第7話

―魔王城、執務室。











「魔王様、ロスト様の居場所が分かりました!」


「それは本当ですか、ロウズ」


仕事を終わらせたゼノムが紅茶を飲んでいる。


「はい、調査部隊を総動員してやっと発見出来ました」


ゼノムはあの手紙を読んでから直ぐに部下たちにロストの捜索を開始させていたのだ。


「それでロウズ、兄上の居場所はどこですか?」


「はい、場所は…」


ロウズが机に地図を広げ、ペンで地図に印を付けた。


「ここです」


「ここですか、確か大きな山がある場所ですよね」


「はい、そこでロスト様は蟻人達と共に家を建設し、農作業などをして暮らしていると、部下からの報告に書いてありました」


「なるほど…それで、居たんですか?」


「はい? 何がです?」


「兄上の手紙に書いてあった『妹』は居たんですか?」


ゼノムは少し不機嫌そうにロウズを睨んだ。


「は、はい、手紙に書いていた通り、確かにロスト様の側に妹と思われる人間の少女が居たそうです」


「…なるほど、ロウズ、暫く部下にその少女を観察し、兄上とどのようなことをしているか、どのようなことをされているのかも調べて報告するように命令しなさい、分かりましたか?」


「は、はい! 分かりました!」


ロウズが執務室から逃げるように出ていった。


「…妹、ですか…何故兄上が人間の小娘を妹にしたのかは分からない…しかし」


ゼノムからどす黒いオーラが溢れ、持っていたティーカップにヒビが入った。


「もし兄上に破廉恥な事をしていると分かった時にはその小娘…ただではおかんっ!!」












…第350代目魔王、ゼノム・モナーク。


本人は周りには隠しているつもりではあるが、魔王軍全体に知れ渡っているほどの極度のブラコンである。


ちなみにロストはゼノムがブラコンであることは知らない。

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