サーバル対カバ! 哀しみのサバンナクロー!

 ジャパリパーク最強のフレンズはだれか!


 誰かが言ったこの問いに対して、サーバルキャットのサーバルはこう答えた。


 だれだろー? わかんないや!

 これは図書館にいかないとわかんないかも!


 しかし、その疑問にはかしこい博士達も答えることができなかった!

 ならばここで決めようではないか! 真のジャパリパーク(のキョウシュウエリアのゆうえんちに集まったフレンズ達の中で)最強を!


 ジャパリパーク最強決定戦が今、始まる……!


「というわけで、選手宣誓も終わったことですし、とっとと始めるのです」

「始めるのですよ、かばん」

「あの、対戦順はどうするんですか?」

「それなら準備しているのです。われわれは抜かりないので。よっこらせっと」

「わ、なんですかその箱」


「この四角い箱の中に数字の書かれたジャパリまんが入っているのです」

「①〜⑧まであるのですよ」

「えっと、つまりそれを使ってくじ引きをするってことですか?」

「そういうことです」

「参加者のエントリーナンバーと対応する数字が出てきたら、そいつの出番なのです」

「そういうことなら……ええっと、ここでもう一度参加者のおさらいしていいですか?」


【ジャパリパーク最強決定戦 参加者】

 ①サーバル

 ②カバ

 ③ジャガー

 ④ライオン

 ⑤ヘラジカ

 ⑥シロサイ

 ⑦アミメキリン

 ⑧ヒグマ


「これがエントリーナンバーですよね。じゃあこのジャパリまんを引けば……って、何でジャパリまんなんでしょう?」

「そこは気にしなくていいのです」

「気にしなくていいし、とっとと引くのです。かばん」

「ええっと、ボクが引くんですか? 参加者本人が引くものじゃないんですか、これ」

「かばん。これはヒトであるお前の役目なのです」

「なのです」

「関係ないような……とりあえず引きますね!」


 ガサガサッむんずっ

 ババッ!


「えーと、これは……」

「数字の①ですね」

「サーバルの番号なのです」

「流石ですね、かばん」

「愛なのです」

「なんでそこで愛!?」


「わーい! 最初はわたしだね!」

「サーバルちゃん、頑張ってね」

「そしてサーバルの対戦相手は……そうですね、次はしんざきが引くのです」

「しんざきおにいさんが!?」

「分かりました。引きますん」


 すっ……


「数字の②、なのです」

「カバの番号なのです。サーバルの相手がよりにもよってカバとは……」

「運命力ぅ……ですかねぇ」


「わたくしの相手がサーバルですの? 心配ですわー」

「むー、負けないよ! カバ!」


「えっと、サーバルちゃんとカバさんはさばんなちほー出身で同郷ですよね。何か因縁でもあるのでしょうか」

「えっ、因縁?」

「さあ、あったりなかったりするんじゃないですか?」

「えっ、さっき「よりにもよって」とか「運命力ぅ……」とか言ってませんでした!?」

「言ってみただけなのです」

「われわれ、この島の長なので」

「長関係ないですよね!?」


「というわけで試合相手も決まったので、第一試合サーバル対カバ。とっとと始めるのです」

「ちょっと待ちなさい。この大会って、優勝したら何かご褒美とか貰えたりするのかしら?」

「むぅ、確かに優勝して貰えるのが名誉だけというのも虚しいのです」

「ジャパリまん1年分とかどうですか?」

「1年分!? すっごーい!!」

「残念だけど、それほど興味を感じないわね」


「じゃあ副賞にかばんを1ヶ月レンタルするのです」

「たうぇ!? なんでぇ!?」


「ねぇねぇ博士、レンタルってなになに?」

「1ヶ月、かばんを好きにしていいってことです」

「好きにしろなのです」

「ええっ! それってホント!? ホントのホントにいいの!?」

「おお、すごい食いつきなのです助手」

「言ってみた価値はありましたね。即興ですが」

「即興で決めないでください!」


「じゃあ優勝したらかばんちゃんに何してもいいんだよね!」

「え、えっと、そのぉ、あんまり無理なことは駄目っていうか……あの、ラッキーさんも何か言ってください!」

「サーバル、食ベチャダメダヨ」

「食べないよ!」


「確かかばんって、料理が作れるのでしたわよね……」

「えっと、まぁ、それなりには……」

「少しやる気が出てきたかしら」

「それは良かったのです」


「えっと……それでは、一回戦第一試合サーバル対カバ! 試合開始です!」


【一回戦第一試合サーバル対カバ】


「まぁ、外野が色々と邪推してくれてるけど、わたくしたちの関係はそれほど特別じゃないですわ。そうでしょう、サーバル」

「そうだね! たまーに水場で会うくらいかな! 狩りごっこもしたことないよね!」

「わたくし、狩りごっこ苦手ですもの」

「え、そうだったの?」

「でもまぁ、負ける気はしないわ、ねっ!」


 ドンッ!

 カバは太地を蹴り、サーバルに向かって突進した!


「あ、カバさんが先に動きました!」

「地面を蹴る音が凄まじいのです」

「速いですよ、これは」

「でも、サーバルちゃんなら……」


「うみゃー!」


 サーバルは一瞬で反応して飛びのく。カバの突進を軽々とかわした。


「やはり反応が速いですね。やりますねぇ!」

「今回の参加者は元のけもの基準で重量級が多いなか、唯一の軽量級。敏捷性と反射神経ではナンバーワンかもしれないのです」

「ジャンプ力ぅ……ですかねぇ」

「流石サーバルちゃん!」


「まぁ、狩り"ごっこ"じゃわたくしの方が分が悪いですわね」

「ふっふーん、すごいでしょ!」

「だけど、その逃げ方は悪手でしてよ」


 カバは空中にいるサーバルを見つつ、そのまま走る。


「カバさん、一体どこに向かって……あっ」


 カバは距離を測りつつ、その場所で止まった。


「着地点だよ! サーバルちゃん、逃げて!」

「えっ、えっ!? 地面にカバが! どうやって逃げればいいの!?」


 どごっ!

 カバの放ったパンチがサーバルのみぞおちに突き刺さる!


「ヴッ」


 やけにリアルなうめき声を上げて吹っ飛ぶサーバル。ごんと地面に打ちつけられる!


「サーバルちゃん!?」

「サーバル、貴方の長所はジャンプ力。そしてその弱点もジャンプ力でしてよ」


 悠然と立って言い放つカバと、地面に転がったサーバル。勝負は一瞬のうちについた。


「つまり、あれです。小ジャンプでかわせばよかったのに、大ジャンプでかわしてしまったのが敗因なのです」

「滞空時間長すぎなのです」

「ジャンプ力ぅ……が裏目ですかねぇ」

「サーバルちゃん!」


 かばんは思わず司会の席からかけより、サーバルを抱きかかえた。


「かばんちゃんごめんね……わたし、また先走っちゃった」

「どうしてこんなことに……」

「かばんちゃんに色んなことしたかった……」

「何する気だったの!? ねぇ、何する気だったの!?」

「がくっ……」

「サーバルちゃああーーーん!」


「かばんがちゃばんしてるのです」

「いつものことなので放っときましょう。というわけで、一回戦第一試合の勝者はーー」


「「カバです!!」」


 ひゅーひゅーぱちぱちぱち


「まぁ、当然の結果ですわね。サーバルもまだまだですわ」


 こうして、一回戦第一試合は実力に差がありすぎて、あっさり終了した。そして一回戦第二試合、遂にあの夢の対決が見れる!


 次回「ねこたいけつ」

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