Alívio


携帯の着信音で起床した。ソファーの背もたれを倒し気が付けば寝ていたらしい。胸元に手を当て寝そべっている軍人がいるが熟睡していてしかも足が絡まった状態の為、起き上がらず会話をする。安否の声と謝礼だった……それと頼み事。拒否する理由が無い為に承諾した。電話を切り時間を見ると朝方であり、太陽がまだ上昇してない為に深夜と勘違いする位の時差も悪くないと自嘲した

「何だかんだで女じゃねぇか。なぁ?」

髪を優しく撫で目を閉じればより密着し肩に首を預けた。再び睡眠




「もう行くのか?」

ティオーレの敷地から出て低い山岳の出口にいた。歩きながら会話をし、間もなく道路に出る場所天然の樹木が並ぶ場所は歩く道も木で作られ、草が少しかかる程度である。誰かが多々踏む箇所が利害無く納得したのだろう

「ちっと頼まれた事があってな。他国だし何か色々二三日ゆっくり出来たしな。楽しめたぜ。サンキュ」

鼻で笑い立ち去る時「!!?」

資料を渡された。その内容は「おい、ティオーレ。こりゃ、何の冗談だ?」

動揺し資料をめくる度に疑う己の目

「成る程……お前は認知無しか」それはまるで反応を確認するかのような発言

「何言ってやがる?この資料のヤツはまるで」

「お前そのものだがまるで別人」

下り坂の途中で眼が交錯した。憤りに近い懸念と微動だにしない無機質の表情が互いの神経に影響を齎した

「CODE-NAME-DEXTEROUS【デクトロウズ】!?確かに最近、過激紛争国で軍一部隊潰したって噂は訊いたが……何か関係が?」

「ある。その部隊は他国に軍事強化の可決に伴い我が軍と結託関係を成立させた矢先、殲滅だ。その暗殺技法は」

「……俺、そのもの?書類内容の最後に記載された文章は」

″最後の生存報告。悪魔の業で食い尽くされた人在らざる暴挙。SARGATANASと同一の信憑性極めて酷似″

「んだと!?あんだこのザケきった野郎は!!?こんな舐め腐った事が」

「確かめるなら私も助勢しよう。愚類等、ねじ伏せる悪辣で蹂躙すべし」

「一つ。寄りたい国がある。何より遣り口がクソ過ぎんぜ……それが終わったら」歩き出す。階段を降りきり呟いた

「嬲り殺しにしてやる」

悪意が霧散した




のどかな街を歩くSick。賑やかで活気があり笑顔が多い街だ。浅橋を渡れば煉瓦の家が並び中央の緩やかな登り坂を歩く。ベンチに座る温厚な老夫婦。走り回る子供達や屋台を販売する中年。坂が終わり周囲を見渡すと……献身的な祈りを捧げる場所があった。近寄り目的の像の前に立ち尽くした。女神像

「何だかな。やたら似てんじゃねぇかと思っちまった。へっ」

-なぁ?DAZZLING-

左手に巻いた赤いスカーフを取り像の首に巻き付けた結んだ部分に地面に咲いた花を差し髪の毛を取り結び付けた。一息し……両手を合わせ祈りを捧げた

深く頭を下げ見上げた時に像の頬を指先に触れた

-あの時、言ってた言葉ー

-「確かに笑っちまうよ」

像へ向け蔓延の笑みを浮かべ立ち去った。その時、鐘が鳴り教会の中に駆け足で入る子供達。振り返り

「じゃあな」

その場を後にした。街中に響く鐘の音が終わる頃、空が奏でた大群の鳥のマーチ。教会から聞こえる唄と協奏し綺麗な世界を造り上げた

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