けものフレンズ12.x話「たいかい」
@ofisa-do
ぷろろーぐ
ジャパリパークーーそこはこの世の楽園。
サンドスターにより"フレンズ化"した動物達が暮らす、弱肉強食のない世界。
フレンズ化した動物達は、ジャパリまんを食べながらそれぞれの平穏な日常を楽しんでいた……
しかしあの日突然現れた巨大な黒セルリアンとの激闘が、再びフレンズの野生に火をつけた!
フレンズ達は思ったーー
この中で最強のフレンズは誰なのかと!!
「え、えーと……というわけで『ジャパリパーク最強決定戦』を開催することになりました。司会のかばんです。どうして……どうしてこんなことに……」
「アフリカオオコノハズクの博士です」
「助手のワシミミズクです。いずれこういうことも起こると思っていました。われわれはかしこいので」
「焚きつけたの博士達なんじゃ……」
「われわれも最強が誰なのか興味あるのです。この島の長なので」
「自分では戦わないんですね……」
「特別ゲストも呼んでおいたのです。われわれ、そのへん抜かりないので」
「飼育員のしんざきです」
「えぇっ!? だ、だれ!?」
「われわれが解説者として呼んだのです。動物に詳しいので」
「よ、呼んでいいんですか!? 大丈夫なんですかぁ!?」
「多摩動物公園は水曜日が定休日なので大丈夫なのです」
「そういう問題じゃなくってぇ!」
「たつき監督を呼ぼうとも思いましたが」
「寝かせてあげて!?」
「ぐだぐだ言ってないで選手入場をとっとと始めるのですよ、かばん」
「ヒトは話が長いのです。まったく」
「わ、分かりました。それでは入場していただきましょう! まずはエントリーナンバー1番 サーバルキャットのサーバルちゃんです!」
「わたしがサーバルキャットのサーバルだよ! 今日はぜんぜんよわいーとか言わせないよ! 優勝してかばんちゃんをびっくりさせちゃうんだから!」
「サーバルちゃん……大丈夫かなぁ……」
「あれはそんなにやわじゃないのですよ、たぶん」
「ネコ科の身体はやわらかいですよ、博士」
「サーバルはですねぇ……基本的にはアフリカのサバンナとわれる地域に過ごしていまして、若干ゃ草が生えているところですので……」
「なんか解説しだした!?」
「サーバルの強いところはどこですか、しんざき」
「ジャンプ力ぅ……ですかねぇ。結構高いところが好きなので、1mや2m平気でジャンプしてくれますん」
「あと反射神経の高さと脚力を活かしたフットワークの軽さ、そして大型の蛇も仕留める爪の威力は侮れないのです」
「結局博士達も解説するんだ!?」
「えーと、それでは次の選手いってもらいましょう。エントリーナンバー2番 さばんなちほーの覇者、カバ!」
「まぁ、たまには本気を出してもいいかしらね。サーバルに当たっても容赦しませんわよ」
「うー、こっちだって負けないよ!」
「カバさん、強そうだなぁ……」
「カバの強いところを教えるのです、しんざき」
「咬筋力ぅ……ですかねぇ。噛む圧力は1トンを越えると言われてまして、陸上生物の中では最強と言われてますん」
「見た目に反して、スピードもあるのです。動物だった頃は時速40kmで走っていたと言われてます」
「とっても重そうなのです」
「あらぁ、何かいいまして?」
「たうぇ!? ちょ、ちょっと博士! カバさんすごく怖い笑顔でこっち見てるんですけど」
「シュッ」
「あ、博士が枝に擬態しました」
「わ、わ! すっごく細くなってる!」
「えと、それじゃ次いきますね! エントリーナンバー3番 じゃんぐるちほーの隠れた実力者、ジャガー!」
「どうしてこうなったのか、全然わからん!」
「あ、ジャガーさんはジャパリバスを動かすときにすっごく助けてもらったんですよ。普段は渡し守やってたりして……」
「われわれも戦ってるところあんまり見たことないのです」
「しんざき、ジャガーの解説をするのです」
「対応力ぅ……ですかねぇ。密林に住んでいるので、木に登ったり、泳いだり色んなことができますん」
「今の解説じゃあんまり強そうに見えないけど……」
「いえいえ、ジャガーという名は『一突きで殺す者』というヤガーから来てまして、恐ろしいことに水中戦で巨大ワニに勝つこともあります。『雨の神』とも呼ばれて恐れられている、南米最強の捕食者なんですよ」
「わあぁ、ジャガーさんってすごかったんですね」
「流石しんざきおにいさん、詳しいのです」
「ネコ科の飼育担当ですから、これくらいは」
「しんざきおにいさんの担当動物は、ライオン、チーター、サーバルなのです」
「続きまして次の選手は……あっ、遂にこの方が出てきました!
エントリーナンバー4番 百獣の王、ライオンです!」
「まーてきとーに頑張るよー」
「あっ、気が抜けてるモードになってますよ! 大丈夫なんですか!?」
「優勝候補なのです」
「そうですね、博士」
「あの、やっぱりライオンさんって強いんですか?」
「ライオンはですねぇ、百獣の王と呼ばれてまして、統率力ぅ……ですかねぇ。ネコ科の中で唯一群れを作る動物でして、協力して狩りをしますん」
「まぁ、こんかいは単独での戦いなのですが」
「統率力意味ない!?」
「ライオンのオスというのは、狩りより戦いに特化してる体格になっておりまして、他の個体との戦いに勝ち続けた最強のオスのみが群れのボスをやることが出来るのですん」
「ああ、群れを率いるには強さが必要……ということですか」
「流石はしんざきおにいさん、まるでネコ博士です」
「次の選手は……やはり出てきました! いや、こういう舞台にこの方が出てこないわけがない! エントリーナンバー5番 森の王、ヘラジカ!!」
「ヘラジカだ! ずっとこの日を待っていた! さあ、戦おう!」
「相変わらずすごいオーラですね、ヘラジカさん」
「腕組みしててえらそうなのです。われわれが長なのに」
「ヘラジカはですねぇ、日本には馴染みのない動物と思われてますが、実は旧石器時代には日本列島にいましたのん」
「えっと、日本ってどこですか……」
「かばん、そこはスルーするのです」
「われわれの世界にはジャパリパークしか存在しないのです」
「というかアフリカや南米にはツッコミ入れなかったのに、今更なのです」
「しんざき、解説を続けるのです」
「突進力ぅ……ですかねぇ。あの、鹿科でも最大級の大きさでして、そのパワーとスピードはジャパリバスを軽々と破壊する威力ですん」
「あのバスを? すごいんですね、ヘラジカさんって」
「単純に強いのですよ、馬鹿なので」
「猪突猛進なのです、馬鹿なので」
「ああ、馬"鹿"ってそういう……あ、何でも無いです! ボク、そういう意味で言ってませんからね!」
「続きまして……まさかこのフレンズが参戦するとは! エントリーナンバー6番 シロサイ!」
「さぁ、わたくしの本当の強さをお見せしますわよ!」
「えっと、シロサイさんってヘラジカ軍団にいた人ですよね。何で……?」
「何でもなにも、アレも一応最強候補なので」
「一応そういうことなので」
「そんなに強いんですか?」
「シロサイの強いところを言うのです、しんざき」
「シロサイはですねぇ、サイ科の中でも最大、陸上動物の中でもゾウに次ぐ大きさでして、突進力ぅ……ですかねぇ」
「突進力かぶってますよ!?」
「防御力ぅ……ですかねぇ」
「言い直した!?」
「まぁ、次の選手紹介にいくのです」
「ちょっと! 扱い雑ですわよ!」
「えーと、続きまして……えっ!? この人も出るんですか? エントリーナンバー7番 アミメキリン!」
「怪しい大会ね……誰でもかかってきなさい! この名探偵アミメキリンが犯人を見事当ててあげるわ!」
「犯人って何!?」
「というわけで、意外なフレンズが来たわけですが……」
「意外でも何でも無いのです」
「極めて順当な結果なのです」
「やっぱりアミメキリンさんも強いんですか?」
「アミメキリンの強いところを言うのです、しんざき」
「アミメキリンはですねぇ、とても長い脚と長い首を持ってまして、地上にいる動物の中では最も背の高い動物になります。キック力ぅ……ですかねぇ。その後ろ脚での強力な蹴りはライオンすら仕留めてくれますん」
「すごいんですね、アミメキリンさんって! 意外でした!」
「かばんは意外と毒を吐くのです」
「流石はヒトですね」
「えーと、次が最後の選手になります! 最強決定戦といったらこのフレンズ無しには語れない! パークの危機を何度も救ってきた最強のセルリアンハンター! エントリーナンバー8番 ヒグマ!」
「セルリアンハンターじゃ私が最強という自負はあるが、他のフレンズとは戦ってないからな。もちろん、この大会でも優勝してみせるさ」
「ヒグマさんは黒セルリアン戦ですごく活躍したって聞いてます。とてもお世話になりました」
「われわれの頑張りあってこその活躍なのです」
「お膳立てしてやったのだから、決めるとこ決めてくれないと困るのです」
「あはは……でもセルリアンハンターだけあって、戦い慣れてそうですね」
「否定はしないのです」
「けものとしても、フレンズとしても、とても強いのです」
「じゃあ、しんざきおにいさん、解説の方よろしくお願いします」
「ヒグマはですねぇ、日本の陸上動物の中では最大でして、あの、アプリ版での必殺技名が『さいきょーくまくまスタンプ』と言いまして……」
「ちょっと待ったぁ! 先代のことには触れるな! というか何で知っているんだ!?」
「何でもなにも、しんざきはアプリ版からけものフレンズをやつているのです。当然、知っているのですよ」
「あのー、アプリ版って一体……」
「かばんは知らない方がいいのです」
「アプリ版は……絶滅したのです」
(あまり深くツッコまないようにしよう……)
「しんざき、ヒグマには○○力って無いんですか?」
「もふもふ力ぅ……ですかねぇ」
「なんかかわいい!」
「というわけで、全選手入場を終えたのです」
「たのです」
【ジャパリパーク最強決定戦 参加者】
1 サーバル
2 カバ
3 ジャガー
4 ライオン
5 ヘラジカ
6 シロサイ
7 アミメキリン
8 ヒグマ
「そうそうたるメンバーですね。博士達は一体誰が優勝すると思いますか?」
「それはわれわれのかしこさを持ってしても分からないのです」
「神のみぞ知るです」
「ただひとつ言えるのは……サーバル乙」
「乙なのです」
「ひどいよー!」
「それにしても、他のフレンズさんはどうしたんですか? オーロックスさんとかキンシコウさんとか強そうなのに」
「予選落ちしたのです」
「予選があったんですか!?」
「オーロックスはヒグマに負けて、キンシコウはカバに負けているのです」
「そうだったんですね……じゃあ、この参加者達は予選を勝ち抜いた強者というわけですね」
「はい。サーバルはコツメカワウソに勝って出場しました」
「歴史に残る名勝負でした。思い出すたびに涙が出るのです」
「どんな試合だったの!?」
「あ、選手宣誓忘れてたのです。あれがないと締まらないのです」
「かばん、やるですよ」
「え、ええ!? なんでぇ!?」
「かばんだからです」
「いや、ボクは選手じゃないですから!」
「うみゃー! わたしやってみたいわたしやってみたい!」
「サーバルちゃん!」
「仕方ないわね、ここはこの名探偵に任せなさい!」
「アミメキリンさん!?」
「大丈夫なのですかこの組み合わせは!」
「へーきへーき!」
「せんせー! わたしたち!」
「わたしたちは!」
「サーバルちゃん、口上かぶってるよ!」
「パークの掟にしたがい!」
「正々堂々と!……正々堂々と、えっとぉ……うー! がおー! たべちゃうぞー!」
「たべないでください!」
「犯人を!」
「かばんちゃんを!」
「「つかまえることをここに誓います!!」」
「全然違うよ!」
「ジャパリ歴199X年!」
「ウェルカムトゥーようこそジャパリパーク!」
「「このイカれた時代へようこそ!!」」
「もうわけわかんないよ! 二人とも!」
そんなこんなで、ジャパリパーク最強決定戦がドッタンバッタン始まったのだった……!
続く!……のかどうかはわからん!全然わからん!
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