉっ!?」


ラピスの発言にレティは顔を真っ赤にして返答した。


「でしょ? つまり竜人族にとって尻尾を絡ませるって言うのはそう言う感じなんだー」


「なるほど……」


レティが納得する中、グレンをからかっているヴィオラがラピスに問いかけた。


「そう言えばラピスちゃん、ゼノムはんは一緒や無かったん?」


「ゼノムちん? いやロストちん達とは一緒じゃなかったぽいけど……ねぇレティちん?」


「はい、ゼノム様は一緒ではありませんでしたよ」


「うーん……いつもならロストはんと同じころに位に来てるのに……」


「もしかして兄様の家に来て、兄様を探しているのでは?」


レティの言葉を聞いて、ラピス達が笑う。


「あははははは、まさかー」


「いくらあのブラコンのゼノムはんでもなぁー」


「ああ、いくらあのゼノムがそのような事を……」








「「「……あり得る」ねぇ……」なぁ……」














―一方その頃、ロストの自宅前。


「兄上---------っ! 何処ですかーーーーーーーー! 貴方の愛しい弟ゼノムが迎えに参りましたよーーーーーーーー!」


「……ゼノム様……ロスト様はとっくの昔に出発されたのでは……」


「兄上ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


「……全然聞いてないし……」


「ねぇ、あれこの前の人じゃ……」


「本当ですね、ラピスさんと言う人に引きづられていた人ですね……」


「……何しに来たんだろう」


レティの予想通り、ロストを探しているゼノムであった……












簡易キャラ紹介


ヴィオラ・フォルテ



年齢、26歳


グレン・ザークの幼馴染にして婚約者。

よくグレンをからかって反応を楽しんでいる。

本当はもっと早く式を挙げたかったが、グレンが初心なため婚約から結婚まで10年かかってしまった。

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