2016年6月まとめ

狂気を呑み込め

狂気を孕め

月無き月夜はルナティック

月を呑み込め

月をば呑み込め


狂った人形、素直に笑う

狂った人魚、声も出せずに

狂ったはずの世界のルール

壊れた人形、もう動かない

壊れた人魚、もう喋らない

壊れたままの世界のヴェール

残酷ね、残念ね


竜頭蛇尾とて完成品

未完が貶す謂れ無し

半人半魔の出来損ない

さりとてそれでも一である

しかし三つ首よ、貴様は少々多過ぎるのではなかろうか


何かを壊して何かを作る

それがわたしにできること

壊したままではいられない


少し砕けた世界の話

空から崩れ落ちる欠片は綺麗に奇麗に輝いていた

大きく空いた穴はまるで黒い月のようにも見える

誰かがその穴に触れようとした

けれども近づけば近づいただけ穴は離れてゆく

退けば退いただけ穴は近づいてくる

いつからだっただろうか

その穴のことを地球と呼び始めたのは


回送電車に乗り込んで、向かった先は世界の墓場

沢山の潰えた世界が足元に転がっていた

そのひとつを手に取って言霊を紡ぐ

けれども何も起こることはなかった

何故なら僕に力は残されていないのだから

僕もまた新たに潰えた世界そのものなのだから


あれは今から4年前、1999年のことだった

来年のことを話すと鬼が笑うというものだから、なら2年後の2021年の話をすることになった

ところで今年は何年だったかな

まるでタイムトラベラーみたいなことを言ってしまったよ、そんな訳がないのに

むかついたので彼は平安時代に置いてきた


竜の喘ぎは炎になって、僕の身体を焼き尽くす

僕の悲鳴は歌へと変わり、鬼の角さえへし折った

鬼の角なら地に帰り、土くれさえもが価値を持つ

澄んだ水が洗い流してくれるのだろう

呪いの残滓を、禍の源を


 血に塗れた彼女は笑って言った。

「大丈夫。貴方は私が守るから」

 僕は恐怖のあまり声も出なかった。その沈黙をどう捉えたのだろうか。彼女は僕の頭をまるで仔猫をあやすように優しく撫で、耳で味覚を感じたのかと錯覚するほどに甘い声で囁いた。

「私の魂は貴方のもの。心配なんていらないわ」


雁首揃えて鴉が鳴いた

足並み揃えて猫が行く

耳を揃えて返してもらおう

僕の大事な思い出を


六道輪廻を廻り行く

いつかの願いは待ち惚け

三千世界を薙ぎ払い

誰かの祈りは後回し

唯一無二の私は壊れ

どこかの呪いが成就した


水色は刹那に移り変わる

赤色は永遠を示し続ける

二つが混じりて黒になり、それは光を形取る

二つが混じりて白になり、それは闇を練り上げる


黒き刹那に飲まれて消えろ

竜の腕はへし折れた

蛇の尾の根本は千切られた


それは絵本に伝わる竜のおはなし

ある日、ふたりの竜が喧嘩して二度と遭わないようにと生きる時間を分けました

そこから世界に昼と夜が生まれました

けれども黒い竜は仲直りがしたくて、白い竜を追いかけ始めました

ここから先は絵本の外のおはなし

ふたりの竜は出逢えるのでしょうか


命の残滓は消え失せて、とうとうボクは独りになった

孤独はとっても寂しいけれど、もうすぐみんなに逢えるから

命の残滓を飲み干して、やっとボクは独りになれた

蠱毒はやっと出来上がったから、もうすぐキミらに逢いに行く


さようならが世界から消えた

もう僕は誰かと別れることもなければ、出逢うこともなくなった

あんなに嫌いだったさようならが、こんなにも恋しくなるなんて


誰かの代わりになりたくなくて、自分の姿を自分で探す

誰かに代わりをさせたくなくて、自分の姿を捻じ曲げてった

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