第11話
『Est rempli de l'émotion profonde』
クラブサンドは好物であり日頃の上品に咀嚼するのとはかけ離れる程、口いっぱい広げ噛み付くプレマテリア。対象の女性はゆっくりと堪能しながら上機嫌でフルコースを味わう。雲が流々と流れる上世界の快晴が料理を楽しむ二人の時間に爽やかさを運ぶ青空
その時、影が僅かに覆う。プレマテリアは見上げる。知っている顔だった。反対側のtableに座る赤髪の女性は思わずむせた。白ワインを口にふくみ、軽く作る握り拳で胸を叩いた
「まさかのマサカだよ。君達と出会えた僕の強運に感謝。何より奇遇過ぎて笑っちゃうよ。あはっ」
手につけてない水を飲み少年は笑った
「どうしてここにって?現象兆候……恐らくだが【取りこぼし】が仕出かした悪夢が現実になった……君達の意見をたった今、凄く知りたいなぁ?どう思うCARRY?」
「アンタは相変わらずね。元気そうなくらいじゃない生意気なガキ。ふふっ」
皮肉を含む笑みを浮かべる赤髪の女性……CARRY【キャリー】
口に運ぶ速度が落ちるプレマテリア。少しだけだが右目蓋が微かに細くなるが少年の角度からは気付かない
「それってあの【化け物達】が言っていた次元干渉変動の排出の事?タイミングが理解外じゃない」
「理解なんて最初から度外だよ。それだけの存在が引き起こす超常現象だ。空飛ぶ謎の円盤と同格だね。同質じゃないけど」
「ここまで突付くのは意見だけじゃないわね。何を頼みたいのよ?」
口元が緩む少年
「現地周辺にさ、中々驚愕末路を辿った悲惨な被害者いるんだ。二人とも行こうよ」
『樂龕』
「さて、スカシ面。ケツ振りまくって逃げた割には潔いじゃねぇか。認めてやるぜ。ケッ!だがケツの青さが招いた逃げ腰が引けて差し出した汚ぇケツを好む女は世界でただ一人だ。洗ってから来やがれってんだケツみてぇな顔と一緒にな。そしたらプリケツ面に格上げだ、スッゲー!」
ーんだと?ここまでグダったタコは中々珍し過ぎんぜー
反対側のtableに座り片腕を椅子の後方に回しながら難色を示した表情で目の前の外見が少女を見る。前髪が瞳にかかり目元に影が加わり凄みが増すが意に介さず微動だにしない銀髪女
「テメェには質問がある。ここに来たのはその為だけなのか?」
ピタリと止まり一瞬表情が険しくなるが丁度、太陽の眩しさで遮られSickは気づかなかった
「さぁな。つか、力づくで引きずるのが最短だが少し考え物になってきやがった。けっ!優先事項が出来たからな。可憐だから注目浴びちまうのか。罪だから仕方ないがたりぃよ、うう……」
人差し指と中指を円を描くように動かし店員を呼ぶSick。好物を頼みjacketのポケットからUSBメモリーを取り出し中央に置く
「そうか。奇遇だな。俺も同業者がヤられてどうも厄介過ぎるカス共が多いからな。取引に応じる気無ぇか?」
「……誰に口聞いてんだガキぃ。ザコの弁えは狭い部屋の角で床についた汚れを指先の爪で取り払う位のセケぇ扱いなんだよ、このションベンガキぃ!2ヶ月は早ぇ!!年越してから来なぁ!!!」
ーくっ!何て話しになんねぇ女だ!!マトモに話しにマジで成立しねぇー
人差し指で音を立てながら唇を噛む。冷静に語る為だ
「この中身は色んな情報が入ってるが、かなり際でぇ事もある。敢えていえば世界の裏で更に隠された秘密もな。もしかしたら知りたい情報も入ってるっかもだな。とにかくありすぎる位だな」
食事が止まり、視線を僅かに横に流し銀髪女の目元が細くなった。沈黙が続き
「一つある」
再び眼が合い、銀髪女は口にした
「医療先進国の現象発端の記録があれば……協力してやる」
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