第4話

「全く、いきなり倒れたから驚いたぞ」


「ご、ごめんなさい…初めて竜を見たのでビックリして…」


「クロを見て何故そんなに驚くんだ? あんなに可愛いのに」


「…あの竜が可愛いんですか?」


「ああ、頭を撫でてやると嬉しそうに鳴くんだが、それがまた可愛くてな…そうだお前にクロを撫でさせてやるよ」


「い、いえ、結構です…」


「遠慮しなくても良い、庭に行くぞ」


「きゃっ!?」


ロストが少女を抱きかかえ、部屋から出て庭に向かう。


「あ、あの、自分で歩きますから、降ろしてください…」


「良い、この方が速いからな」


ロストは庭に着くと少女を降ろし、クロを呼ぶ。


「おーい、クローッ!」


ロストの言葉を聞き、クロがロストの元に来た。


「グルルルゥ」


「ひっ…」


少女はクロの姿に怯えて、ロストの後ろに隠れる。


「怯えることは無い、クロは大人しいからな、よしよし」


ロストがクロの頭を撫でた。


「グルルルルゥ♪」


頭を撫でられたクロは目を細め、嬉しそうに鳴いた。


「ほら、お前も撫でてみろ」


「は、はい…」


少女は恐る恐るクロに手を伸ばし、頭を撫でた。


「グルルルゥ♪」


頭を撫でられクロは再び嬉しそうに鳴いた。


「下顎を撫でてやるともっと喜ぶぞ」


「こ、こうですか?」


「グルゥ♪ グルルゥ♪」


少女がクロの下顎を撫でると、クロが気持ちよさそうに鳴いた。


「わぁ…」


「どうだ? 可愛いだろう」


「はい、可愛いですね」


「グルルルゥ♪」


「ロスト様ー」


ロスト達がクロを撫でていると、後ろから蟻人達がやって来た。


「ここにいたんですね、部屋に居ると思ったら居ないから慌てましたよ…あ、その子起きたんですね」


「ああ、ところで俺に用か?」


「はい、おやつの時間になったので呼びに来たんです」


「そうか、こいつの分もあるか?」


「もちろんです」


「それならいい、では行くか」


「きゃっ」


ロストが少女を抱きかかえ、家に向かう。


「クロ、また後でな」


「グルルゥ♪」


「そう言えばお前、あいつらを見ても驚いてなかったようだが、どうしてだ?」


「竜を見た後では他の事で驚きたくても驚けませんよ…あの、お願いですから降ろしてくれませんか?」


「こっちの方が速いから良いと言っているだろう」


玄関で少女を降ろし、ロスト達はリビングに行き、おやつを食べ始めた。


今日のおやつはコカトリスと呼ばれる魔物の卵を使って作ったプリンだ。


少女は物珍しそうにプリンを見ている。


「何ですか、これ?」


「プリンと言う食べ物だ、美味いから食べてみろ」


少女が恐る恐るスプーンでプリンを口に運んだ。


すると少女がとてもいい笑顔になった。


「どうだ?」


「美味しいです! こんな美味しい物初めて食べました!」


「そうか」


少女は笑顔で次々とプリンを口に運んで行く。


「ところでロスト様、その子どうするか決まったんですか?」


「ん? ああ、今思いついた」


「今って…まぁいいですけど、それでどうするんですか?」


「うむ、こいつを俺の妹にする」


「「「「「………ええっ!?」」」」」


蟻人達と少女が驚く。


「聞こえなかったか? こいつを俺の妹にするんだ」


「いや聞こえてましたけど、ロスト様本気ですか?」


「ああ、最近この生活に慣れてきたんだが、何か足りないと思っていたんだが、それが今分かったんだ」


「そ、それは一体」


「それは…癒しだ」


「い、癒しですか?」


「ああ、こいつの可愛い笑顔を見ていると、何故だがとても癒されるんだ、だからこいつを俺の妹にしようと思ったんだ、分かったか?」


「いや、全然分かりませんが…とりあえずその子の笑顔が見たいから妹にするんですか?」


「まぁそう言う事だな」


ロストの言葉を聞き、蟻人達がため息をつく。


「はぁ…ロスト様は本当に思ったことを直ぐに実行するんですからな…分かりました、好きにしてください」


「ああ、好きにするぞ」


「えっ、えっ?」


少女が状況を理解できずに混乱している。


ロストが少女に話しかける。


「おい、お前名前は?」


「えっ!?」


「名前だ、早く言え」


「れ、レティです」


「レティ、今日からお前は俺の妹だ、よろしくな」


「え、は、はい!」


「よし、それでは俺もプリンを食べるか…うん、美味い!」







―こうして、レティはロストの妹となった。

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