第2話 公設市場のうどん屋

幼い頃、小遣いで割と自由に入れた食べ物屋は公設市場のうどん屋だった。

公設市場とは、ひとつの大きな建物の中に10件くらいの小さなお店が並んでいる。


イメージとしてはスーパーマーケットに並んでいる物がデパ地下のようにそれぞれ別店舗扱いという感じで、八百屋、果物屋、駄菓子屋、茶屋、肉屋、豆腐屋などが並んでいた。


その中に、麺類と出汁を売っている、うどん屋があって、中にはテーブルとパイプ椅子で10人くらいは入って中で食べれるようになっていた。


その当時はすべて200円未満のメニューで、トッピングは無し、

というよりは、うどん屋の隣は、片方が肉屋、もう片方が天ぷら屋の場合が多く、

自分で隣から、コロッケ、ハムカツ、いか天、ちくわ天、などを買ってきて、自分で乗せて食べるといった具合だった。


昼時はいつも混んでいたが、その他はだいたい空いている。

名古屋だけにきしめんや、中華そばもあった。でもスープは同じなので、店によっては、ひとつのどんぶりに、うどん半分、きしめん半分を入れる、という食べ方もあった。


本当におやつ感覚で、立ち食いそばより気楽な、ファーストフードであった。

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