天狗悩み相談室
「はい、こちら天狗悩み相談室です」
「ど、どうも……」
「はい。今日はどういったお悩みで?」
「は、はい。えっと、あの、その……」
「大丈夫ですよ。緊張しないで、リラァ~ックスリラァ~ックス」
「あ、どうも……。えっと、カラダのことですごい悩んでるっていうか……」
「ああ、鼻ですね」
「えっ、あっ、そうなんですけど……食い気味な……そうなんですけど……」
「フフフ。大丈夫。当相談室への悩みの9割が鼻に関するものですので。私自身、数え切れない程の鼻の悩み略してハナヤミを聞いてきており、その筋ではちょっと名の通った存在であると自負しており、上司も鼻が高いと申しております鼻だけに」
「は、はぁ……」
「それで、どんなハナヤミで?」
「えっと、いくつかあるんですけど、まずよくあるのが自販機です。何にしようかなぁ~って選んでると、鼻が勝手にボタン押しちゃって夏場なのにあったか~いコーヒーが出てきちゃったりするんです……」
「なるほど、あるあるですね。ズバリ、何買うか決めてからお金入れるようにしましょう。はい、次」
「あ、はぁ……次からそうします……。えっと、あとは、男性用トイレの立ってする方で用を足してる時、隣の人が持ってるカバンを僕の鼻に掛けてきたりするんです。いや、もう友達とかなら良いんです。役に立ってるなぁって実感できるんで。でも、全然知らないサラリーマンのオジさんとかが『ちょっと失礼』とか言って掛けてくるんです。いや、もう声かけてくるなら良いんです。イヤなのは無言で掛けてくる時で……」
「なるほど、あるあるですね。ズバリ、鼻を壁にビタッと付ける。はいこれで」
「え……? ちょっと、よくわからないんですけど……」
「だから鼻を目の前の壁にビタッと付けるんですよ。カバンを掛けられる隙間をなくすんです。隙があるからいけないの。カバン掛けられる天狗も痴漢される女の子も」
「は、はぁ……でも、トイレの壁に鼻を密着させるのってちょっと抵抗が……」
「何言ってるの。洗えばいいじゃない。そして風で乾かせばいい」
「……そうします。じゃあ、次が最後の悩みなんですけど──」
「あ、ちょっと待って。わかるわ……私には……腕立てね? そう、腕立ての時必ず鼻がグニャってなって腕より先に……」
「違います。顔を横にしとけば大丈夫なので……。最後の悩みはマスクについてです。インフルエンザ予防として外出する時にマスクして行くんですけど、どっちを優先すればいいのかわからなくて……」
「えっ? どっちって?」
「だから、鼻にかけると口ががら空きになって、口にかけると鼻先が出ちゃうっていう……」
「ああ、それね。穴よ穴。マスクに鼻を通す穴をあければいいの」
「えっ? でもそれじゃ鼻先が……」
「何言ってるの。あなたの鼻の穴はどこにあいてるのわかってる?」
「あっ……根元です……」
「ね。自分の事を知る事こそが、悩みを解決する最初の一歩よ」
「ありがとうございます!」
「いいのいいの、それが私の仕事なんだから。じゃあ、また何か悩みごとがあったらいつでも電話してきなさいね。例えば彼女がヘンなプレイを要求してく──」
ガチャ。
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