第14話-裕太-
長い夢を、あの日のことを、見ていた気がする。目が覚め、起き上がると体は重い。
今日は大学を休んでしまった。いけないな、ちゃんと行かなくては、と考えを巡らせていると、インターフォンが鳴った。
部屋着のまま、はい、と出ると、そこには高田刑事ともうひとり男の刑事が立っていた。
「私、高田の上司の、結城と申します。四宮さんにお伺いしたいことがありまして、今、大丈夫ですか?」
「…どーぞ」
俺は二人を客間へと案内し、飲み物と菓子を出した。
「お気遣いなく…あの、四宮さんはあの日から4日ほど前に木原さんと会って話をしたと仰っていましたが、本当に、あの内容だけなんですか?」
高田刑事は手帳を開きながら話し出す。
「須藤蓮さんの最期を見た男の子は木原さんである事…聞いたのではないですか?」
結城刑事もまっすぐに俺を見て問う。
そうか、あの時助けに行った駐在さんに話を聞いたのか。
俺は静かに目を閉じる。
何を言われても、何を問われても、冷静でいろよ、俺。
「…ええ、聞きました。それが、どうかしたんですか?」
「木原さんは、本当に、遊んでいただけなのでしょうか?もしもの話ですが、木原さんは、わざと須藤蓮さんを突き落としたのではないですか?」
「わざと?」
わざとな訳、ないだろう。親友だったのに。圭は、落とすつもりなんてなかったんだ。
「突き落としたことは否定しないのですね。…四宮さん、今回の件、全て知っているのは、あなたなんですよね?」
未だ俺をまっすぐに見つめ、結城は言う。
見透かされているようだ。
「証拠はあるんですか、俺が全部知ってるって、圭の死に関係があるっていう証拠が。」
「あなたの髪の毛が、木原の部屋に落ちていました。この間取り調べの時に落ちていた髪の毛と、DNAは一致しています。」
「…!そんな、わけ…」
「四宮さん。あなたが、木原を殺したのですね」
「俺は殺してない!…殺してなんていません…殺しては、いないんです」
圭の最期の姿が、目に浮かんだ。
穏やかな、圭の死に顔が。
俺は2人に、本当のことを話そう、と、決めた。
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