OUT ROAD
ここは地底火山の炭鉱であり、開けた地下洞窟とも取れる下層地帯である。巨大渓谷と言えば誰かが信じるだろう。天然の自然物に変わりはない
-確かに読めねぇ。いきなりブッ込む暴言や、奇抜な動作も難易度高ぇがこりゃあ-
Sickは動揺を隠せない。洞窟の中央に砂利や岩を撤去した平面に木の板を敷いたファトプリカ
-暗殺の基礎は気配の調整。深夜の梟の如く闇と静寂と同化する。即ち、緊迫状態に於ける自然体-
ベルサジュは分析に長けている。あらゆる状況に対処する術は体得してある。ファトプリカは暖かそうな羽毛を敷き出した。常に携える猟銃を置き、掛け布団を敷いた
「おい、何してやがる?」
「違うぞSick。まずは布団を何処から取り出したかだ。何かあの溶岩の近くにあるデカイ箱の中に興味を持つ事からだろ?」
「んな優先順位意味あんのか?そもそも俺はコイツの目的を知らねぇ」
「寝る」
見たままの光景を当人であるファトプリカが口にした。Sickは沈黙しベルサジュは何回も瞬きをしている
「おい、マジかよ」
鼾が木霊し、呆然とする二人。互いに訳が分からずにベルサジュは近付き、布団にそっと入り、欠伸をした
「Sick。後を頼む」
「おい、ザケてんじゃねぇよ。何気分よくなってんだ?」
「この意外性。程好い距離にある溶岩が暖炉の役割のようで、周囲も誰か作業員が片付けをしたように、人為的な広間を作っているかのようだった。ムニャ………これが自然体………この奥に更に下れば………たの………ぐ~」
心地好い顔で眠りについたベルサジュ
「イラつくぜ。大口開けて涎垂らしまくってが寝てやがる。しかももう1人は猫口になってきちんと布団を両手で持って寝やがって」
何となく諦めのついたSickは暫く上を眺め………1人で先を進んだ
「人体再構造プログラムよね~」
リパークは電話しながら歩いていた。貿易が盛んな延々漁業の市場を通り、繁華街へ足を踏み入れた。視線を送る商売人や裏社会の巣窟である中国マフィアと裏組織の縄張り争いが絶えない寂れた街を突き進む
「BLAIR。その研究所はオンスロート財団関係ね。フランスの外交官が知的財産であるフォーマス・ブレインを横流ししたのよ」
繁華街を通り抜けると密集した老朽化の道を歩く。治安も悪いので、絡まれたら、即座に対応する事も考えた
「フォーマス・ブレインは人工知能のある種の副産物ね。脳波の信号と機械をリンクさせて記憶を再現するシステムよ。更にその記憶を周波数と連動して人工知能に学習させてデータを蓄積。つまり、都合の悪くなった秀才の脳の情報を搾り取り、後は処分するっていう都合の良すぎる話しなのよ」
更に奥に進むときらびやかな街に変わる。ビルや高級料理店が並ぶ裏社会の建造地帯である
「協力は出来ないわ。私も立て込んじゃうから後でね。ば~いばい」
電話を切り目的地へと進む。和風であり、派手な柄の看板であるが品を感じる色彩は一般人が立ち入る事の許されない場所なのだろう
「あった。ここね」
易々と扉を開けたリパークだった
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