大和の入団
「待ってください!」
そこに入ってきたのは彩香だった。
「私も1つ条件があります!」
「成る程。キミも条件があるのか、言ってみたらどうだね?」
珍太朗は彩香に聞いてみた。
すると彩香は結野の背後に回り綺麗に弧を描いたジャーマンスープレックスを炸裂した。
ドガーーン!!
「たゎばっ!」
雑魚キャラのような断末魔の声をあげ、結野は失神KOした。
「こんなとこ、今日限りで辞めてやるわ!」
大の字に伸びてる結野に辞表を叩きつけた。
「彩香君、これでキミも自由になれた。大和の事はオレに任せてくれ」
「はい、わかりました宇棚さん。あの人をよろしくお願いします」
珍太朗と彩香は今までの鬱憤を晴らせたかのような清々しい表情をしてパンチャードームを後にした。
…阿佐はまだ垂直落下に突き刺さったままだった。
翌日、ハードパンチャーズは大和を金銭トレードでエンペラーズへ入団する事を発表した。
スポーツ紙では、首脳陣との確執か?と1面を賑わせた。
珍太朗は1週間の休養を経てエンペラーズに復帰。
大和の入団会見にはナダウ・ヤマオカとして頭に包帯を巻いたオーナー阿佐と共に同席した。
背番号は、ヤマオカの希望により、史上最強の一番打者を目指して欲しいという事で、1を用意した。
会見では晴々とした大和がエンペラーズの一員になれた事をとても嬉しく思うと述べた。
彩香はニップレス球団職員を退職後、珍太朗からの誘いでエンペラーズの球団企画部に転職した。
大和は会見後、早速エンペラーズナインと合流し、軽いトレーニングを行った。
会見が終わり、阿佐オーナーは珍太朗に今までの事を謝罪をした。
「宇棚君、あちきは間違っていた!エンペラーズ設立当初、宇棚を名乗る人物は排除するなんて言って申し訳なかったぬ!」
「オーナー、もう過ぎたことです。ハードパンチャーズのカラクリを暴いて大和も獲得できた。それでいいじゃないですか」
「いや、そうはいかん!宇棚君無くして今のエンペラーズは存在しないのだぬ!宇棚君!このマヌケなあちきを殴ってくれぬ!」
「じゃ、遠慮なく」
「むぎゃ~っ!」
「オラオラどうした!殴ってくれと言ったのはテメーだろ!立てオラ!」
「ぁべしっ!」
珍太朗の流れるようなワンツーからのハイキック、更には首相撲からの膝蹴りのラッシュを食らいオーナーはサンドバッグと化した。
一方、イカサマが暴かれたハードパンチャーズは大和が抜け戦力が大幅にダウン。
オーナーの結野はひろしをGMの職を解任した。
やり場のない怒りを結野はひろしをフルネルソンからのドラゴンスープレックスで叩きつけ、KO。
そしてハードパンチャーズから放り出された。
ひろしは無職になり、初体験の相手を探す日々を送ることになった。
高知県では夜な夜な「うだな(^-^)」とつぶやく不審者が出回る為、夜間の外出は控えるように、と注意報が出回った。
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