第10話-結城-
ユウガオ 花言葉で検索をかける。
「はかない恋」「夜の思い出」「魅惑の人」「罪」。先ほどアイビーの花言葉を検索したところ、「永遠の愛」「友情」「不滅」「結婚」「誠実」。そして、「死んでも離れない」。花言葉からすると、罪、須藤蓮に関係あることが、濃厚になりつつある。他の植物も調べてみるか。
高田が四宮から聞いた話によると、相談がある、と言われ会っているが、その時話した内容が、少し曖昧であるのか、ごまかしているように見えたと言っていたが、何か知っているのだろうか。例えば、須藤蓮を殺したのは誰なのか。とかか…?
「結城さん。」
ふと見ると、鑑識の
pcの見過ぎで目が疲れたため、目頭を押さえながら、何があったのかと問う。
「結城さんがおっしゃっていたので、気になって、植物名と花言葉、まとめましたよ。割と時間はかかりましたが、木原さんのお母様に伺いながら。」
「ああ、助かるよ野沢さん。」
受け取り、目を通す。
マリーゴールド、「嫉妬」「絶望」「悲しみ」
キンセンカ、「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」
オダマキ、「愚か」
ハナズオウ、「裏切り」「不信仰」
バーベナ「後悔」…………
他にも書かれていたが、要は、罪の意識が、木原にはあったということ。
須藤蓮に対する、悲しみ、絶望、別れ、裏切り、後悔。
木原は須藤蓮に一体何をしたのか。
須藤蓮を、川へ落としたのか?
いま、高田が須藤蓮に関して調べている。
最後に、一緒にいたのは誰だったのか。交番に駆け込んで来たと言う少年を知る必要がある。高田からの情報だが、その時対応をしたらしい、
後日、高田と俺は宮崎元巡査の自宅を訪ねた。
定年退職されたそうだが、未だ若々しく、掃除もこまめに、整理整頓された家だ。
「どうぞ座って、お茶いれますね」
お気遣いなくといった言葉を聞き流し、宮崎元巡査は茶をいれはじめ、どうぞとお菓子付きで出してきた。
お礼を言うと早速話題を切り出す。
「早速なのですが、13年前、少年が、須藤蓮が川に落ち、溺死した事件に関して、知っていることを教えていただきたいのですが。」
「ええ、あの時は、その男の子の友達が、駆け込んできたんです、一緒に遊んでいて、落ちてしまったんだ、はやく、助けてと言われて、わたしも急いで川に向かったのですが、流れが早くて、気づいたらだいぶ下流の方まで流され、その時にはすでにグッタリとしていました。私はとにかく川を泳いで彼を引き上げ、心肺が停止していたため心臓マッサージと人工呼吸を施しました。すぐに救急車も来たのですが、もう、彼の心臓は動かなくて…」
「その、駆け込んできた男の子は一体?」
「確か、名前は、圭くん。木原圭くん。」
木原圭…!?
高田を見ると、高田もあり得ないといった顔で俺をみていた。
木原圭が須藤蓮の最後を見た人間。
罪の意識はそこから…だがなぜ、13年も経った今…?
「どうかされたのですか、結城刑事、高田刑事。」
宮崎元巡査が訝しげに俺たちを見る。
「いや。実は、木原圭は、死んだんです。」
最初に口を開いたのは高田だった。
それを聞くと宮崎元巡査も目を見開く。
「彼も、もういないのですか!…そう、でしたか…圭くんまでも…」
「ちなみになのですが、その事件以降、木原圭には会ったのですか?」
「ええ、何度か。親友を失ったわけですから、心配で。…心優しい子ですよ、木原君は。最後にあったのは去年になりますが、言ってたんですよ、『あの日から10年以上先、来年には咲きそうなんですけど、何十年に一度しか咲かない花があって、それを見ようと約束していたんです。』って。今頃はもう咲いているんだろうに、木原君がいなくなっては…」
「だから、今だったのか……まだ、自殺なのか、他殺なのかわからないんですが、木原のそばにあった花々が、花言葉が全て、罪の意識のようなものだったので、気になっていたのです。」
高田もそれを聞き、ウンウンと頷き、メモを取る。
「そうか、やはりあの日のこと……しかし、足を滑らせて落ちたと聞きましたし、事故なんですよね、須藤蓮くんは。だから自分を責める必要はないのだと、圭くんには言ったのですが…」
宮崎元巡査が悔しそうに俯く。
木原は自殺なのだろうか。
木原と須藤の二人の約束を、他に知っている人間はいたのだろうか?
いたとしても、今のタイミングで…?
やはり自殺と考えるのが可能性が高い。
花を添え、水に氷を入れた人間はきっと、他にいるのだろう。
しかしなんとなくだが、その人間が、俺にはあの人しかいないのではないかと思い、宮崎元巡査の家を出たあと、ある場所に向かった。
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