8.キャラクター

 今回は、主人公と脇役の立ち位置について説明していきます。


 隣に立つとか、前に立つとかの立ち位置じゃないですよ。役割のことを指した、立ち位置のことです。


 さて、役割って何のことでしょう?


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 役割とは、お話の中での役割のことになります。


 あくまで、主人公がお話の中では重要な役割を担います。


 グリム童話の<赤ずきん>では、赤ずきんをかぶった少女が主人公です。お話はこの主人公の行動に沿って進められます。


 主人公が登場しない脇役だけの場面であっても、お話の核が主人公に重きを置いているのであれば、重要なものになります。


 お話の筋書きは皆さんもご存じかと思います。


 赤ずきんは赤い可愛いずきんをかぶっているので赤ずきんと呼ばれています。ずきんはおばあさんがくれたものらしいです。でも、その部分は現在は省略されています。本筋のお話とそれほど関係していると思われなかったからでしょう。


 ともあれ、赤ずきんは脇役の母親から、お使いを頼まれます。お母さんに、森に一人で住んでいるおばあさんにパンと葡萄酒などの食べ物を持って行ってちょうだいと言われるのです。


 もしも、お母さんがおばあさんへのお使いを頼まなかったら、お話は先に進まないので、重要な脇役になります。しかも、おばあさんが森に住んでなかったら、赤ずきんはこの後オオカミに狙われることもないでしょう。


 森に住むおばあさんも重要な役割を担っています。


 さて、赤ずきんは道草を食いながら、おばあさんの元へ行きます。赤ずきんがきまじめな性格だったら、お母さんに、「道草を食わずに、またオオカミと口も聞かず、まっすぐにおばあさんの家に行きなさい」と言われたとおりに、お使いを済ませたことでしょう。


 赤ずきんの性格が無防備で誘惑や好奇心に弱いものだったおかげで、お母さんの言いつけを守らず、花畑によっては花を摘み、オオカミに話しかけられれば、馬鹿正直に「おばあさんの家に行くのよ」なんて言ってしまうのです。


 オオカミはおなかがすいていました。おなかがすいていなければ、赤ずきんを食べようなんて思わず昼寝をしていたかもしれないですね。オオカミも重要な要素です。


 まんまとおばあさんの家に先回りし、赤ずきんになりすましたオオカミは、おばあさんを食べてしまいます。今度はおばあさんになりすまし、なにも知らない赤ずきんが来るのを待ち構えるのです。


 赤ずきん登場。なにも知らず無邪気におばあさんの奇妙な点を聞いていきます。赤ずきんが無駄に無防備なおかげで、結局赤ずきんは食べられてしまいます。


 本当のお話はここで終わりなのですが、グリムは教訓的なお話を付け加え、救済措置を取りました。


 いきなり話になんの脈絡もない猟師が現れ、オオカミを撃ち殺し、腹の中から生きたまま、おばあさんと赤ずきんを助け出させます。


 そして、赤ずきんは反省してめでたしめでたしなのです。


 猟師を登場させることで、悲惨なお話は、悪いオオカミが死ぬという代償だけで済み、しかも、赤ずきんを更正させることに成功します。


 悪いオオカミが最後においしい思いをして終わるという昔話ならではの暗い結末では気にくわない、新しいお話作りの感性を持ったグリムにとって、前述の終わり方なら納得がいったのでしょう。


 ともあれ、猟師のおかげで、赤ずきんの主人公としての役割は無事に保たれたというわけです。


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 グリムが作り出した赤ずきんで登場する重要な脇役は、お母さん、おばあさん、オオカミ、猟師と言うことになります。そして、最も重要な脇役は、お察しの通り、オオカミです。


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 お話に重要なのは、主人公と、重要な脇役とその他の脇役なのです。


 重要な脇役は常に主人公と対比をとる存在であり、主人公の行動に深く関わっている方がいいのです。


 主人公との距離感が近ければ近いほど、重要な脇役の立ち位置は光ることと思います。


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 でも忘れてはいけません、お話を引っ張っていくのは主人公です。常に主人公を真ん中に置いたキャラクター構成を考えていきましょう。


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 さて、今回はいろいろ難しい話がたくさん出てきました。


 お話の<筋書き>はリンク先で知ることが出来ます。

 http://kotobank.jp/word/%E7%AD%8B%E6%9B%B8%E3%81%8D


 元々後味の悪いお話を変更し、猟師を登場させて、結末を変える方法。


 これらは、キャラクターの作り方ではなく、お話自体の作り方に関係してくるので、ここでは割愛します。


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 さて、次回は、難しいかもと感じられた、主人公と対比する位置に立つ脇役の話をしていきましょう。

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