最終話 来季へ向け
ヤンキースナインは優勝を決めた一週間後にアメリカに旅立った。
メジャーリーグの覇者、ロサンゼルス ドルフィンズとのWBC(ワールド ベースボール チャンピオンズシップ)の決定戦を行い、3勝4敗で惜しくも敗れ去った。
しかし、ヤンキースが誇る超重量クリーンナップはメジャーの選手をも凌駕する程の打力だった。
特に守山のパワーは圧巻で、ポストシーズン最多の6ホーマーを放ち、メジャー各球団が注目する程の的だった。一気に守山の名はメジャーに知れ渡った。
そしてヤンキースは帰国し、地元千葉で凱旋パレードを行う。
オープンカーに乗ったナインを取り囲むように、ヤンキー達が乗る改造バイクの爆音が響く。
オープンカーには、オーナーの塗呂も同乗し、リーグ優勝のキャンペーンとして自身が経営するキャバクラの60分無料サービス券と、中国エステのマル秘マッサージの無料券をばら蒔いた。
パレードは、ヤンキースナインそっちのけで、ヤロー達が無料券を奪い合う程の熱狂ぶりだった。
しかし女性ファンからはブーイングが起き、塗呂のはからいでネット販売をしている夜の玩具を女性限定で無料販売すると宣言、ファンは大いに喜んだ。
パレードから数日後、新人王とMVP(最優秀殊勲選手)が発表された。
新人王は、11勝6敗 防御率2.89の成績を上げたヤンキースの北岡が受賞した。
MVPはダントツの投票で守山が選出された。
打率293 ホームラン46 打点106という成績だった。
これからまた来季へ向け、各球団は戦力補強を行うストーブリーグに突入する。
ドラフトの目玉選手や、FA権を得た選手の獲得に注目が集まる。
東京ゴールデンズの主砲、浅野はFA権を行使し、メジャーリーグに挑戦すると発表。
同時に穴堀もオーナーの職を退き、球界から身を引くと表明。
新生東京ゴールデンズとして来季に向け始動した。
四国では、イカサマ野球を暴かれた土佐ハードパンチャーズは、沖縄の企業が球団買収し、来季から【那覇マシンガンズ】とチーム名を変え、沖縄を本拠地として新たにスタートする。
そしてシーズン途中で消滅した、東北ブレイカーズは新潟にある有名企業が球団の新規参入に名乗りを上げ、
資格審査に合格。
来シーズンより、【新潟バトラーツ】という新興球団が誕生し、以前の10球団に戻りペナントレースに参戦する。
エンペラーズでは、ファーストの垣原が現役引退を発表。
節目の2000本安打達成を機に、バットを置いた。
来年から解説者として、外から野球を学び、指導者として再びエンペラーズに戻ってくる事を約束した。
垣原の抜けた穴は、松浦がファーストにコンバートされ、新人の山下が本来のサードのポジションからレフトにコンバート予定である。
更にエンペラーズはナダウ・ヤマオカ監督の辞任を発表。
次期監督はヘッドコーチの佐久間が昇格。
スミス特別打撃コーチは、来季よりヘッドコーチに就任となった。
トーマスJr.は、契約を一年延長したいと申し出て、球団と新たな契約を交わした。
トーマスJr.の代理人はメジャー各球団との交渉をしていたのだが、エンペラーズで優勝する事、そしてスミスコーチの下でプレイをしたいという強い要望に折れるような形でメジャー復帰を諦めた。
珍太郎の息子達である、元春はアルコール依存症により、施設に入院。
現在は落ち着き、また近い将来球界に指導者として復活する予定だ。
弟のキヨシは、社会人野球の監督として采配を振るいチームを都市対抗野球で準優勝させるという功績を上げた。
そして問題のひろしだが、週刊誌で人気を博した【宇棚ひろしの人生はうだな(^-^)】が打ち切りとなり、現在は父である珍太郎と共に日本各地を周り歩く。
珍太郎はその土地の女性と深い関わりをもち、老骨に鞭を打ちながら種を蒔いた。
ひろしはその様子を見ながらもいまだに童貞だったのだ。
「何時までもサイトなんかやってねぇでナンパでも何でもして女作ってこい、いつまで童貞を守ってやがんだ!」
珍太郎は常々博之に口酸っぱく言うのだが、ひろしは相変わらずである。
「朝の朝食に喜多方ラーメン、ごぼうサラダワカメの味噌汁ありですか?」
…さすがバカ親子である。
完
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