キャプテン高梨の仕事

オープン戦は散々たる成績に終わったトーマスだった。


メディアからは、日本向きではない、すぐにいなくなるだろうと酷評された。


それどころか、エンペラーズが空中分解しかねないだろうという意見もあった。


どんな優秀はプレイヤーを集めても同じ方向を向かなきゃチームは上手くいかない。


そして面舵を取る人物が必要となる。


今年よりエンペラーズのキャプテンを任された人物がいる。


高梨 和寿(たかなし かずとし)


今年30才になるプロ8年目の選手で、昨シーズンまで4番をうっていたエンペラーズの主砲だ。


右投げ右打ち 背番号 5


高校、大学と一貫してサードでキャプテンを務めた選手だ。


昨シーズンは、打率 297 ホームラン47はリーグ3位。

打点は106初の100打点を記録。

櫻井とのアベックアーチは昨年11本。

堅実な守備でゴールドグラブ賞を4回受賞。


今シーズンはトーマスの加入で5番を打つ予定だ。


高梨も、櫻井同様にフォアザチームが第一で、個人の記録よりもチームの勝利を優先とする。


その為には、犠打や進塁打もその状況に応じて対応するので、天才櫻井が一目置き、そのキャプテンシーに敬意を抱いている。


高梨は櫻井を弟のように可愛がり、櫻井もまた、高梨を兄のよう慕う。


共に目指すのはリーグ優勝。


しかし問題児が二人増えたことにより、チームワークはどうなるのか。


キャプテン高梨の手腕の見せ所でもある。


オープン戦が終わり、開幕を控えた3日前、高梨はメンバーを誘い、焼肉屋に連れだった。


開幕戦は土佐ハードパンチャーズ。


ライバル球団だ(オーナーだけがそう思って選手はそう思ってない)


そして開幕投手には、榊を指名した。


今年加入したばかりの投手を開幕戦に先発させるのは異例である。


メンバーにはトーマスと榊も入っていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る