第18話

 最近、気をつけないといけないと意識していることがあります。


 助詞と助動詞なのですが、良くありがちな例でいうと、


 A 私の大切にしているトランペット


 B 大切にしている私のトランペット


 という文章。どちらにしてもいいのでしょうが、どちらも実はわかりにくい文章です

 。


 C 私が大切にしているトランペット


 D 大切にしている、私のトランペット


 こちらが、よりわかりやすい文章です。


 どこがどう違うかは、読み手次第なのか、書き手のセンスなのか分かりません。


 ただ、ひとつ言えるのは、長い文章になったときに、これが顕著に表れるということです。


 ここで一番に表現されるべきものはトランペットです。


 トランペットに係る助動詞や助詞によって、トランペットという名詞を強調するのか、私という名詞を強調するのか、分かれてくると思います。


 C 私が大切にしているトランペット


 がこの中で一番無難な文章です。


 そして、たまに選択しがちなのが、


 B 大切にしている私のトランペット


 です。


 じつは、長い文章になったとき、大切にしているという助動詞がどこに係るのかわかりにくくなってきます。


 そういうときの救済策は、


 D 大切にしている、私のトランペット


 になります。


 もし、なんだかわかりにくい文章だといわれたら、助詞と助動詞を見直して文章を組み立て直してみましょう。意外に長くしてしまっているかも知れないですし、句読点を打ってないことでわかりにくくなっている場合もあります。


 私もごく最近このことに気付いて、意識して使い分けています。


 使い分けることで、強調する文章の要所というのが変わってきます。


 それができるようになると、文章を書くのも楽しくなるかも知れないです。


 ※ 追記


 同じことを他の創作講座も書いていて、同じことを指摘するのだなぁと妙に感心してしまいました。ほかにも、


 a.どんどんわたしはあなたの瞳に惹きつけられて胸がドキドキしてやまない。

 b.わたしはあなたの瞳にどんどん惹きつけられて胸がドキドキしてやまない。

 c.あなたの瞳にどんどん惹きつけられてわたしは胸がドキドキしてやまない。


 さて、あなたはどれが読みやすいですか?


 わたしならbです。


 そういう部分での文章の技術って基本的に必要になってきます。

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