第33話 校外学習Ⅴ

 一時間ほどの移動時間の後、俺たちは大阪市立科学館へと到着した。この施設で天体について学ぶらしい。

 ここからはクラス別行動なので、俺は秋月と共に三組の集団へと向かう。

「美空! おっはよーう!」

 俺たちの後ろから声がしたかと思うと、女子生徒が秋月に抱きついていた。

「……そちら、彼氏さん?」

 彼女は俺の方をじっと見つめると、そんなことを言った。

「ち、ちがうって。おんなじ部活なの」

 彼女は、へー、というと、何部入ってたっけ、と二人で話を始めた。

 俺はそんな二人に気づかれないように距離をとる。

 一組から順番にプラネタリウムの会場へと入っていく。ここのプラネタリウムは世界でも最大級の規模だそうで、しかも学芸員による生解説で行われるらしい。個人的にとても楽しみだ。

 座席に座ると、視線は自然と天井付近を見るように設計されている。椅子も柔らかく、俺の体を包み込んでくれる――気持ちいい。このまま寝たいと感じさせてくれるような座り心地だ。

――緑坂高校の皆さん、本日は星空の世界へとようこそ。私は学芸員の――。

生解説が始まった。

俺は目をつむり、この星空を創り出す空間に意識を埋没させた。

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