第19話
二重表現、語彙の間違いについて書いたことがあったかすっかり忘れました。
作品を書き終え、自分でチェックしても漏れてしまうのが、二重表現だったり、語彙の間違いだったりします。
校正の時にそれを訂正したり指摘されたりします
まずもって、推敲は作者が行って、編集者さんはしません。
わかりにくい文章をまるまる訂正されることはありますが、やっぱり自分で考えなおして書きたいですね。
では、二重表現ですが、つい先日、同人誌の校正で、下記のような点を指摘されました。
観客席桟敷
という言葉についてです。
私は桟敷が「一段高い場所に設けられた席」というのは知っていました。
でも、あえて、観客席をつけました。
普通はこれは二重表現に見られてしまいます。
ただ、私は読者の目線に立って、桟敷というものをよりわかりやすくしようと思い、観客席桟敷という言葉にしたのです。
文章表現に忠実に書くなら、桟敷席でいいんですけどね。ちょっとこだわってしまいました……。
他にわかりやすいのは、
上を見上げる、下を見下ろす、二階の階段をあがる
でしょうか。
見上げるのなかにすでに上という表現があります。
見下ろすも同様。
わかりにくいのは、二階の階段をあがるくらいでしょうか。
階段をあがるという表現で、一階うえに上がる表現になります。
三階に上がるならば、三階まで階段を登っていった、という表現が適当でしょう。
他には、形容詞や接続助詞、接続形容詞などでしょうか。
もはやすでに。
という言葉は完全に二重表現です。
もはや、もしくはすでにのどちらかで表現は完結しています。
たったほんの少しの。
も同じです。
たった、という言葉で少量という意味を補っています。
たぶん、こういう感じで見直していくと、文章の中に沢山二重表現が潜んでいるかっもしれないですね。
それからもう一つ。
語彙の誤りがあります。
こればかりは覚え間違いが大きいです。
うるおぼえって聞いたことないですか?
これは間違いです。正しくは、「うろ覚え」です。
話し言葉の上で覚え間違ってしまった表現です。
また、
煮詰まる
という言葉があります。
これは物事が整理されていき、解決が目の前、という意味で、物事がにっちもさっちもいかない、という意味ではありません。
その場合は
行き詰まるを使いましょう。
ほかにも、憮然という言葉があります。
これは重々しい苦々しいとか不遜な態度の時に使ってしまう方がいます。
しかし、正しい意味は、拍子抜けして呆然とするという意味なのです。
意外に全く違う意味なのに覚え間違いをしてしまって使ってしまうことが多いはずです。
私にもたくさんあります。
覚え間違いはだれにでもあることなのです。
ですから、webでも構いませんが、辞書は必ず一冊は手元においておきましょう。
意外にwebは間違い表記がされていたりしますから。特に個人ページなどでは……。
※2016/9/26
ここんとこ十人並みを十人前と間違って使ったりして恥ずかしい思いをしました……
※2017
「刀の露」というのがありまして、使ったのはいいけれど、どうしても「刃の露」としか思い出せず、四苦八苦してなんとか検索して、意味を調べたら、露払いの意味でした……ぬぬうう。刃から血が滴るという類語はないものか……。
刀の露と消えると使っていいものか、いまだに悩んでいます。
「刑場の露と消える」と言うのはありますけど、刀の露と消えるはないので間違っていると考えて間違いないんでしょうねぇ。
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