第6話 ガチャを超える小説
自分の存在が間違っているような気がして、ふと、周囲を見回しました。
それまで、周りを見る余裕がなくなっていたことに気づきました。
ジロジロと見るのも申し訳ないので、ざっとですが。
男性の割合が多く、でも、女性もいました。
理系の大学に行っていたので、そういう景色は見慣れていました。
男9:女1みたいな環境でもわりと平気です。
もうすこし女性の割合が多そうな気がしました。
少しでも女性がいると、ホッとします。
服装はまちまちで、ややラフな感じ。
アウトドアより、インドアっぽい雰囲気。
私語もなく、同じ所を見ていて、『みなさん、同じ気持ちで、いるんだ』と、思いました。
—— 小説家になって、一山当てたい。
かどうかはわかりませんが、小説をカクヨムで書いているという共通点のもと、集まってお話を聞いている人たち。
みなさん、前を向いてお話を聞いていました。
誰とも目が合いません。
真剣に小説に取り組んでいる人たち。
そういう印象でした。
◇◇◇
前を向いて、スクリーンを見ると、フルメタルパニック アナザー1巻と甘城ブリリアントパーク1巻の表紙が出ていました。
『フルメタルパニックの続編だよね、どうみても』と思いながら見てました。ファンタジア文庫から出ていたことを、この時、知りました。
出版社とか、あまり気にせずにいます。すみません……。
「島に行った時に、あまぐりがあって……」
という編集さんのお言葉が聞こえてきました。
甘栗?
頭に浮かんだのは『甘栗むいちゃいました』のパッケージです。
離島に行っても甘栗があったから感動した?
甘栗むいちゃいましたなら、コンビニ行けば売ってる気がします。それともなにか特別な甘栗? 天津甘栗ってくらいだから、中国の物が日本の離島で売ってて、それですごいって、感動したんだろうか?
それは、今、ここで言う話なのか?
それで、スクリーンに映っている『甘城』に目が行き、アレを『あまぐり』と読むのか。と、やや納得できました。そう思うと、話しがつながります。
『離島に行って、本屋に天城ブリリアントパークがあった』
なるほどです。
天城と書いてあるけれど、読みが『あまぐり』なのかもしれない。
……いや、あまぐりじゃないよね? でも、意味はつながります。
家に帰ってネットで調べたら『天城ブリリアントパーク』の略称が『甘ブリ』だと書いてありました。
『甘ブリ』が『甘栗』に聞こえてしまったようです。
一文字違いですから、聞き間違えますよね……。
でも今後、天城ブリリアントパークと聞いたら、甘栗に脳内変換されてしまうかもしれません。
メモに、ウェブ小説はいくら全世界に発信できるとはいえ、探しに行かないと読まない。でも、本は全国の書店に10日くらいで並ぶとあったので、そのことをお話していた時だと思います。
だから「書籍になることを目指そうよ」みたいな話だったような。
余談が長くなりました。
(人気のウェブ小説を書いている人に)声がかかってから本になるにはどんなに遅くても1年。けれど、1年かかるのはよっぽどなことで、最短で3カ月、長くても6カ月だそうです。
お話の内容は、「ガチャ6回よりも、面白いと思ってもらえる物を」とのことでした。
それを聞いて、息を飲みました。
私がガチャをするのは、にゃんこ先生に出会った時です。
あの興奮を超えるのは、難しいのではないかと思いました。
ガチャを超える面白い話……。
相当な難易度です。
にゃんこ先生は、全種類集めるために、3~4千円つぎ込んだことがあります。
一番くじはもっとつぎ込んでいます。
おかげさまで、私の部屋にはA賞のにゃんこ先生お二人と、ラストワン賞のまねきにゃんこ先生がいらっしゃいます。
もちろん、その他にもにゃんこ先生がたくさんいらっしゃいます。
あの興奮を、小説につぎ込みたくなるようにしなければならない。
なるほどと思いました。
そういう情熱を傾けたくなる小説を書けということです。
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