第4話 軍人高校生と皇女様のスクールライフ
「皇女様、はやく準備してください。学校に間に合いませんよ!」
「む~、もうちょっと寝かせてください~」
「それ朝から何回言ってんだよ!さすがに僕でもキレるぞ!」
新宿での学校生活が始まって一週間、零機は後悔していた。想像以上に皇女の私生活がだらしないからである。零機は軍人として生きてきたため、全てのことをできるようにといわれていた。戦地で様々な状況に対応できるかで生存率が大きく変わるからである。そのなかには家事も含まれるわけで、几帳面な性格と、潔癖症でもあるのである。
皇女は隠蔽されながら生活していたため、いつ起きようと特に誰にも咎められなかったのだ。そのため、学校に行く上での早起きができないのである。そのせいで、入学式も散々なことになった。時間に間に合わず、入学式の途中で入っていたのである。普通は白い目をされて終わる事実だが、皇女の顔や体格がとても良かったため、注目の的になってしまったのだった。男子だけでなく、女子も例外でなく、入学式は台無しになった。教師陣も見惚れてしまい、注意が遅れてしまったのだ。
それから皇女は毎日のように告白ラッシュを受けている。正直にいって、リア充であった。対応も零機に言うようなものではなく、完璧なお嬢様口調で丁重にお断りしている。学校の生徒の中には、誰がいち早く付き合うか、とギャンブルまで始まっている。
零機はそういったことに特別な偏見は持っていなかったが、さすがに目の前でやられているとイラッとする。それに、護衛にもならず、イライラは募るのだ。まあ、さりげなく護衛をしないといけないので、集団が気を取られているならそれはそれでよかった。
今更だが、二人は同じ家で過ごしている。高級マンションなどでも良かったのだが、できるだけ、一般生徒と同じようにするために普通の二階建ての一軒家に住んでいる。まあ、地下に軍から支給された兵器をいくつも隠してあるのだが。
そんなこんなで朝から零機に落ち着きはないのだ。
「皇女様。いい加減に起きられるようになってください。護衛が一緒に暮らすって意味が最初は良くわかっていませんでしたが、あなたの生活レベルを見ていると痛いほど痛感します」
「し、仕方ないでしょ。今までこんな風に過ごしたことはなっかたのですもの。王宮から出たのも久しぶりだし、あのなかにいたときは朝も夜も関係なかったから……」
「まあ、これからの課題ですよね。あ、そろそろ別ルートになりますか。では」
「ええ、今日も一日お願いします」
「了解しました
「頼みましたよ
皇女は皇后陛下に説得されてからはあまり零機に噛み付かなくなった。それに、幸せそうに生活しているので良かった。いいことか悪いことかはわからないが、同居生活あるある(勝手にそう呼んでいる)は特に起こらなかった。
二人が一緒に登校していることが知れたら、それは大変なことになる。最初は護衛がばれるかもと言うことだったが、今となっては学校内での注目の的になってしまうからである。それに、いろいろな人間や他の種族に敵視されるのはつらい。だが、離れながらも、皇女の監視は怠らない。魔力の蓄積された望魔鏡で見ながら移動する。望魔鏡とは、筒状の形をした望遠鏡の小型版だ。魔力を蓄積させてあって、二百メートル先までははっきり見ることができる。転生の天撃の影響で新宿の町は復興が終わっていないのでその中を通って行ったり、飛び越えたるする。
この学校は国の運営なので、人類だけでなく、他の種族も通っている。軍も人類だけでなく、積極的に他種族のものを加入しているからである。東雲協議審問会は基本、他種族の入会を許していない。だから、東雲監察の学校に行くのは人類だけである。そのため、他の種族は国の監察の学校に通う。
特に何事もなく、学校に着き、零機は自分の席に行く。零機も転入生ということで、クラスの中ではそれなりの話題になる。軍のときと同様、それなりの仲のいい生徒もでき始めていた。
「よ、桐谷。おはよう」
「ああ、おはよう萩原」
今零機に声をかけたのはひとつ前の席の
「おはよー、桐谷君!」
「ん、ああ、柊か。おはよう」
今零機に声をかけたのが隣の席の
「おはよう、今日も眠そうだな桐谷。授業は寝るなよ」
「わかってるって。おはよう柿沼」
今声をかけたのが零機のひとつ後ろの席にすわる
「本当に眠そうね~、私も眠いわ~、おはよう桐谷君」
「僕より君のほうが眠そうだぞ、美輪。おはよう」
今声をかけたのが萩原の隣に座る
比較的零機も一般高校生並みの生活を送っていたと思う。それは燐火も同じで、学校生活を楽しんでいた。燐火も零機と一緒に帰る都合上、柊や美輪と仲良くなった。
そのまま、四月の終わりに差し掛かったが、二人はあまり変わらない生活を送っていた。いつも通り零機が半ば無理やり起こし、学校に行き、授業を受けて他の生徒と遊びながら帰って、そんな当たり前の生徒の日常を過ごした。
新宿区に
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