第3話 スキル


鑑定師のおじいさんにスキルを聞いたところ


「ほぉ~、こりゃ珍しい。図鑑作成とな」


「図鑑なんて手書きでも出来る事ですよね?それが上手くできるというスキルですか?」


「いや、これは図鑑の手書きをサポートするのではなく、図鑑そのものを作るスキルなんじゃ」


「???どゆこと???」


「探索採取ギルドへ行ったことはあるか?」


「一度だけありますがそれがなにか?」


「あそこに置いてある古びたモンスター図鑑や植物図鑑は見たことあるか?」


「あ~あの古びた図鑑ですか。植物図鑑でしたら一度見た事があります。詳細が書いてあって絵まで書いてありましたからすごく分かりやすかったですね。」


「実はあれはこのスキルで作ったモノなのだよ」


「へぇ~、そうなんですか。どうやって使うんですか?」


「使い方は紙に移しておいたから自分で模索しなさい。」


と用紙を返された。


「分かりました。」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:ペパー

種族:人族


能力:図鑑作成

 ・モンスター図鑑作成に特化したスキル。

 ・モンスターを図鑑に収める事で収めたモンスターを召喚できる(使役出来るかは本人次第)。

 ・収めたモンスターは良好な状態に保たれる。


 使用方法:出ろと念じる事で手元に図鑑が現れ、図鑑から手を離すと消える。

      図鑑を直接対象に接触させる事で収める事が出来るが熟練度に左右される。


      

※能力の詳細説明がいる場合は鑑定させていただきますが、詳細に関して教会が情報を得ることになりますがご了承ください。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



教会からの帰路自身のスキルを考えながら歩く。


ん~これって、商売に活かせないよな。モンスター特化って書いてあるし。

むしろ、冒険者向きのスキルだし。違うスキルがよかったな・・・


「とりあえず、ギルドに寄って図鑑でも見てみるか」




探索採取ギルド


ギルド内は昼という事で、人は少なくすぐにカウンターへとたどり着いた。


「すみません図鑑見せてください」


「どの図鑑がよろしいですか?」


「古くて絵や詳細が書いてあるモンスターの本で」


「かしこまりました。」

受付嬢は後ろの棚からひと際古びた分厚い本を抜き差し出した。


「こちらは貴重な本ですので、傷や破損をした場合それ相応の弁償又は奴隷落ちになりますのでお気を付け下さい」


「分かりました。」


近くにある椅子に座り、本を見る。

本は羊皮紙でできており表紙にはMonsterLibraryと書いてある。

表紙の文字は見たことがなくどこの言葉か分からないが、モンスター図鑑みたいな意味だと聞いたことがある。


中を見ると、モンスターの詳細と共に生きているかの様相のモンスターの全身絵が書いてある。


ペラペラと捲りながら流し読みしていると様々なモンスターが記載されている。何処にでもいるスライムから、生涯商人をしていれば出会わないであろうドラゴンなど、見ていて少し楽しい。

途中から、読むことに没頭してしまった。それがいけなかったのだろう。周囲の騒がしさに気付けなかった。




「てめぇ、どこ見て歩いてんだ!」


「そんなでけぇ図体で道塞いでんのが悪いだろ!」


「てめぇのせいでクエスト品がオジャンになっちまったぞ!どう落とし前つけんだ?!」


「知らねえよ!クエスト完了報告貰えるまで気を抜かないので普通だ!報告前にダメにしちまったお前が悪い」


「なんだとてめぇ!」


とカウンターの前で冒険者同士が取っ組み合いの喧嘩を始めており、受付嬢がオロオロしている。

そのうち殴り合いの喧嘩を始め、一人がこっちに吹き飛ばされた。


吹き飛ばされた冒険者は、あろうことか図鑑がある俺の机の上に倒れこみ机を巻き込み音を立てて崩れ落ちた。

呆然としていると、冒険者は立ち上がりまた喧嘩を始めた。


俺は我に返り壊れた机の破片の中から図鑑を探し出すと、それを見て声を上げた。


「あーーーーーーー!!!」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る