第3話

とある昼下がり、ロストは森の中を散歩していた。


「さて、今日はあっちに行くか」


ロストは森の西側に向かって歩いて行く。


そのまま森の中を進んで行く。


しばらく歩いて行くと、開けた場所に出た。


ロストは辺りを見渡す。


「ここは見晴らしがいいな、今度ここでピクニックでもするか…ん?」


森の中に少女が倒れているのが見える。


「人間? この山に人間は住んでいないはずだが…」


ロストは少女に近づく。


近くに行き、少女を見ると、少女は全身ボロボロだった。


「ふむ…」


ロストは少女に手をかざす。


「《治れ》」


ロストの言葉と共に光が少女を包み込みボロボロだった少女の身体があっという間に治った。


「怪我はこれでいいだろう、おい、起きろ人間」


ロストが少女に話しかけるが、少女は目を覚まさない。


「起きない…とりあえず連れて帰るか」


そう言うとロストは少女を抱きかかえて、そのまま家に向かって歩いて行った。











歩くこと数十分、ロストは自分の家に到着した。


庭では蟻人達がテーブルやイスを設置し、食事をテーブルに置いている所だった。


「戻ったぞ」


「おかえりなさいロスト様、丁度昼食の準備が出来た所で…ってロスト様、それ人間の女の子じゃないですか、どうしたんですかその子」


「森の中で倒れていたから傷を治したのだが、目を覚まさないのでとりあえず連れてきた」


「連れてきたって…連れて来てどうする気だったんですか?」


「ん? いや、とりあえず連れて帰ろうと思っただけで、その後の事は考えて無い」


「はぁ…ロスト様はその思ったことをとりあえず実行しようとする性格何とかした方が良いですよ? とりあえずその子はベットに寝かせておきましょう」


「分かった」


ロストは少女を自室のベットに寝かせ、その後、蟻人達と昼食を食べた。


昼食を終え、ロストは部屋に戻り、ベットに寝かした少女を見る、少女はまだ目覚めていないようだ。


ロストは椅子に座り、少女が目覚めるまで待つことにした。













2時間後。


「……う、うぅ…」


少女が目を覚ました。


少女は身体を起こし、窓の方を見る。


「……ここ、どこ?」


「やっと目を覚ましたか」


ロストが少女に話しかけると、少女は少し驚いたように目を開き、ロストを見た。


「…誰、ですか?」


「俺はロストだ」


「…あなたが、私を助けてくれたんですか?」


「ん? まぁ…そう言う事になるな」


少女がベットから下りて、ロストに頭を下げる。


「助けてくれて、ありがとうございます」


「礼などいらん、所でお前は何故あんな場所に倒れていたんだ?」


ロストが少女に質問すると、少女の表情は暗くなった。


「…言いたく、ありません」


「そうか、なら良い」


ロストの言葉を聞き、少女が驚く。


「…聞き出そうとはしないんですか?」


「言いたくない事を無理矢理聞いたところで何の意味があるんだ?」


「…あなた、変わった性格をしているってよく言われませんか?」


「ん? よく分かったな、さっきも部下にこの性格を何とかした方がと言われたんだがな、性格って何とかして変えられるようなモノなのか? お前はどう思う」


「…多分、無理だと思います」


「そうか…」


ロストが残念そうに頭を掻いた。


そんなロストの姿を見て、少女がクスリと笑う。


「ふふっ…あなた、面白い人ですね」


「……」


ロストが少女を見る。


「…お前、笑顔が可愛いな」


「……え?」


「いや、さっきまで暗い奴だと思っていたんだが、笑うと可愛いなと思ってな」


「私が可愛い…そんなこと、初めて言われました…」


ロストの言葉を聞き、少女は顔を赤くする。


「そうなのか? こんなに可愛いのにな…」


「あ、あの、可愛いっていうの止めてください…恥ずかしいです…」


そう言うと少女は両手で顔を隠した。


「何でだ? 可愛いものに可愛いと言って駄目なのか? クロには毎日のように言っているんだけどなぁ…」


「く、クロ?」


「俺のペットの事だ、丁度今後ろの窓からこっちを見てるぞ」


「え?」


ロストの言葉を聞き、少女は後ろを向いた。


「グルルルルルゥ」


クロの巨大な顔が窓いっぱいに見えていた。


「……」

「グルルゥ?」


少女とクロの目が合う。


その数秒後、少女は気を失ってベットに倒れ込んだ。

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