第20話

―数日後、魔王城、執務室。



現魔王ゼノムが執務机で紅茶を飲んでいると、側近のロウズが執務室に入って来た。


「魔王様、レティ様に関する観察報告書が届きました」


「……そうですか、それで何か変わった事はありましたか?」


「はい、実は……」


ロウズは報告書に書かれていた事をゼノムに話した。


「……何ぃ!? 兄上の元に人間の小娘が3人現れただと!?」


報告を聞いたゼノムはとても不愉快な表情を浮かべた。


「は、はい……後、人間の男も一人いたそうですが……」


「そんなの事はどうでもいい! 問題なのは兄上の元に人間の小娘が増えた事だ!」


ゼノムの身体からどす黒いオーラが発生し、執務机に置かれていたティーカップとティーポッドにひびが入った。


「なんてことだ、これで兄上の周りには4人の小娘が居ることになる……もし新たに増えた小娘共が兄上に惚れてしまったら……」


「か、考えすぎですよ……それに報告では見た限りそんな感情は持っていないであろうと……」


「馬鹿野郎が! 兄上の魅力を知ってしまえば、どんな女だって兄上に好意を持つに決まっているだろうが! そして、兄上と小娘共の間に万が一の事が起きてしまったら……私は……私はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


ゼノムの右手にどす黒いオーラが集まる。


そしてそのままゼノムは執務机目掛けて手刀を繰り出し、執務机は真っ二つに両断された!


「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


「はぁっ……はぁっ……こうなれば仕方あるまい……ロウズ、私はこれから少し外出します」


「え? あの、どちらに行かれるので……?」


「安心しなさい、直ぐに戻ります、待っていてください兄上……兄上のためなら私は……ふふふふ……はははははははは!!」


凄く邪悪な笑みを浮かべているゼノムを見て、ロウズの胃痛は更に悪化した。

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