大和の葛藤、ひろしとの再会

「 It's a strategy change!(作戦変更だ!)」

珍太朗はエージェントにメールを送った。


試合は終盤にファイアーズが2得点を挙げたが、ハードパンチャーズが追加点を挙げ5対2で勝利した。


(さて、色々調べる事があるな)


珍太朗はエージェント達に次の指令を出した。





ハードパンチャーズは5勝1敗という好成績で、スタートダッシュに成功した。


しかしチームの中に1名この勝利に浮かない顔をする人物がいた。


ハードパンチャーズのショートストップ大和である。


大和はこの6連戦、22打数16安打 4四球 盗塁は早くも5個を記録している。


ハードパンチャーズが6連戦で挙げた得点の約8割は大和がからんでいる。


数字だけを見れば、これ程理想的なトップバッターはいない。


大和は本拠地パンチャードームだけではなく、ビジターでも3割を越える打率を誇る。


細工などしなくても十分な成績を残せる一流プレイヤーである。


リーダーシップも兼ね備え、日本を代表するショートストップであることは誰もが認める。


それ故に、このようなイカサマなプレイをする事に気が引ける。


本来ならこの不正を暴き、直ちに日本プロ野球機構が調査に乗り出さなければならない。


しかし、このままで良いのだろうか?と葛藤したままズルズルと今日までに至る。


勝つ事は嬉しいが、こんな勝利でいい訳ではない。


何度か監督に直訴したが、監督も成績如何ではクビを宣告させられる。


大和もそれ以上の事は言えるはずもなく、我が身可愛さにチームに従った。



パンチャードームはハードパンチャーズの勝利の余韻に浸るファンが帰り支度をしていた。


珍太朗は記者に紛れ、プレスルームでひろしを探していた。


「いたっ!」


ひろしを見つけた。


誰もひろしに取材する記者などいない。


コメントが意味不明過ぎて記事にならないからだ。


こんなヤツをGMにしたところで何が変わると言うのか?


せいぜい明日の朝飯と何時になったら女性と初体験出来るのだろうかという、アホな考えしか出来ない男だ。



「ひろし!」


何年ぶりだろうか。


「私宇棚ひろし言います(^-^)」


やっぱり相変わらずアホなヤツだった。



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