第5話 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス
先だってアメリカがパリ協定から離脱したと報道されていた。日本のみならず世界から『米大統領は馬鹿だ阿保だ』と批判が相次いでいる。個人的な意見を言わせてもらえば、アメリカはもう「良い子ちゃん」のフリをやめただけだと思う。元々アメリカはワガママで自分勝手。傍若無人で傲慢。幼稚で目先のことしか考えていないガキ大将みたいな国だった。それがいつからか、人目を気にする優等生の様な事を言いだしていて私は大いに違和感を感じていた。大統領が変わってからは「なんだ。いつものアメリカじゃないか」と変に納得したものである。良いか悪いかは別として、我々はそんな自分勝手なアメリカさんに少なからず憧れを抱いていたのではないだろうか。
「ガーディアンズオブギャラクシー リミックス」
◆ガーディアンズオブギャラクシーリミックス
◆2017年 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給
◆ジェームズ・ガン 監督
◆マーベルコミックス原作
◆クリス・プラット 主演
◆ジャンル SFアクション
全世界で大ヒットを続けるマーベルコミックス実写版映画シリーズのひとつ。いわゆる「アベンジャーズ」に所属するスターヒーロー、キャプテン・アメリカやアイアンマン、マイティソーやスパイダーマンとは違う彼らだが安定した人気を誇っており今作で2つ目。更には3つ目の製作も決定している。今日の映画不況の最中で3作目までの製作が決まっているというのは中々の快挙である。
簡単なあらすじ。
子供の頃に宇宙のならず者集団に突如、
超個性派揃いのこのチームが敵対しながらも済し崩し的に仲間になり、更に個性的な敵達と戦いながら自分勝手に宇宙の平和を守っていくアクション大作。
前作はいかにしてチームが成り立ったかという導入部的な話だったが、今回は彼らが終始大暴れする。ストーリーとしては昨今ではいささかありふれた内容なのだが、それを感じさせない大きな魅力が本作にはいくつかある。
まず1つ、どんなシリアスな場面でも必ず笑いを入れてくる卓越したセンスである。中盤以降、物語が進むにつれて本場ハリウッドの圧倒的な映像力をこれでもかと言わんばかりに見せつけられる。観客は知らず知らずに物語へ引き込まれていくのだが、ふとした時にガクっとした笑いを入れてくるので「ああ、そう言えばこれガーディアンズだったな」と思い出すのだ。例えるなら、ジェットコースターに乗りながら、吉本新喜劇を見せられている気分だ。流石のハリウッドと言わざる得ない。
もう1つ。ガーディアンズのメンバーが個性的であり、非常に魅力溢れる面々になっていること。いちおう主人公かつチーム唯一の地球人であるスターロードは一見見た目も普通だし常識人にみえる。しかし幼少より盗みやだまし討ちを仕込まれてしまったゆえ、性格も変に歪曲してしまった。チームの紅一点であるはずのガモーラは悪の権化を養父に持つせいか、とにかく暴力で物事を解決しようとする。いちおうヒロインなのだが真緑の肌も相まって戦闘狂のナメック星人にしか見えない。脳みそ筋肉パワーキャラのドラッグは何故かいつも半裸で(リミックスにて理由が判明)宇宙基準に照らしてもすこぶる空気が読めない。しかし彼の笑い声は豪快で、どんな場面でも即座に和ませてしまう。可愛い見た目とは裏腹に、小狡さと卑怯さを兼ね備えオマケに手グセが悪いロケット。だが兵士としては一流でいわゆるマスコットキャラでは終わらない。その相棒で完全にモンスター枠のグルート。「俺はグルート」以外には単語を話さずロケットしか彼の言葉を理解できない(これもリミックスにて進展あり)。 しかしグルートこそがある意味本作の要とも言っていい存在で、とにかく自由に作品を動き回る。だいぶ割愛したがここに書き出すだけでも大変な文章量だ。それだけキャラクター達が魅力に溢れている。しかし主人公サイドだけでなく敵役たちにも魅力的なキャラが多い。マーベルコミックスでは稀有だが、本作はヒーローとヴィランという明確な線引きがないのでどちらにでも感情移入ができる。そこも本作の魅力の1つだ。
最後に1つ挙げるとすればそれは音楽だ。「パルプフィクション」の回でも述べたが、最高の映画には最高の音楽が付き物だ。70s80sのアメリカンポップスが劇中にて多数流れる。これがとにかく素敵でカッコいい。最新鋭の映像美のバックで歴史ある偉大なポップのクラシックスが流れている。これは是非映画館で体感すべきだと、個人的には思う。
さて、ここまで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス」の魅力を書いてきたが、本作はあくまで2作目である。1作目を飛ばして観ても十分楽しめる内容にはなっているが、ここはやはり順を追って観ることをお薦めする。1作目ありきとまでは言わないが、より楽しむ為に必要な過程だと私は思っている。それだけ「リミックス」の映画としての価値は高い。
最後になるが前置きで書いた通り、現在アメリカは世界中からひんしゅくをかっている。時代に照らし合わせれば至極もっともだと思う。しかしだからこそ、こういう自分勝手でありながら愉快痛快な娯楽映画を作ることが出来るのかもしれない。我々日本人には、性格上絶対に作れないだろう映画だ。もっとも、それが我々の短所であり長所でもある。それは彼らにも言えることではないだろうか。
了
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