懲りない男

「ひろし、俺が誰だか解るよな?」


もしかしたら覚えてないのかも知れないが一応聞いてみた。


「ムッシュ私わかります(^-^)」


(多分覚えてないだろうな)


ひろしと珍太朗は埼玉スーパーフライヤーズ以来の再会だ。


あの時は試合後にヘソで投げるバックドロップでKOしてその後はお互い消息不明だったからだ。


「ひろし、お前まだ未経験か?」


間違いなく未経験だろう。

珍太朗は確信した。


「ムッシュ経験ないです(^-^)」


(やっぱり!)


これで珍太朗は上手く話を持ち込めそうだと思った。


「ひろし、どんなサイトやってるんだ?俺のやってるサイトはすぐに会えるぞ!どうだ、やってみないか?」


珍太朗は餌を蒔いた。


「私会えるならサイトやります(^-^)」


見事に引っ掛かった!


「朝の朝食にカツ丼と納豆、大根の味噌汁ありですか?」


相変わらず組み合わせの悪い飯を食ってるのか…


珍太朗は少し吐き気がした。


「ひろし、それじゃ今からここに登録するんだ!すぐに会えるぞ!」


珍太朗はそのサイトを教えた。


珍太朗はひろしを連れて誰もいない通路まで来た。


するとひろしのスマホから着信音が鳴った。

「凄いなひろし!メール来てるぞ!」


一応、驚いたようなリアクションをとる。


「どうだ?どんな内容のメールだ?」


珍太朗が急かすような言い方をする。


「ムッシュ、サクラさんです(^-^)」


サクラ?もしや作戦バレたのか?珍太朗は少し動揺した。

「ひろし、サクラ知ってるのか?」

恐る恐る聞いてみた。


「ムッシュ、サクラさん私に会いたがってます(^-^)」


「へ?」


「私サクラさんに会います(^-^)」


ひろしのスマホを見た。


サクラというハンドルネームの女性からメールが来たようだ。


「恋人でいいかなぁ(^-^)」


すっかり有頂天だ。


「ひろし、今から会うのか?」


作戦は成功だ。


「私会います(^-^)サクラさんいい人です」


「そうか、やったなひろし!頑張ってこいよ!」


わざとらしく、珍太朗は祝福した。


「うだな(^-^)」


そしてひろしはトライクにまたがり待ち合わせ場所にに向かった。


「よし、これで仕上げだ」


珍太朗はスマホを取りだしこう言った。


「 Goofy goes from there to now(今からアホがそこへ向かう)」


珍太朗はそう告げて電話を切った。


(我が息子とはいえ、あまりにもマヌケ過ぎる…そうか、お前は養子だったなふふっ…)


珍太朗はパンチャードームを後にした。


養子とは一体?


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