『Règlement de la fessée』
少年は振り返る。過去の記憶と軌跡を
何故だか不思議だったのは他人が謝罪する姿を見た時疑惑が浮かぶ
″何故?″
態度が気に食わなかっただけで怒鳴り散らす
″何がいけなかった?″
やがて疑問を自身に問い掛けるが答えは曖昧だった
閉鎖した心の奥が開いたのは9歳の頃
退屈な毎日を癒す事があった。よく懐いていた動物が毎日のように同じ時間に来なかった。何となく気になり周囲を散歩すると悪戯好きの集団が騒いでいた。自分よりも5歳は離れているだろうか?外見は長身で成人といっても過言は無いだろう。よくみれば度を超していた
返り血が着いている。酷い。悪ふざけ?違う。これは逸した何かだ………あまりに可哀想だ。死骸に
感情は閉じたままだが暗黒の激情が精神を支配した
少年の根底を呼び覚ます序幕
詰め寄った。笑顔で優しく声をかけた。
″もっと面白い物がある″
集団は話を聞く事にした。案内する 興味を示すような下品な会話を付け足しながら
それは無人の場所。少年が一人で遊ぶ
″科学研究所″
スイッチを持たせた。分かり易く人体に支障が出る起爆源だと。楽しそうに話す
″押してくれたら愛犬で遊んでいい″
と嘘をついた
押した瞬間、少年以外の集団は感電し倒れる。よくみれば少年の立つ場所は只の床だが集団の足下は導線だった。少年は語る
″痛みは分かち合う事だ″
痙攣する集団全員の口に錠剤を入れる
″大丈夫。どんな苦痛も無くなる″
みるみる内に甲状腺が圧迫し頸動脈に刺激を与え声帯に支障を与えた
「食道癌よりは辛くないよ。どうしようも無いけど」
僅かに刃物で首筋を切った。先程迄、命を無邪気に弄んだ最低の人間達は恐怖で顔は青ざめていた。懸命に逃げ出そうとしている。抵抗感も必死の訴えも声は出せない
「何だよ。そんな顔並べてさ」
何だか可笑しくて唇が緩み空気が零れから僅かな声を思わず出してしまった
「死ねよばーか。あはっ」
被害者は何をその時思ったのだろうか?答えは返って来ない。少年は嘲笑した。手を休めなかった。疲れたら炭酸水を飲む 飽きたら失敗作にした。次に変更するだけ
少年の心は瞳に宿り輝きは無くなる
果てしない闇が広がり何事も寄せ付けない
ただ一つを除けば
「さて、何処から遊んでやろっかなぁ~。あはっ」
遊び心は尽きない。モニターから現在の状況を確認し、スナック菓子を噛む音だけが響き、指先を舐め立ち上がる
「何だよ。僕が結局動くのか」
黒い眼球に蔑みが増し、標的を脳内でイメージした。それは暗い底無しの闇が渦を巻き、ゆっくりと下降するかのような奈落へと誘う救いようの無い俯瞰と浮遊した感情
「TRYーGUNJEASTARか。僕に太刀打ち出来るかな?」
指先を軽く伸ばしながら扉を開く。携帯を打ちながら外へ行き、人気の無い道を歩き出した
「ここから何が始まるかな?………ん?何だよ」
気がかりなのは歪に鳴る該当では無い。真っ暗な夜の道を全身白い服装の女性が立っていた。意識が少年に向けられていた為、何となく
「誰だよお前?僕とほぼ同じ身長の女に全く興味無い。失せろ」
悪態をついた。いつもの事であるが、興味は無い。言葉の通りである
「先日、軍事開拓国家で強奪事件が発生したわ」
「嘘だけとそんな話し興味無い。お前のような服装の女の話しに傾ける耳は今から後になってもな。それじゃあ」
無関心な表情を装い通り過ぎる。距離が生まれつつある瞬間に足を止めた
「お前の正体次第で話してやってもいいよ。大体、死ぬ羽目になるかもな」
「6人の抹消者と暗殺者が関与の疑いがある。不法入国履歴は見事に改竄。途中で亭泊船に乗り換えてバイクでここ迄来た筈よ」
「特定してて敢えて突きつけるなら回りくどいな。僕迄近付けたならもう少し言葉選べよ。頭捻ったからここの移動ルート特定したんだろ?少ししか興味湧かない」
「合理的な筈よ」
「否定的にしかならない」
足跡が少々近付いた。気配は何故か遥か遠くに遠退いた気がする。少年は心的抑圧を僅かに高めた
「私の要望はバイクの持ち主じゃないわ。その強奪事件の品物でも無い」
「だったら関与した誰かか?寄せ集めの中の誰かを知りたいならわざわざ僕を訪ねないだろ?」
「そうね。わかったわ IBIS(アイビス)と見込んで依頼でも頼もうかしら」
その単語は少年にとってこの上無い程
「名前出すならここに来るなよ。顔出して依頼するか?」
天才ハッカーの名を冠した別名は直接、触れられた事が無い。即ち
「ふざけやがって。僕の素性を洗ってからこの始末か。力ずくでひれ伏してやるか」
「それは無理だと思うわ」
「まだ、解らないだろ?腕に自信過剰な位の見合ったうわべか?それとも安易な挑発に乗せて奇襲しかけるか?疑問の数だけ狡獪して朽ちる覚悟を死んだ後するか?三回死ね」
「私が仲間を助けてもいいわ。情報と交換よ」
敢えて振り返らずに寒空を眺め、寒気を与える感情を背中越しから与えた
「駆け引きの処方は投薬よりも内情の優先事項かよ。揺さぶるなら不安定な揺りかごより情緒を乱すのか」
「私の挑発?仲間の安否?ここで足止め?そっくり返すわ。あなたに選択権はある」
星が輝き流れては消えた。少年の気配も揺れた心も
意思を尊重した結論は如何に
「何年ぶり?こうして顔合わせるの?」
星が綺麗で情景が目に映れば広大な森林。高い場所は好きでは無いがCARRYは高鳴る胸の鼓動は確かである。自分を知る人物が隣にいてましてや可愛がっていたからだろう。今日は格別である。満開の星と満面の笑みをお互い浮かべている
「【断裂】以来だね。あれから八年も経っていたからさ」
童顔な顔をいぢくり回しからかう。お互いくだけた会話が始まれば望郷と回想
暫くはしゃいでは無邪気にからかい、時にはからかわれた。それだけ我を忘れる位、夢中である
「よくここが分かったわね?どうして?」
「散らばったメンバーを探してさ。別の安全な場所で研究所を開いたんだ!一緒に行こうよ!!自力で何とか調べてようやく。身元も保障するから」
それはあまりに意外な言葉で………突然過ぎた
「ここは監視されてるのよ?」
「大丈夫!systemは完全に乗っ取ったからさ!!」
くったくの無い笑顔がCARRYにとってこの上無い喜びだった
「………不健康な暮らししてもいいなら………連れてって!プレマテリア」
颯爽と駆けだした。振り返らずに
「今何人くらい?」
「8人だよ!まだ、不明なのは二人だね。EnderとLi-Parkかな?」
「SchrataやReasonは?」
「そこは……きっと来ないかな?」
気分が上昇し早走になる
「朝桐が懐かしいわね」
「皆そういうよ。たださ」
「ただ?」
「一年前くらいかな?朝桐に似た人に会ったんだ!助けてもらったんだよ!!ちょっと口が悪くて面倒くさがりな感じだったけどね」
「詳しく教えなさいよ!素質あるんだから【らしい】格好してみなさい」
やがて標高が低くなればジェット機が停車していて駆け足で入った。軟禁状態の研究を捨てたのは未練の微塵も無い
再び豪雪の可能性がある夜の静寂
「さて、準備はいいか?」
遂行直前、ベルサジュは一気にテキーラを飲み干した後、テーブルのご馳走に手を出した。スペアリブを豪快に手掴みに食べ尽くし空腹を満たした
「任せろ!」
強く拳を握り締めたエンダム。サングラスをかけ葉巻を咥えた
「準備は出来た」
アタッシュケースを持つWET。コルトパイソンの弾装を確認し、バイクのキーを手に取る
「万全だ」
アイシャンテは眼帯の紐に触れ、勢いよくハジく。携帯を取り出し、メッセージを打ち込んだ
「OK!派手に行くわ」
DAZZINGはスカーフを手に持ち、腰に巻き付けた。凶器のピアノ線の長さを計り、万全を期した
「大丈夫。上手く行くよ」
raccoon は表情を変えず、テーブルにある茹で野菜のウィニグレートを平らげ、窓際に近付いた。ベルサジュのテキーラを飲み干す
「悪いガキだな」
「人殺しの大人が言える?」
「いい買い言葉だ」
「悪い売り言葉」
ウェーブの髪が目にかかるが、気にせず歩き出すベルサジュ。視界が狭まるが、感情は突き刺す刃物より切れ味は鋭い
「行くぜ。決行だ」
『砕き崩れ亡く未の夢』
2005年9月の故郷に似た部屋の出来事
「夢はある?」
ソファーで寝そべる男へ向けた言葉の真意は寛容とも言い難い。当然ながら軽々しく口にした言葉なので本来ならば悪態が返ってくるだろう
「私は昔はあった。何故ならありきたりな人生とは程遠かったから。子供の頃は」
なぞる指先は肉体では無く何となく壁だった。無意識である。ソファーに横たわる死体は意識を強く持ち自らの手で亡き者にした
「だからあまり興味ある物事は普通だった。生活も平凡で豊かな暮らしも気に止める必要無い。そんな日常が愛しいといつも思っていた」
扉を開け、証拠を消し去った一室を後にする。何となく振り返り安らかに眠る亡骸に視線を送った
「じゃあね。とりあえずアンタのお陰様で日常を楽しめたよ」
スカーフを腰に巻き扉を閉めた
DAZZINGは稀に振り向いた過去の人生を傍観する時がある。それは欲の捌け口と逃避をさ迷う脆さでもあった
「さて、ここからだな」
車を停車し、携帯を操作する運転手の男は同業者である。灰銀の髪が輝きと陰りを持ち、鋭い瞳は青く透明のようで何処か先の道を見据えてるようだった
「行くぜDAZZING。アジトにしちゃあ味気無えが、妙なトラップがあんなきっと」
「そうね、Sick」
返答した相手とは3年前に知り合った。スウェーデンのストックホルムで起きた連続爆破事件の真相を知るただ1人の関係者である。第2のストックホルム症候群とも取れる籠の中の汚れた鳥が憂鬱な心を弄ばれ発生した陰惨な事件を解決した男である
「何かよ。こんな感覚は久々だぜ」
「何がいいたい?」
「罠は当然だがそれだけじゃあねぇ。何か胸糞悪ぃザってえ事があんぜ。」
DAZZINGは思い出した。初対面の時は互いに依頼人が違えど、事件真相に究明した時には共感した事を
「籠の鳥」
「んだよ?いきなりソレが何で出やがる?」
「あの時解決に導いたのは私達の中に事件の首謀者がいたわ。お前はあっさり見破った 最悪は免れたわ。だが」
「関係者は全員クタバったってオチか。二択に迫られたら手ぇ打つしかねぇ」
車から降りたSick。ジャケットの内ポケットから紫色の弾丸を取り出し装填をした
「あの時、犯人が何故解った?」
「ん?決まってんじゃねぇか。要求や射撃は被害者の女がやってただろ?定期的な時間が大体、昼の一時と夜の七時だったからな。飯食わして殺し教えてちっと善意漬け込んで猟奇的なサイコパスに仕上げやがった。つまりは身近で俺らか警察の中に紛れ混んで遠隔に指示してた奴なら携帯を傍受するのにかすめ取れば解決じゃねえか?ソイツは今頃アメリカに移送されて犯罪解決対策部隊の参謀やってたか?実行したあのカスはブッ殺しちまったが」
車のドアを開けたままで正面の廃墟を睨む。寂れた正面の門があるり、監視カメラや音声記録媒体は確認されていない
「勘でそこまでか。お前は」
「いや、携帯打つ奴の面拝んで目星付けただけだ。後は声色で選別して最悪全員ブン殴って何とかしただけだ。土壇場でな」
ゆっくりと歩きながらトリガーを引き発射!門に弾丸が当たった瞬間、煙が蔓延した。即効性の毒薬である
「も少し待て。誰かいんなら炙り出せるぜ。吸ったらクタバるだけだが。へっ」
犬歯を出し悪戯に笑う。煙が消え、指先で合図し、少しずつ近付いた
「ん?門の奥にバックがあんな」
「私が行こうか?」
「俺が援護の方が適してっけどな。そうするか?」
「………だな。頼むぜ」
DAZZINGが歩き出し、Sickは車のドアの上に腕を起き携帯を取り出した。罵声を間髪入れずに吐き出すロッカートが画面に映るが、皮肉な状況であるため唇が上がり通話を切った
「そういえば………あの時の被害者の子はどうなったんだ?」
「ん?ああ、あのきったねぇタヌキみてぇなヌイグルミ持ってたガキか。何か日本にいるって話しだぜ。結局、里親にもたらい回しで長嶺って海軍のヤツの家で養子になったとか」
「そんな事がか」
「んだよ。仲良かったのか?そういや、救出する時もよく喋ってたか?まあ、マトモには暮らせねぇだろ。脳を一回ブッ壊されてっからな」
「でも………生きてるなら」
寂しそうなDAZZINGの表情が何故かSickには嬉しそうに見えた。空を見上げた時に錆びた香りがした
前夜の決行の時
「行くぜ!」
エンダムは大量の導線を投げ、周囲の気温を観測した
「はぁっ?何だよこの異常さは?」
大雪が降り積もる軍事開拓国家の気温。目を疑った
「9度?いつもより20度も高いのか?異常気象も良いくらいだ」
吐く息は白く無い。雪景色が綿で敷き詰められてる部屋のように感じた
「行くわよ!」
DAZZINGが走る!森林を駆け抜け無数の糸を張り巡らせた。木々の間や至る箇所を無造作に
「来たぜ!ここだ!」
導線を更に被せ、固形のスイッチを押した。激しい爆撃が発生し火災に発展した
。更に進行する
「毒牙の鳥が!」
空に鳴交喙が旋回した。西の領域から一部が流れてくる爆発で焼き尽くされた木々が倒れる隙間をエンダムとDAZZINGが駆け抜ける
「さて、次はどうする?」
「決まってるでしょ!同じ爆発を後、三回起こすのよ!」
導線は耐熱性である。糸には極小型の爆弾を仕掛け、吊るした状態で設置し導線に触れた瞬間にDAZZINGの指先で操作する。無尽蔵に爆発する森林の経路は徐々に輪郭を浮かべた
「ダイナマイトより破壊力が断然あるな。その爆弾は?」
「試作品を試されるように命令されたわ。昔は兵器開発で第一次世界対戦で活躍した科学者みたいだわ。NULLUMって言ってた」
「DISEVENES(ディセヴェネス)か?世界鎮圧を遂行した当時の7人の裏世界の支配者。まだ、生きてんのか?」
「ええ。耳を疑ったわ。見た目がまだ子供なのに111歳らしいんだわ。何か話し方も子供だし」
「末恐ろしいのに輪をかけてなんか笑っちまうな。どんどん行くぜー!」
更に爆発が起き、上空の監視が空を迂回したままである。その時東のルートで確認したWET
「突っ切る」
山岳地帯をバイクで駆け抜けた
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