第15話 AWAKE本編2
『弦粛』
会計を済まし飲食店の外を見れば遙か先の高台の建物から煙が出ているのが見えた
目に映る視界は日常であり広い年齢層の人々
「ふ~中々たらふく食ったから満足感はでかいが、歩きながらアップルパイ平らげなきゃいけなくなっちまった。また、トイレに行きたくなっちまうよ。うう……」
悲しげな表情で大きめの袋からアップルパイを取り出しながら口に入れる銀髪女
ーこの女、1ホールで頼んだのかー
「会計を払った多少の懐に免じて香ばしい焼きたてのリンゴを手で煽って嗅がせてやる。褒美だが一欠片もやらねぇ。至高の意地に憧れやがれ!ケッ!!」
唾を吐き、僅かに垂れる涎を吸いながら頬張る。移動しながら会話は続いた
「よく聞け、食い意地張りまくりのドチビ女。派手な金額分、散々食い散らかした料金払った寛大な対応にまずは感謝しやがれ。貴重な情報も入手したのも俺だ。便所で楽してタダ飯食った贅沢女なんざ、中々のVIPモンだ。感謝しやがれ」
歩幅を多少広くし自然と誘導する
「浅ぇ浅ぇ。可憐な美女と同じ空間を堪能出来たスカしたドブグズ野郎を受け入れた処置すら理解外のパー野郎には、空気すら読み取る事すら困難極まりねぇ程の救えねぇ能無しがぁ!おらぁ!!払ってやっから受け取りやがれ!!!」
硬貨をSickへ向けて投げたのを空中でcatchする
「んだと!?」
「迷惑料と侮辱料と足りねぇ脳味噌に叩き込んだ授業料含めた、金額がソレだ消費者野郎!価値を改めて自覚してくんだなぁ!!」
「どこまでもザケてやがる!」
ージュースすら買えやしねぇー
「無価値のカス野郎はどこまでも果てしない地平線のような広すぎた空っぽな脳内を埋めるのに死力を尽くした大らかな誰もが憧れる心ぉ!何百と$を手術にブッこんでも手に入らない美貌ぉ!!天は2物を与えちまったからな、チっ!」
口にタバコをくわえ火を点けずに一息し吐き捨てる
「シケた味だぜ!堪能する事すらままないのは自分で事実を口にしちまった罰ってヤツなのかもな……つれぇよ。うう……」
ーこ、ここまで凄まじいヤツがいるとは想定外だー
唾を飲み一汗が頬を伝った
歩く場所が狭い路地に変わる。廃棄物収容箱をよけ大人一人通るのがやっとの道を歩きながら悪態が続く。何となく感障りな二流俳優のポスターが少し剥がれているのが似合いだと感想を胸中でしまった
「こんな人気の無い場所に連れ込んでプリっした張りのあるケツをまさか……触ろうと試みようとしてんのかどこまでもクソ野郎!おらぁ!!変態の片鱗見せやがったら圧倒的な実力でねじ伏せてやるぜ!!!ケッ!」
無言、体の向きを僅かに変え地面に置いてある酒瓶を収納するケースをかわし……脳内で構築した。複雑な糸が暗闇で無贈に絡み一つのObject【オブジェクト】が形成されるような感性……
構築された手段
ーつまりは……コイツは如何なる状況でも決して揺るがない確固たる精神でハネ退けやがる。怒濤のゴリ押しで圧倒する【口】撃力。確かに凄ぇ……だがー
先へと進めば開放的な景色に再びなる
厚い雲が流れて来ているのを体感温度と上空の景色で確認した。わりかし少人数の商店街を迷わず目的地へ急行する為、多少速く歩く。
すぐ後ろを足跡を消しながら歩く銀髪女。悪態つきながら更に暴言が続いていた
連続叱咤、罵詈雑言、英談自慢、人種差別
異性落差、欠伸月賦
Sickは途中から聴覚を都合良く聞き流した
たまに笑い声が聴こえる
だが浸透した胸中が焼き尽くす程熱くなるが脳は凍る程、冷酷に低温を更に下げる位である
凍土が氷河を生み、下層した氷結が導き出す企み
ーしかも厄介なのは尽きねぇ中傷の数々と隙を与えれば更に傷口に激熱を流し込みやがる。つまりは【口撃】に特化しながらも追撃が多用に策がありしかも計算外と思いきや妙な確信をつく天性の感性。ずば抜けた独自のセンスを持つ天然の要塞……これ以上無ぇ程の強敵だー
「おら、スカし面。若ぇからって優しくする程、甘さなら与える余地は存在しねぇ。完膚無き迄絶望を教えてやる……成長の発端に繋がる慈悲すら与えないのはせめてものの慈愛だ。やべぇよ、涙が……ふぁぁ」
ーコイツを目的地に着く迄に負かす必要があるー
「そういえばよお……」
空を眺め思い老ける
「何か降りそうだな」
「雨に決まってんだろが、スカシ面が。ケッ!どこまで馬鹿なんだテメェは」
Sickは最も難易度の高い指令を自らに課した
空中で左足で蹴りを放ち右頬に炸裂した瞬間、体の向きを右方向に変え左足を勢いつけ下ろし右足を振り上げ顎先に直撃し吹き飛ぶ!
「何だよ、後三秒も余ったのかカス共」
呻き声が周囲から聞こえ苦悶、苦痛の表情を浮かべ地面に倒れている十数人の男女
悲鳴にも似た声の方向に告げる言葉
「″人は皆、等しく存在し語る言葉に上下は無く、誰もが自由を掲げる事こそが平和の象徴″と偉人は過去に言葉を残した。年表は確か共和制国家の革命の前哨戦の時だった……かなぁ?不平等の状況で無様な醜態晒した軟弱共、不公平な強さにしたらある意味対等だ。手間どらすんじゃねぇよ!」
顔面を地面に押しつけ見下す
唇の形が変わりギシギシと音を立て知覚過敏を更に進行させ神経痛が加わり苦痛が増した
「公衆の面前だからここまでにしといてやる。非常事態で僕の理解者達の前だ。見逃す理由が三つあって良かったな」
髪を僅かに掻きながら遠のく。視線を配れば後退る野次馬
ただ二人を残し
「相変わらず鋭いじゃない。しかし派手ね~」
「暇あったら手合わせしてくれるかなぁ?」
「離れよう。急ごうよ」
「プレマテリア、CARRY。ここから海岸沿いに走り鉄塔が見えたら東に向かうと金網があってsecurity【セキュリティー】装置がある。その場所の装置には決して【触れずに】金網を辿り、電柱を発見したらその下のマンホールに入るんだ。後は南に進めば着く」
右目に皺が寄るCARRYと眼が大きく開くプレマテリア
「緊急事態だ。まさかのマサカの要請が来た。先に行っててくれ。後ですぐ行くよ」
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