BAR『ポストの墓場』

Log 00010-N 『譲渡・返却予定ログ』★

【Log 00010】 ~ 【Log 00010-c】

【Log 00010　：　当ログの取り扱いに関して】

　当ログには譲渡・返却の可能性があるログ原本の内、返却先が調査済み、乃至はログ回収時に原本の返却要請があったものを集積しています。返却先調査中のログは第九ログを、既に返却されたログの目録は第八ログをご参照下さい。

　尚、永久番指定されたログに返却ログが生じた場合、重要度の低いログは当ログに保管されますが、重要度の高いログについては永久番指定ログに保管されます。当ログに目的物が見つからない場合、店内スタッフへお申し付け下さい。

　〔追記：盗難及びそれに伴うトラブル予防のため、ログの返却に際しては多重の本人確認をさせて頂きます。本人や本人の代理人を自称したログの騙し取りを厳に禁じ、本人詐称が確認された時点で厳重なペナルティが課せられます。　：マスター〕

　〔具体的には？　：ヨシタカ〕

　〔詳しくはお教えできません。ある種の存在維持にとって致命的であるとのみ言っておきましょう。　：マスター〕

　〔わかりません。　：ヨシタカ〕

　〔分からないままで結構。　：マスター〕

【Log 00010-a　：　世界線1-1-2の古民家の書斎で回収された文書群】

　非常に大量であるため内容は割愛。中身は全て同一の個人に宛てられたラブレターであり、差出人は古民家の所有者である老婆の夫である。

　古民家を所有していた夫婦は二年前にアルツハイマー病及びその合併症により双方死去。遺族である家族の強い希望により原本の返却が決定した。複製ログの作成が完了次第返却。複製ログは家族の希望により非公開ログとして第八ログに保管予定。

【Log 00010-b　：　世界線0-0-7の放棄された研究所から回収された文書群】

　数千以上あるため内容は割愛。

　筆跡及び回収された世界線より、Log 00001-cから-zyxの筆者と同一であることが予想される。ただし、文書の記録されている羊皮紙の材質及び使用されている文字はLog 00001に保管されるものとは一致しない全く未知のものであり、内容は現在も翻訳中である。

　筆者の希望により原本の返却を決定。複製ログの作成が完了次第返却。尚、当該複製ログは筆者当人の承諾を得、翻訳後永久番予定ログとして公開予定。

【Log 00010-c　：　店内バーカウンターの忘れ物】

　Dr.Glimの眼鏡。

　顔面の認識阻害改善実験時、眼鏡を外して置き忘れたものと予想。認識阻害は改善の兆しを見せておらず、眼鏡なしでDr.Glimの顔の判別は不可能である。世界線3-3-5内での混乱が予測されるため、Dr.Glimとの連絡が付き次第早急に返却予定。

　本事案を持ってDr.Glimの置き忘れは二十回目である。今後も店内への置き忘れ事案は多発すると予想されるため、-cは常にDr.Glimの忘れ物保管用ログとして空番にしておくこと。

　〔実験と称して飲み会やって眼鏡を忘れてるだけじゃないか！　：ギルバート〕

　〔そう指摘したいのはやまやまですが、我々は業務の一環として彼の眼鏡を預かるまで。もしもDr.Glimの眼鏡の置き忘れが世界線破壊事案に繋がると予想される場合、彼の眼鏡は第二ログ扱いとなります。　：マスター〕

　〔眼鏡が世界を滅ぼす日もそう遠くないな。　：ルーク〕

　〔縁起でもないことを言わない。　：マスター〕