第41話

 これはあくまで私見なので参考にならないと思います。


 作家は、契約書というもので出版社とつながりを持ちます。

 経験上、電子書籍の場合は電子書籍が出版される前に契約書の取り交わしをすることが多いです。

 中にはそれがとても遅い出版社もあります。


 書籍の場合、信頼関係の問題ですが、本が出てから契約書を取り交わします。


 契約書は大切な取り交わしなので、納得出来ない箇所があれば訂正を作家側は提示してもいいことになっています。

 その提示がめちゃくちゃなものでないかぎり、出版社側は話し合って取り決めを考慮してくれます。


 契約書が交わされたら、何があろうと契約書は遵守されます。


 でも、気をつけないと契約書通りに行かない行われないことがあります。

 その場合、作家は積極的に動くべきで、待っていてはいけません。

 おかしいと思った時点で問い合わせをするべきです。

 返事がなければ、一週間と期間を開けて、返事が来るまで待つことが必要になります。


 なぜなら、作家は出版社にとって何百人何千人の中の一人であって、つい忘れてしまわれがちなのです。

 けしからんことですが事実です。


 なので、三ヶ月たった時点で「進捗はいかがですか?」とメールしてみてはいかがでしょうか。

 進捗があれば、「今こういうことをしてますからお待ち下さい」と言われると思います。

 一年たっても進捗がない場合は、「お電話で確認してもいいですか? もしくは伺っても差し支えありませんか?」と出版社側に作家の意思を強く伝えることも可能です。


 これはサラリーマンでも同じです。作家もサラリーマンのようなものですからまずは順当に問い合わせしたほうが無難です。


 そして一番大事なことはこういった進捗内容や事柄を公にしないことです。

 契約書の中にはこのやり取りを外部にもらしてはならないということが記載してある場合があります。

 もしこれを破った場合、作家は相当不利になりますので気をつけてください。


 これはずるい!と思った方は間違っています。

 なぜなら、最初に契約書を結ぶ前に納得出来ない箇所は修正ができるのですから、もし、これは作家に不利だと思った場合は訂正を申し出るべきだったのです。

 それをしなかったのは、作家の怠慢だったと思うべきです。

 中には出版社側有利の契約書に不公平を感じた作家さんもいて、弁護士を通じて契約書を作成し、それを出版社に提示されることもあります。

 契約書の内容がわからない場合は弁護士さんに無料で相談できるので内容を教えてもらうと良いかもしれません。


 さて、問題は契約が履行されるか否かです。契約期間中に何度も問い合わせをしたのに、なかなか契約が履行されない場合は何らかの事情があると考えて差し支えありません。

 契約書が手元にある場合は非常に有利なので、契約書に基づいて、出版社に掛けあってみましょう。出版社が履行できずにいるということであれば謝罪などがあると思います。その場合は履行するということを約束しておきましょう。履行される期日まで待つことも大事です。

 履行されるはずの期日までに履行されなかった場合は、不履行と捕らえて間違いありません。この場合、なぜ不履行になったかを出版社に問い合わせたうえでどういう行動を取るか決めましょう。(少額訴訟というのがありますのでお調べください。ただ出版社の契約書の中には裁判は必ず東京地方裁判所で行うというのがありますので気をつけてください)


 期日までに履行されたが、契約書内に記載されている期日に納金がなかったということも不履行に値します。これもまずは問い合わせをして、「期日内に納金がなかったのですがなぜでしょうか」と聞いてみましょう。もし、なんの問題(経理上(多いです)の不手際だけ)もなければ、翌日には納金されていて当然です。これは来月にとか言われても契約書には何日とあるので、翌日までに支払うのが契約書に基づいたものでしょうと強く言って構いません。納金までは編集部側の問題ですが、そこからは会社の経理側の問題となっていくので編集部側では操作できない場合も多いですが、契約書は契約書ですから強気でいいのです。


 書籍の場合はこれが全て真逆になるので、ものすごく精神上悪いですが、納金されるまで長くかかる場合もあるし、口約束で終わってしまう恐ろしいこともありますのでお気をつけ下さい。


 さて、私見ですが、こういったやり取りは作家と出版社の問題であり第三者には関係ありません。

 もし契約上に問題があり、不満があった場合は、作家はすみやかに出版社と話し合いを行うべきであり、履行されない場合は表沙汰にせずまずは少額訴訟を行うことが懸命です。少額訴訟は3万円以下で行うことが出来ます。


 なぜ作家と出版社内で行うべきかというのは理由があります。


 まず揉めたら、出版社は作家を面倒くさい人間として片付けてしまう可能性があるからです。

 何度も書きますが、作家は掃いて捨てるほどいます。わたしがいなくなっても出版社は痛くも痒くもないのです。

 しかも表沙汰で公にしてしまうと、出版社は全く痛くないばかりか、別の問題で作家にとって不利になります。

 それは、第三者が見るということは他出版社の人間もそれを目にするということだからです。

 もし内密にしておけば、不履行ということで契約を帳消しにしても、その作品を別の出版社から出版することが簡単にできます。


 けれど、作家と出版社のやり取りを公の場でしてしまった場合、もしくは作家が公で話してしまった場合、他の出版社も「この作家は面倒な人間」という烙印を押します。


 それは避けねばならないことです。どんなに作家が正しくても、多勢に無勢なのです。


 悔しいこともあると思いますが、騒ぐ前に正攻法で行きましょう。まずはベテランの作家さんに相談しましょう。

 大抵は期日が守られないことに関してはよくあることなので諦めろと言われると思います。

 出版する約束を何年も経っているのにされないことや、出版社側から見限られてしまう場合もよくあることです。

 その場合も諦めろと言われるでしょう。

 ※追記

 契約書ですでに続編を出版する旨の記載があるならば、作家に有利ですから大いに戦いましょう。

 ※追記

 大御所さんがある出版社に前後編2冊で出版する契約を交わしたところ、なんの理由も伝えられず、いきなり後編は出さないと言われてしまったということがあり、それは大御所さんがその出版社は危険である旨を知らせるべく、ツイッターで公にしたことがあります。どうやら裁判になったか示談になったかしたようですが、等の作品がどうなったか走りません。多分よくある引き上げをしてた出版から再度出版し直すことにしたのではないでしょうか。

 そういう出版社側の身勝手な理由で出版や色々なトラブルが起こって、大御所さんがすべての作品を出版社から引き上げることはあるようです。網二度とそこで仕事はしないという最後通牒でしょう


 出版社とは期日でのつながりです。契約書がなくてもです。

 だから、期日が過ぎたら更新しなければ良いのです。こちらから見限ってやりましょう。

 そして二度とそこの出版社とかかわらなければ良いのです。


 あなたが有名であれば、作品をごっそり引き上げてもいいでしょう。

 もし無名ならば、もう二度と書くもんかと思いながら、実力をつけていくことをおすすめします。


 契約書が交わされて、問い合わせしても無視されて、契約書を出版社側から不履行にした場合は、少額訴訟を起こしましょう。全くの無駄な労力に終わるかもしれませんが、これから先どういうふうに出版社と付き合うべきか分かる部分も出てくるかもしれません。


 私も口約束(依頼された)で原稿をまるまるボツにされたことがありますし、販売における絶対的な不利に追い込まれて作家にとって不利益が生じたため、契約書は不履行であるとして作品を引き上げたこともあります。


 悔しくて悔しくて出版社を呪ったこともありますが、自分の未来がかかっているので決して詳細については語りません。


 もし、あなたが作家になった時、一番大事なのは契約書の内容と密な出版社とのやり取りです。やり取りもせずに文句は言えません。ふんぞり返れるほどあなたは有名ではなく、塵芥の一つでしかないのです。


 悔しかったら有名になることです。頑張りましょう! 


 ※2016/9/21 現時点でどこの出版社とも契約書の内容変更は実行できませんでした。変更するためにはある程度の実績を積んだ作家のみなのかもしれないです。

 ※追記

 実行は今もできてませんが変更ではなく今度は削除を試してみたいと思います。

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