第6話
「ふむ…」
「グルルルゥ♪」
「ふふっ、クロちゃんくすぐったいよぉ」
庭でレティがクロと戯れているのを眺めながらロストは魔茶を飲んでいた。
ちなみに魔茶とは魔葉と言う葉を茶葉にした飲み物だ。
ロストはレティを見つめながらこう思った。
「そうだ、ピクニックに行こう」
「と言うわけで今度ピクニックに出かけるぞ」
夕食の最中にロストがいきなりそう言った。
「あの、ロスト様…何でいきなりそんな事を?」
蟻人がロストにそう言うと、ロストが答える。
「いや、昼にレティを見ていたらピクニックに行きたくなってな」
「もしかしてまたレティ様の笑顔が見たいからとかですか?」
「ん? いや、今回はそう言う考えは無かったのだが…しかし確かにピクニックで楽しそうにしているレティの笑顔を見てみたいとは思うな」
「…そうですか、まぁロスト様が行きたいと言うなら私達は止めはしませんが」
「あの…兄様、ピクニックって何ですか?」
レティがロストに質問する。
「知らないのか? ピクニックと言うのは自然の中で遊んだり、自然の中で食事を食べたりして楽しむ事だ、綺麗な景色の中で食事をすると食事も格段に美味くなるぞ」
「なるほど、それは楽しそうです」
「レティ、お前はピクニックに行きたいか?」
「はい! 行きたいです!」
レティが笑顔で答える。
「うむ、良い笑顔だ、ではピクニックは何時行こうか」
「明後日などは如何ですか?」
「よし、では明後日ピクニックに行くぞ」
こうしてピクニックの日取りを決めたロスト達は夕食を再開した。
二日後。
「うむ、晴天だな」
「ピクニック日和ですね、ロスト様」
「うむ、では出発するか」
「兄様、目的の場所はどこなんですか?」
「それは行ってからのお楽しみだ、クロ、頼むぞ」
「グルルルゥ♪」
ロストがレティを抱えてクロの背中に飛び乗る。
「レティ、危ないからしっかり掴まっているんだぞ」
「わ、分かりました、あれ? 蟻人さん達は乗らないんですか?」
「私達はこれに乗ってクロに引っ張ってもらいます」
蟻人達が大きな箱に荷物を入れた後、自分達も乗り込み、縄を箱とクロの尻尾に巻き付けた。
「準備オッケーです、ロスト様」
「それでは、飛べ! クロ!」
「グルゥ!」
ロストの言葉を聞き、クロが翼を羽ばたかせて空を飛ぶ。
「凄ーい! 私空飛んでます!」
「楽しそうで何よりだ」
空を飛んで約一時間で目的地に到着した。
「着いたぞ」
「うわあぁぁ… 綺麗な所ですね♪」
ロスト達が来たのは山のふもとにある綺麗な花畑だ。
「どうだ、凄いだろう?」
「凄いです! こんな綺麗な所初めて見ました!」
レティが凄く良い笑顔になる。
「うむ、今日の笑顔はまた一段と可愛らしいな」
「あ、兄様…」
ロストの言葉を聞き、レティは顔を赤くする。
「ロスト様ー、レティ様ー、昼食の準備が出来ましたよー」
「それでは昼食を食べるか、行くぞレティ」
「はい、兄様」
蟻人達が地面にシートを敷き、荷物から昼食の入った箱を取り出した。
今日の昼食は魔野菜を使ったサンドイッチだ。
「今日の昼食はレティ様も手伝ってくれたんですよ」
「そうなのか?」
「ええ、ロスト様に手料理を食べさせてあげたいって言ってましたよ」
「皆さん! それは内緒にしてくださいって言ったじゃないですかー!」
「いやいや、こういうのはちゃんと言った方が良いんですよレティ様」
「そうそう、大好きなロスト様のために一生懸命作ってたじゃないですかー」
「あ、あぅぅ…」
蟻人達の言葉を聞いてレティが顔を赤くする。
「レティが作ったサンドイッチか、どれ…」
ロストがレティの作ったサンドイッチを食べる。
「うむ、美味い!」
「本当ですか!?」
「ああ、本当に美味いぞ、こんな美味いサンドイッチを作ってくれてありがとうな、レティ」
ロストがレティの頭を撫でた。
「え、えへへへ…」
ロストに褒められ、頭を撫でられたレティは、この日一番の笑顔で微笑んだ。
現主要キャラ簡易紹介
ロスト・モナーク
年齢、26歳。
歴代最強と呼ばれた元魔王。
現在は田舎で農業を営んでいる。
思ったことを直ぐに実行するので、部下達を困らせることがある。
レティ
年齢、16歳。
森の中で倒れていた所をロストに拾われた少女。
過去の事は言いたくないらしい。
自分を助けてくれて大事にしてくれているロストを兄様と呼び慕っている。
蟻人達
年齢、謎。
ロストの部下。
ロストが魔王を辞める時に一緒についてきた。
ロストが赤ん坊の時から世話をしていた、ロストにとって家族のような存在。
人数は全員で10人。
クロ
年齢、10歳
ロストのペット。
見た目は結構怖いが、性格は甘えん坊。
気に入った人の顔を舐める癖がある。
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