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「ヒョイ! あんた、何してんの!?」
道がない森の中から現れた俺たちを見て、ヒョイの母親くらいの
「こんにちは。彼のお母さんですか?」
「違うよ。この人は、お母さんの姉さんだよ」
俺の問いに、ヒョイが
似た雰囲気があったので、年齢と相まって母親かと思ったが
間違えたことを
「それで、この子はどうしたんですか?」
「森の中でゴブリンに
傷はすでに完治している。背中からヒョイを下ろして地面に立たせると、
「先ほども言った通り、すでに治っているのでご安心ください」
とは言っても、子供が怪我をして帰ってきたら心配するだろう。それが、ゴブリンによるものならなおさら。
しかも、ヒョイのおばさんの悲鳴を聞いた村人が、「何だ、何だ」といった様子で寄って
「ルエミール、何かあったのか?」
「あ、あぁ、あんた! 森にゴブリンが出たってさ。それで、妹のところのヒョイが怪我をしたって!」
「何だと!?」
治っているとさっきから言っているのに、
怪我をして破れたところを
「しかし、ゴブリンか。
ヒョイのおばさんの旦那だと思われる男性は、ゴワゴワと
「あんたたちは、ゴブリンを見たのか? いや、そもそもあんたらは誰だ?」
今気づきました、と言わんばかりに、ヒョイのおじさんは俺たちを見て聞いてきた。
「森の中でヒョイの悲鳴を聞き、助けた者です」
「おぉ、そうか! 今、ヒョイの親を呼んでいるがまず俺から礼を言わせてくれ。ありがとう」
「いえ。それと、ヒョイを
その言葉に、ヒョイのおじさんは目を丸くして、大型の犬の鳴き声のように大きな声で笑いだした。
「ワッハッハッハッハッ!! そうか、そうか! 怪我をしたヒョイを
そして、再び大声で笑いだすヒョイのおじさん。煩すぎて、耳がやられそうだ。
「ヒョイ!」
「お前は何をしているんだ! 怪我をしたって本当か!?」
「うん。でも、お姉さんが怪我を治してくれたんだ」
血に
「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」
まぁ、こういったことは昔から多々あったからな。今さら何も言うまい。
「森に現れたゴブリンは、この兄ちゃんがやってくれたらしい。イゾータはこの兄ちゃんにも
俺の
イゾータは――というかヒョイの両親はマリアの時と同じように、深く感謝の意を伝えてきた。
「それで、二人とも見ない顔だが、この村に何か用かね?」
ヒョイを助けたこととこれは別だ、と言わんばかりに、
「私たち二人は旅の途中でして、今は森の奥で一休みしている
詳しい場所は
「森の奥に人が暮らせるようなところがあったか」「そもそも、道のない森をわざわざ
「そっちのお姉さんも、この森の奥で暮らしているんか?」
「私? 私は、彼と一緒だったらどこでもいいですよ。ただ、最初に住みたいと思ったのが森の奥だったってだけで」
「嘘をつけ」と
「そうか、そうか。いや、すまんな。森の奥は
「私たちは信じていただいて問題ないですよ」
「その通りのようだな」
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