第27話

―出発して早数時間。


ロスト達は近くの草原に降りて、一休みしていた。




「兄様、どうぞ」


「すまない、では……うむ、美味い! レティの手作りサンドイッチは絶品だな!」


「本当だ、美味しいですね」


「レティ様は本当に料理が美味くなられましたね」


「このタマゴサンド美味しい~♪」


「こっちのハムサンドもいけるな」


「ふふっ、ありがとうございます」


ロスト達が美味しそうにサンドイッチを食べているのを見て、レティは嬉しそうに微笑んだ。


「そう言えば詳しく聞いていなかったのですけど、竜王国ってどんなところなんですか?」


レティの質問に、蟻人達が答えた。


「竜王国ザークは山の麓にある王国で、様々な効能の温泉がある事で有名ですね」


「温泉……って何ですか?」


「レティ様温泉を知らないのー? 温泉って言うのは地中から湧き出るお湯の事なんだよー」


「地面からお湯が出てくるんですか!? 凄いですねー……」


「あと城下にある温泉街や、竜王国名産品で、温泉卵や竜泉饅頭と言う物がありますよ」


「竜泉饅頭?」


「はい、生地に温泉水を使ったり、蒸しの過程で温泉の蒸気を使った、ふっくらした生地の饅頭です」


「食べるとほっぺが落ちちゃいそうになるほど美味しいんだよねー」


「いや、私達ほっぺないだろ」


「えへへー、そうだったねー」


「そんなに美味しいんですか……楽しみです!」





―数十分後、サンドイッチを食べ終えたロスト達は再び竜王国目指して出発した。








―3時間後。



クロの移動先に、大きな山が見えてきた。


そしてその麓には立派な城壁と大きな城が見える。


「兄様、あれが……竜王国ですか?」


「そうだ、立派な国だろう?」


クロが城壁に近づくと、城壁に居る竜人が青色のランプの光を点滅させたあと、ロスト達に対して敬礼した。


「兄様、あれは何ですか?」


「城の中庭に降りて下さい、と言うサインだ」


そのサインに従い、クロは城に向かって飛んで行く。


すると城から何か小さな飛行物体がこちらに向かって飛んできた。


「ん? あれは……」


「ロストち~ん! レティち~ん!」


「この声は……ラピス様!」


飛んできたのは前にロスト達の元にやって来たのは、竜王国第一王女ラピス・ザークであった。


「久しぶりー♪ 元気にしてたー?」


「ああ、お前は相変わらずの様だな」


「ラピス様、お久しぶりです」


「レティちんも元気そうで何よりだよー♪」


ラピスと会話しながら、ロスト達は城の中庭へと降りた。


ロストとレティがクロから降り、蟻人達が箱から出てきた。


「さて、ロストちん達、竜王国にようこそー! 歓迎するよー♪」


ラピスを筆頭に、中庭に集まっている兵士達がロスト達を歓迎した。


「所でラピス、グレンの姿が見えないのだが、何処に居るんだ?」


「ああ、お兄ちゃんはちょっとねー……むふふふー♪」


「?」


「それよりもー、お父さん達が応接室で待ってるから早く行こうよー」


「分かった、行こうレティ」


「分かりました」


ラピスに案内され、ロスト達は応接室に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る