条件は3つ

「さて、オーナーさん。これをバラしたらアンタどうなる事か解ってるよな?」


珍太朗が畳み掛けた。


「ふっ!そんなものどうにでもなるわっ!ウハハハハハハ!」


「あ、これウチのオーナーにも送ってあるから」


「にゃんと!!」


「ちょい待ちな」


珍太朗はスマホを取り出した。


「アンタにいい人を会わせてやるよ」


珍太朗はニヤリと笑った。


次の瞬間、ドアが開き、何者が入った。

入ったはいいが、いきなりつまずきズッコケ顔面を強打した。


「ぬぎゃっ!」

そのマヌケが鼻血を出しながら立ち上がった。


「ぬーーーーーん!!プロ野球のオーナーとしてあるまじき行為!このセクハラヤローめ、球界から消えてしまえ!ムヒョヒョヒョヒョヒョ!」


入ってきたのはエンペラーズオーナー 阿佐 太智夫だった。


「そういう事だ、結野アナ!テメー、名前の通り小せぇヤツだな、ワハハハハハ!」


何とライバルであるエンペラーズのオーナーにも企みがバレてしまった。


結野は四面楚歌に陥った。


「お前はもう球界からいなくなったんじゃないのかっ?何故今更ノコノコと出てきたんだっ!?」


結野が珍太朗を睨み付ける。


「わかってねぇな。おい、アレ」


「にゃに?」


「アレ出せ、バカ!」


バシッ


「んぎゃっ!」

いつの間にか阿佐が珍太朗のパシりになっていた。


阿佐がサングラスとつけヒゲを渡した。


「これでもわからねぇか、このくずヤロー」


「お前、ナダウ・ヤマオカじゃないかっ!」


「気づくのが遅い!」


「ノヮッ!」


珍太朗はすかさず目の前の椅子を踏み台にした、シャイニングウィザードを顔面にヒットさせた。


「おい、結野アナ!アンタの出方次第でこの話なかった事にしてやってもいいんだ。どうなんだ?」


珍太朗は条件を出してきた。


「条件か?金か?それともこの会社を乗っ取るつもりか?」


「にゃんと!それいい条件ぬ!早速乗っ取るぬムヒョヒョヒョヒョヒョ」


「テメーもすっこんでろ!」


阿佐に垂直落下式ブレーンバスターを見舞った。


「むぎゃ~っ!!」


阿佐は垂直に突き刺さったままだ。


「条件は3つ」


「どんな条件だ?」


結野が恐る恐る聞く。


「まず1つ。大和君をエンペラーズに貰おう」


「何だって~っ!そんなバカな条件飲めるかっ!」


「あっそ!んじゃオーナー全員とプロ野球機構にバラそっ」


「わかった!わかったから!な、だから言わないでくれ」


「よし!じゃ、すぐに大和君をトレードに出すんだ!しかも金銭トレードでだ!」


「交換トレードじゃないのか!ウチの戦力ががた落ちになるじゃないかっ!」


「やかましぃ、このイカサマヤローが!」

珍太朗はヘッドロックに捕らえ室内の壁に激突させた。


「んぎゃっ!!…ゎ、わかったそうする」


結野の額が少し割れて出血していた。


「で、二つ目!これを白状したボールメーカーとパンチ君の中に入ってたヤツ、それと盗聴器を聞いてたヤツらには一切の手出しをするな!ちょっとでもやったら、こっちに連絡が入るようになってるからな!」


珍太朗はイカサマ野球に加担した関係者は、オーナーに無理矢理強要されていた。その人達には罪がない。


断れば明日からの生活が断たれてしまう危険性があるからだ。


「で、最後。他のチームにゃやっても構わんが、エンペラーズとの試合じゃ一切のイカサマを禁止する!解らねぇようにやってもこっちはプロだ!んなもんすぐに見破っちまうからな!」


「…わかった。その3つを飲もう…」


観念したようだ。


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